前戦の筑波から酷暑を避けて3ヵ月間のサマーブレイクがあったが、DUNLOP勢として戦うTEAMマッハ×DROO-PのGR86(ドライバー:石川隼也)とトレノ(ドライバー:松川和也)には、車両の仕様変更はなし。いっぽうURAS RACINGのスカイライン(ドライバー:野村圭市)は、このところミッショントラブルが多かったことから、トランスミッションを強度が高いと評判の6XDの6速シーケンシャルミッションに変更してきた。

昨年はこのエビスラウンドの練習日にトレノが横転して出火し、その後の修復に大変な時間と労力がかかったことから、このラウンドのTEAMマッハ×DROO-Pのテーマはまず「転ばないこと。燃えないこと」。けっきょくレースウィークを通して大きなトラブルはなく、きわめて順調だった。

いっぽうURAS RACINGの野村は木曜日の走行中にクラッシュ。金曜日の公式練習までには修復できたものの、完璧な状態ではなかった。

野村が採用した6XDは耐久性に優れ、アメリカのドリフト競技では主流となっているミッションだという。

金曜日の公式練習はドライ路面で、TEAMマッハ×DROO-Pの石川は高得点を安定して出していたが、土曜日の第5戦は朝から雨。しかし、そこは路面コンディションを問わずに安定した実力を発揮するDUNLOPタイヤの強みで、石川はウエット路面のチェック走行でも問題ない得点を出していた。

第5戦単走決勝。第一出走者となっていた石川はいきなり安定したコーナリングで通過指定ゾーンもきっちりとって88.45点を獲得。Aグループ2位で難なく単走通過を決めた。

いっぽうでTEAMマッハ×DROO-Pの松川は1本目に失敗し、2本目もゾーンをとりきれないなどして単走で敗退。URAS RACINGの野村もフィニッシュ直前にスピンをしたり、進入で姿勢が決まらないなどして敗退した。野村はこの日の競技終了後に「金曜日からちょっと乗れてない状態だったんですよね。たぶん木曜日のクラッシュとかも原因してて、ステアリングラックだったり、足まわりのちょっとしたガタとかがあって、基本的なドリフトの動きがギクシャクして難しかったんですよ。それで単走のあとにステアリングラックとか、交換できる部品は全部交換してちょっと転がした感じはちゃんと普通のクルマになった感じだったんで、たぶん明日はいい感じに走れると思います」とコメントした。

野村のスカイラインはクラッシュ後にしっかり修復できていたように見えたが、まだ不具合が残っていた。

第5戦と第6戦は、単走の各グループ上位6名の計24名が追走に進出となるが、その中でも上位8名はシードとなって、ベスト16から登場する。石川は7位通過だったのでベスト16からの出走となった。

対戦相手は、GRカローラに乗る松山。今季のプレシーズンマッチ決勝で石川が敗れた相手でもある。1本目は石川が先行。石川もいい走りを見せたが、松山に近いドリフトを決められてリードされる。2本目は松山が先行。石川は前半区間で松山を上まわる接近ドリフトを見せていたが、メインのコーナーの立ち上がりで失速ぎみにラインが小さくなり、離されてしまう。これが響いて敗退となった。ラウンド順位は11位だった。

追走ベスト16で松山と対戦した石川。先行ではいい走りを見せたが、後追いの後半で相手に合わせきれずにミスをしてしまった。

翌日の日曜日に第6戦が行われた。夜中に雨は上がり、ウエット状態からしだいに乾いていく中でチェック走行が行われた。けっきょく競技本番までには路面はほぼドライになった。

第6戦単走決勝。TEAMマッハ×DROO-Pの石川は3番目に出走した。1本目に失敗したので2本目は堅実に走ったがまずまずの得点で追走進出を決めた。ただ上位8名には入れなかったので、ベスト24からの出走となる。

いっぽう松川は振りの鋭さを出せず単走不通過。野村は1本目には1コーナーでオーバーラン。2本目も1コーナーでスピンをして追走進出はならなかった。

松川は前日よりも走りの完成度を高めてきたが、振りのクイックさや角度が足りず、追走進出は果たせなかった。

単走敗退となった野村は大会後、「2本とも失敗でした。練習から全然うまくいってなくて、もうその流れのまんま……ぜんぜん噛み合わなくて。ただ今回ウエットもドライもありましたが、DUNLOPタイヤにはもう雨は絶対の信頼があって、ドライになればそこからさらにグリップが上がるわけなので、タイヤに関しての心配はぜんぜんなくて、安心して1コーナーに飛び込んだ結果……そのあとがまとまっていなかったのでぶつかりました。次は地元九州でコースも広いんで、大暴れできるようにがんばります」と話してくれた。

今季はここまで成績も上り調子だった野村だが、事前練習のクラッシュもひびいて、この大会はノーポイントに終わった。

第6戦追走トーナメント。ベスト24から出走した石川はまず若手の石井と対戦。1本目先行の石井が1コーナーでオーバーランしたこともあってあまり距離は詰められなかったが、石川リード。2本目は石川も小さいミスをしたがなんとが逃げ切ってベスト16に進出した。

ベスト16の対戦相手は、現在D1随一の追走の強さを持つ中村(直)。1本目は後追いの石川が進入で中村(直)をとらえていたが、1コーナー進入で攻めすぎて詰まり、ハーフスピンしてしまう。2本目は後半にかけて中村(直)にドリフトを合わせられ敗北。石川のラウンド順位は14位で終わった。

ベスト16で2024年のチャンピオン中村(直)と対戦した石川。後追いでは間合いをミスしたものの、加速力ではまったく負けていなかった。

大会後、TEAMマッハ×DROO-Pの松岡監督はこう語った。

「今日のベスト16のナオキとの追走は、勝負を仕掛けたら、意外とついていけてしまったの。想定の距離よりも近くなって行けるスペースが狭くなった。それがちょうどギャップのあるところで、そのギャップに乗っちゃったの。だから、これまでずっと上位選手とやるとスタートから少しずつ離されていく感じで悩んでのが、そうとう改善されてるのは間違いない。昨日の松山との対戦もそうだし。D1でもトップレベルに速い2台との差を見ることができたんでね。彼らと車速でガチンコで戦えるってことがわかった。

そもそもDUNLOPタイヤはポテンシャルの高いタイヤだけど、そのタイヤの使いかたのいいとこ取りができてきて、運転のしかたでもだいぶ改善できている。

あとは、昨日の松山との対戦の反省としては、想定にないレーンに前のクルマが行ったときに、そもそも瞬間的にパッとアクセルを踏んでかき止めをするっていう習性がなかった。それでアクセルを一瞬抜いたのが、ああなった原因だったんだけど、ああいうところでアクセルを踏んで、タイヤをかかせて止めることができれば対処できた。

そのためにはアンチラグブーストをちょっと上げたりとか、クルマの改善もする。運転手もその引き出しを作っていくといった、次のテーマがいろいろ見えた。

タイヤに関しては、土曜日のウエットのときのポテンシャルはもうご覧のとおりバッチリだし、それが日曜日にドライになってきたときは、正直ちょっとドキドキはしてた。以前はそういうときには2人とも探りながら失敗していたのが、今回はもうDUNLOPタイヤを信用して『奥から来い!』、『いいよ、やっちゃえ』っていう指示に応えてくれた。あれをしないとクルマもドライバーも成長しないけど、今回は本当に2人ともそこは改善できたなって思ってる。

そんな感じで、ここからオートポリス、それから最終戦に向けて、期待できると思ってます!」

コースやコンディションを問わず戦闘力を発揮するようになってきたTEAMマッハ×DROO-PのGR86には、松岡監督も手応えを感じている。

次のD1GPは、10月24、25日に大分県オートポリスで開催。今回は流れがよくなかった野村にとっても、地元九州のラウンドで飛躍のチャンス。そして、トップレベルと戦える感触を得たTEAMマッハ×DROO-Pにとっても頂点を狙うチャンスだ。

追走前セレモニーでの石川隼也。もともと追走の技術は高いが、スタートや加速のスキルも上達し、強いドライバーになってきた。