アストンマーティンが、『ヴァンテージ』の頂点に位置するハードコアモデルを開発している。その最新プロトタイプがニュルブルクリンク周辺で捉えられた。予想される車名は『ヴァンテージ RS』。ポルシェ 911 GT3を強く意識した、サーキット志向の高性能モデルとなりそうだ。

アストンマーティン ヴァンテージRS プロトタイプ スパイショット

ヴァンテージ RSとみられるプロトタイプは、ここ数カ月にわたってテスト走行が確認されてきた。しかし今回の車両は、それまでのテストカーとは少し様子が違う。専用エアロパーツだけでなく、各部がより完成度の高い仕上がりとなっており、市販仕様にかなり近づいた可能性がある。

アストンマーティン ヴァンテージRS プロトタイプ スパイショット

まず目を引くのがフロントマスクだ。標準ヴァンテージの基本デザインを残しながら、グリルやバンパー周辺を変更。大型のフロントスプリッターも装着され、冷却性能と高速域でのダウンフォースを高める狙いがうかがえる。

バンパー両端に設けられたエアカーテンも、以前目撃されたプロトタイプから形状が変更されている。単にヴァンテージを派手に仕立てたモデルではなく、空力性能を細かく煮詰めていることがわかる部分だ。

足元には専用デザインのブラックホイールを装着し、タイヤにはピレリ P Zero Rを採用。その奥から鮮やかなブレーキキャリパーがのぞく。さらにフロントホイール後方には大型のエアベントが設けられ、ホイールハウス内にたまった空気や熱を排出する構造となっている。

そして、ヴァンテージ RSの存在感を決定づけているのがリヤセクションである。

以前目撃された車両には暫定的と思われるカーボンファイバー製ウィングが装着されていたが、今回のプロトタイプには市販仕様に近いとみられる大型リヤウィングが登場した。

その形状は、かつて設定された『V12ヴァンテージ』のものにも似ているが、取り付け位置はさらに高い。大型ディフューザーとの組み合わせからも、サーキットでの高速走行をかなり強く意識していることが伝わってくる。

さらに目立つのが、ボディ中央に集められた4本出しエキゾーストだ。標準ヴァンテージとは明らかに異なる後ろ姿で、RSを象徴するデザインのひとつになる可能性が高い。

気になるのは、そのエンジンである。

現行ヴァンテージは4.0L V型8気筒ツインターボを搭載する。RSではこのV8をベースに、吸排気や過給圧、エンジン制御などへ専用チューニングが施されるものと予想される。

標準モデルでも最高出力は670hp級、最大トルクは800Nmに達するだけに、RSでは700hp(約710ps)を超えてくる可能性も十分にある。単純な最高出力だけでなく、スロットルレスポンスや冷却性能など、連続したサーキット走行を意識した改良にも注目したい。

一方、5.2L V12ツインターボ搭載の可能性も完全には否定できない。ただし現在のアストンマーティンには、V12を搭載する『ヴァンキッシュ』が存在するため、モデル間の位置づけを考えれば、ヴァンテージ RSはV8を徹底的に磨き上げる方向性の方が現実的だろう。

ヴァンテージ RSが狙うのは、単なる最高速や大出力を競う世界ではない。

巨大なリヤウィング、専用スプリッター、ホイールハウス周辺の空力処理、ハイグリップタイヤといった装備を見る限り、開発の重点はコーナリング性能やサーキットでの速さに置かれている。そう考えると、ライバルとしてポルシェ 911 GT3の名前が浮かぶのも自然だ。

インテリアは今回のプロトタイプから確認できないものの、RS専用の仕立てになるものと予想される。カーボンファイバーやアルカンターラの採用拡大に加え、軽量化を目的とした専用シートなどが与えられる可能性もある。

アストンマーティンがヴァンテージに『RS』の名を与える以上、それは単なる高出力仕様というだけでは終わらないはずだ。

700ps超も期待されるV8ツインターボと本格的な空力パッケージを組み合わせ、ヴァンテージをどこまで研ぎ澄ませるのか。ニュルブルクリンクで姿を現した最新プロトタイプを見る限り、その完成形はかなり過激なものになりそうだ。