M型直6、その可能性は終わらない

令和の7Mチューンはここまでやれる!

80年代後半、トヨタのフラッグシップエンジンとして君臨した「7M-GTE」。MZ20系ソアラに搭載されたこの3.0L直列6気筒ターボは、トヨタ2000GTから続くM型エンジンの集大成とも言える存在で、当時の国産トップクラスとなる230psを発揮。20系ソアラを”高級GTの王者”へ押し上げた立役者だった。

そんな名機7M-GTEを、令和の技術でブラッシュアップしたのが埼玉県のブラックラインだ。

オーナーの近久さんは、18歳から20系ソアラを乗り継いできた筋金入りのソアラマニア。この車両は約20年前に入手したもので、当時主流だったタービンキットとレビック(追加インジェクターコントローラー)によるチューニングが施されていた。

しかもベース車は、ボディカラーとグレードの組み合わせが希少な「3000GTリミテッド・エアサスマルチ仕様」。その貴重な個体を現代的なスタイルへとリフレッシュするプロジェクトがブラックラインに託された。

「これまで何台も20ソアラを所有してきましたし、今でもドリフト用の2JZ換装車を持っています。パワーや耐久性だけなら2JZが最強でしょう。でもフィーリングは7Mの方が好きなんです。街乗りでのトルク感や扱いやすさは7Mならではで、普段楽しむならこちらの方が魅力的ですね」と近久さん。

製作を担当したブラックラインの鈴木代表は、製作内容をこう振り返る。

 「純正7Mはカムカバーの上をインタークーラーパイピングが横切るレイアウトで、どうしても古さを感じてしまいます。そこでワンオフのサージタンクを製作し、タービン位置や前置きインタークーラーの配管も全面的に見直しました。一見すると自然な仕上がりですが、オルタネーター移設など細かな加工を積み重ねて完成させています」。

パイピングには抜け防止ステーを追加し、トラブル対策も万全。スロットルは90φのワンオフ品を採用する。

タービンはT88-34Dをセット。チューニングカーらしい迫力を演出するため、エキゾーストマニホールドを加工してタービン位置を上方へオフセット。さらにブラックラインでは現車セッティング時に必ず背圧を計測するため、タービン後方には測定用ポートも設けられている。

ブローバイ対策としてキャッチタンクを新設し、フィッティング類もワンオフ加工。それに合わせてカムカバーをゴールドへリペイントし、アルミパイピングやレッドのプラグコードとのコントラストでエンジンルームを華やかに演出している。

インタークーラーはオーナー所有の600mm幅・2層コアをベースに、サイドタンクを新作して4層コア仕様へアップデート。巨大な容量ながら純正バンパー内へ自然に収まるレイアウトも見どころだ。

マフラーは以前から愛用するインディビア製を継続使用。爆音ではなく、大人のストリートカーらしい上質なサウンドを奏でるオーバルテールがオーナーのこだわりである。

制御には長年使い続けているF-CON V Proを採用し、グローブボックス内へレイアウト。GReddy製ホワイトメーターも往年の雰囲気を演出する重要なアイテムだ。現車セッティングでは背圧も確認しながら細かく煮詰めるのがブラックライン流である。

3000GTリミテッドはブラウン内装のみの設定だったが、この車両は部品取り車からブラック内装を丸ごと移植。ただし、ステアリングコラムだけはリミテッド専用品のためブラウンのままとなり、それもまたこのクルマならではの個性となっている。

カーボンボンネットは、かつてオーナーズクラブで製作された20枚限定の超希少品。すでに再販予定はなく、20ソアラファンの間では伝説級のレアパーツとして知られている。

サイドミラーも当時のボメックス製。当時物パーツを自然に揃えられるのは、30年以上20ソアラと付き合ってきたオーナーだからこその強みだ。手に入れられたことにもある。

「現状はインジェクターや燃料ポンプがノーマルなので600ps前後が限界です。燃料系を強化すれば700psも十分狙えます。ただ、街乗りメインなら今の仕様で必要十分。さらなるアップデートは将来のメンテナンスと合わせて考えればいいと思います」と鈴木代表。

過激な最高出力よりも、気持ちのいいフィーリングと日常での扱いやすさ。そしてイベントでも存在感を放つ現代的なエンジンルーム。このソアラは、そんな明確なコンセプトを高い完成度で形にした一台だ。

さらに、燃料系にはまだ余力を残しているため、将来的なパワーアップにも十分対応可能。M型直列6気筒の可能性は、令和になった今も決して尽きることはない。

●取材協力:ブラックライン 埼玉県川越市下広谷690-1 TEL:049-239-6667

「壊れても、腐っても、それでも乗りたかったんだ!」MZ21型ソアラ、魂の復活劇

長年乗り続けてきたMZ21ソアラのボディ腐食というトラブルに直面した050さん。そこで選んだのは、コンディションの良いボディへ機関系を丸ごと移植する“箱替え”という方法だった。ブラックラインの手によってエンジンのオーバーホールや配線の引き直しなども実施し、7Mターボの20ソアラは再び路上へと復活を果たした。

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