S54Bへの敬意を宿した幻の4ドアGT-R
GT-Rの血統を継ぎ、GT-Bの名を受け継ぐ
実は、BCNR33改が発売される以前にも、RB26DETTを搭載し、アテーサE-TSで駆動する4ドアスカイラインがオーテックジャパンS&S事業部の手によって生み出されていた。それが、1995年に登場したHNR32後期型ベースのGTB-4だ。

メカニズム的にはGT-Rと呼んでも差し支えない内容だが、あえてその名を名乗らなかったのは、製作を依頼したオーナーのある思いがあったからだ。
スカイラインがその名を不動のものとし、クルマ好きの憧れとなるきっかけになったのが、1964年に鈴鹿サーキットで開催された第2回日本グランプリ。4ドアセダンのスカイライン2000GT-B(S54B)が、ホームストレートで純レーシングマシンのポルシェ904を一瞬とはいえ見事に抜き去ったのだ。
GTB-4という車名は、そんなスカイライン伝説の原点となったS54Bに敬意を表した、初代オーナーの思いの表れと言っていい。
ちなみに当時、オーテックジャパンはスカイライン2000GT-A(S54A)に倣った「GT-A」も1台だけ製作。こちらはボディをワイド化せず、5ナンバー枠のままRB26DETTを搭載し、ミッションには許容トルクに余裕のあるプレジデント用4速ATが組み合わされていた。

話をGTB-4に戻そう。
現オーナーの飯塚さんは、S50系でスカイラインの魅力にハマり、DR30やBNR34ニュルスペック、R32オーテックバージョン(RB26DE搭載)を経て、このGTB-4へと辿り着いた。
「GTB-4の初号機になります。エンジンはBCNR33用のRB26DETTを搭載し、オーテック専用ECUで制御しています。ボディは純正シルバーメタリックでオールペンしましたが、それ以外は特に手を加えていません」と飯塚さん。

オリジナルコンディションを維持するエクステリアは、BNR32から移植されたフロントマスクと、それに合わせて拡幅されたリヤフェンダー、足元を引き締めるBNR32純正16インチ鍛造アルミホイールによって、隙のないGT-R像を創出。そのクオリティの高さには、さすがワークス系特装メーカーの仕事だとうならされる。


一方のインテリアは、基本的にHNR32のまま。メーターパネルやシートをBNR32から流用したS&SエンジニアリングGTBとは対照的な仕上がりとなっている。

見た目も基本コンポーネンツもGT-R。しかし、その車名はGTB-4だ。
そこには、プリンス自動車へのリスペクトと、S54Bのイメージを重ねた初代オーナーの思いが込められている。そして、その思いは飯塚さんへと受け継がれ、この特別な一台は新たな歴史を刻み続けている。
