Fiat 500
Fiat 600
フィアット500(ガソリン車)の新車販売は在庫のみに

「フィアット 500」は同ブランドのみならず、かつての「クラシックMINI」と同様に、Aセグメントを代表するアイコン的存在として高い知名度を誇ってきた。とくに、2代目の「ヌオーヴァ」は、映画『ルパン三世 カリオストロの城』での激走もあってそのシルエットは知れ渡っている。

2008年3月に上陸した3代目となる現行型「500」は、BEVの「500e」にスイッチしていて、ガソリン車の500は2024年5月に日本向けの生産を終了。2026年7月上旬現在、500eの中古車流通量は、十数台から20台程度で、250万円を切った個体も極わずかに流通しているが、300万円前後だ。走行距離は長くても2万km未満となっている。

今回メインで取り上げるガソリン車は、約16年という長寿命モデルだった。なお、2026年7月上旬現在、公式ホームページには「在庫がなくなり次第、500モデルの販売終了となります」とまだ掲載はされているが、かなり少なくなっている模様だ。
2代目500(ヌオーヴァ)はコレクターズアイテム

クラシックカーの2代目(ヌオーヴァ)はマニアから絶大な支持を受けていて、中古車市場に出回っても10〜15台程度で推移している模様。価格は300万〜400万円、要応談という物件もある。ボディの腐食をはじめ、オーバーヒートやオイル漏れから逃れられない空冷2気筒など、デザインに惹かれただけで手を出すのは当然リスキーだ。
3代目500の選択肢は輸入車の中でも豊富

ヒット作となった3代目の中古車流通量は、2026年7月上旬現在、900台前後と非常に充実している。キャンバストップの「500C」は15〜20%程度で、ハッチバックが圧倒的に多い。
中古車平均価格も100万円前後とこなれている。パワートレイン別では、1.2リッター4気筒のNAエンジンが約55〜60%程度、0.9リッターの直列2気筒(ツインエア)が約40%前後、1.4リッター4気筒は5%未満。

無難に乗るなら1.2リッター4気筒だろう。ツインエアよりも故障などのリスクも少ない。一方で楽しさで選ぶなら2気筒のツインエアでキマリだが、油圧式可変バルブ機構「マルチエア」の異常振動やエンジンオイル管理などの不調を織り込む必要があり、熟知した専門店で買うのが安心だろう。
フィアット500の悩みどころはパワートレイン

最も悩ましいのはトランスミッションで、3ペダルのMTで問題なければ迷わず選びたい。故障リスクが高いのは、問題のAMT(シングルクラッチ)である「デュアロジック」は、本格的な修理となると25万〜40万円コースになる場合もあるようだ。MT乗りであれば、独特の変速フィールも慣れるものの、トルコンATやCVTしか乗ったことがないのであれば、変速時の「間」も含めて慣れが必要。また、ツインエアはトコトコとしたサウンドを伴う加速感は、あくまで街乗り向けで、街乗りであっても細い道から幹線道路に合流する際などは、加速がもどかしく感じられる。

長寿命モデルであり、街乗り向きのAセグメントということもあってか、走行距離はまちまちだ。5万〜7万kmが最も多く、3万〜4万km、7万〜9万kmと続き、2万〜3万kmと4万〜5万kmがほぼ同等。5万km超も5万km未満も選択肢が多く揃っている。
狙い目は2021〜2024年の「ドルチェヴィータ」

グレード別では、流通量が多い1.2リッターの「POP」と「ラウンジ」、1.4リッターの「スポーツ」あたりが狙い目だが、2021〜2024年の最終型である「ドルチェヴィータ」はリスク回避という点では最右翼だろう。そのほか、「カルト」や非常に多く設定されてきた限定車なども流通している。まずは、パワートレインとトランスミッション選びが肝要で、グレードよりもコンディション重視で選びたい。
フィアット600(セイチェント)はEVとHEVを設定

一方の「eCMP2(Common Modular Platform)」をベースとする「フィアット600」(セイチェント)は、2024年9月にEVの「600e」が、2025年5月に48Vマイルドハイブリッドの「600 Hybrid」が発売された。「ジープ アベンジャー」と「アルファロメオ ジュニア」とプラットフォームを共有している。

フィアット600も1955年デビューのリヤエンジンモデルである初代が極わずかに流通することもあるが、ほぼ選択肢にはならない。セイチェントの名が復活した現行型が現実的な選択になる。現在の中古車流通量は、70〜90台前後とまだ少ない。パワートレイン別の比率は、約40%EV、約60%のハイブリッドとなっている。EVの中古車平均価格は、約290万〜370万円、ハイブリッドは約300万〜390万円程度で大差はない。
フィアット600は予算350万円は欲しい

ライフスタイルや乗り方に応じて、EVにするか、ハイブリッドにするかがポイントだ。まだ新しいモデルで、中古車価格も安定していることもあり、予算的には少なくても350万円は欲しいところだ。なお、EV仕様の一充電走行距離(WLTCモード)は493kmで、実用上の航続距離は季節や走行シーンなどにより異なるが、大方70%くらいで見積もっておけばいいだろう。

新しいモデルなので登録未使用車が多く、走行距離を重ねていても2万km程度ととても短いのが特徴。ハイブリッドでは、「ラ プリマ」が最も選択肢が多くなっている。
600のベストチョイスはHEVの「ラ プリマ」

「ラ プリマ」には渋滞追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)やレーンポジションアシスト、ブラインドスポットモニターが標準で備わり、ベースグレードは通常のクルーズコントロールや車線逸脱抑制機能にとどまる。新車時の価格は約55万円あったが、中古車価格ではそれほど価格差が付いていないようで、似たようなコンディションであれば「ラ プリマ」を選びたい。

フィアット500と600は、クラスもボディタイプも異なるため直接比べるケースは少ないだろうが、ポップなカラーやカジュアルな内外装は共通する雰囲気が漂う。イタリア車好きにとって魅力的な価格になっている500は、貴重なAセグメントモデルでもある。一方の600も数あるBセグメントSUVの中でも明るく、カジュアルなムードが漂い、後席も広くファミリーでも十分に使えるのが美点だ。

