見た目だけでは終わらない、本物のGT-R作り

「乗り続ける」を形にするコンプリートカー!

2014年から第二世代GT-Rのコンプリートカー製作・販売をスタートした“シェルエンジニアリング”。そのきっかけは、当時市場に流通していた中古車の多くが、程度やコンディションに問題を抱えており、購入直後から高額な修理が必要になるケースが非常に多かったためだ。


シェルエンジニアリングのスタッフは3名。中央が代表の小貝さん。メカニックは丸山さん(右)と小貝さんの息子(左)が担当する。

「当時の中古車相場は150〜250万円ほどでした。でも、そのまま安心して乗り続けられる個体は少なく、修理だけで数百万円掛かることも珍しくありませんでした。憧れのGT-Rを手に入れたのに、維持できず手放してしまうオーナーを何人も見てきたんです。そこで、トラブルの心配なく乗れるコンプリートカーを展開しようと考えました」と、シェルエンジニアリング代表の小貝さん。

年式に起因する不安要素を取り除くため、当初からエンジンをオーバーホールしたうえで販売。価格は中古車を購入して修理を行うのと同程度、あるいはやや割安な400万円から設定していた。その後、中古車価格の高騰に伴って販売価格も上昇し、現在は最もスタンダードなノーマルエンジン400ps仕様で1000万円からとなる。

「中古車価格が高騰してからは、お客さんの求めるものも変わりましたね。以前はトラブルなく走れることが最優先でしたが、今では内外装の細かな仕上がりまで完璧を求める方が増えています」。

そのニーズに合わせて、クルマ作りも進化した。代表例がボディメイクだ。一度ホワイトボディに近い状態まで分解し、錆や腐食を徹底的に補修。その後、エンジンルームを含めたシャシー全体の下地処理と塗装を施し、最後に外装を鈑金塗装で美しく仕上げていく。

ただし、スポット増し溶接によるボディ補強は行わない。長い目で見ると、その部分が錆の発生源になる可能性があるからだ。

さらに、スポット増し溶接を行うには純正シーラーを剥がす必要があり、場合によっては修復歴車と判断される可能性も否定できない。そうした理由から、シェルエンジニアリングではあえてボディ補強は行わず、純正の良さを活かした仕上げを徹底している。

また、ベース車両の確保はもちろん、純正パーツのストックも万全。オーナーごとの細かなリクエストにも柔軟に対応できる体制を整えている。

コンプリートカーはスタンダード仕様をベースとしながら、エンジンや足回り、ブレーキなどを好みに応じてオーダーすることも可能。今回取材したBNR32とBNR34もその一例で、いずれも700ps仕様のエンジンを搭載している。

BNR32のエンジンは、HKS製2.8Lキャパシティアップグレードキットで排気量を拡大し、Vカムステップ2を装着。燃料系には大容量ポンプと800ccインジェクターを採用し、点火系はHKSクランク角センサーコンバージョンキットとR35純正イグニッションコイルで強化する。制御はHKS F-CON Vプロ、タービンはトラストT517Zツインを組み合わせ、最大ブースト圧1.75キロで702ps・90kgmを発揮する。

排気系はブリッツ製フロントパイプ、トラスト製キャタライザー、シェルエンジニアリングオリジナルマフラーの組み合わせ。これはBNR34も共通だ。

また、経年劣化による燃料タンクからの燃料漏れも第二世代GT-Rでは定番トラブルだが、同社ではこうした修理にも対応している。

足回りは「リーズナブルで乗り心地が良く、サーキット走行にも対応できる」という理由から、ブリッツZZ-Rダンパーを採用。

ブレーキはエンドレス製で統一し、イメージカラーのイエローに旧ロゴを刻印したシェルエンジニアリングオリジナル仕様。フロントは6ポットキャリパー+370φローター、リヤは4ポットキャリパー+332φローターを組み合わせる。

BNR32のコクピットは、ナルディクラシック330φステアリングを装着し、シフトブーツとサイドブレーキブーツはトラスト製へ交換。メータークラスター左側にはデフィ製水温計とブースト計を配置する。

ミッションはニスモヘリテージ製BCNR33純正5速MTを採用し、クラッチはHKSツインプレートへ変更。アテーサE-TSトランスファーはシム増しによって強化済みだ。シートは前後ともニスモ製シートカバーでリフレッシュされている。

一方のBNR34は、排気量はノーマルのまま、HKS製86φ鍛造ピストンとRSE製H断面コンロッドで腰下を強化したRB26DETTを搭載。カムシャフトはIN・EXともにHKS272度を組み込み、タービンにはHKS GTⅢ-RSツインを採用する。燃料系や点火系、制御系はBNR32と同様の構成で、最大ブースト圧1.85キロ時に715ps・79kgmを発揮する。

インテリアは純正ステアリングをベースにレザーとパンチングレザーで張り替え、ステアリングコラム上にはデフィ製ブースト計をセット。シートは状態が良好だったため純正品をそのまま使用し、劣化していたマルチファンクションディスプレイは液晶パネルを交換して鮮明な表示を実現している。

小貝さんは、「コンプリートカーはパワーだけを追求するのではなく、美しく見せ、丁寧に仕上げることも大切なんです」と語る。

12年間で30台以上のコンプリートカーを製作してきたシェルエンジニアリングは、第二世代GT-Rの弱点を知り尽くし、レストア技術やノウハウも豊富。さらに、近々ビーム溶接機の導入も予定しており、作業の幅は今後さらに広がっていく。

一生付き合える第二世代GT-Rを探しているなら、一度シェルエンジニアリングに相談してみる価値は十分にある。

●取材協力:シェルエンジニアリング 愛知県清須市春日鳥出4 TEL:052-409-9700

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