タイヤの試練、再び……

トヨタ「GRハイラックスT1+」

モロッコラリー取材の冒頭から、山羊らしき骨でパンクしたエピソードをお伝えしたが、また取材班はトラブルに見舞われた。今度は、砂漠地帯の平原のようなわずかな轍が見える道のような場所で、砂地にハマってスタックしてしまったのだ。

脱出するのに悪戦苦闘。タイヤの前後を掘ったり、手近な石を拾って掘った所に埋め込んだり……。最終的には空気圧を最低限に下げ、後ろから押すことで脱出できたが、そこからの移動が大変だ。なにせ、タイヤはギリギリの空気圧しか保っていない。モロッコの原野を走る道路は、対向1車線ずつですれ違う一般道ながらも、100kmの制限速度が当たり前。タイヤをいたわり70km/hを限度に走ると、後続の乗用車はもちろん、大型トレーラーにも抜かれてしまう。ますます、いやが応でもタイヤの重要性が身に沁みることとなった。

パンクの次はスタックのアクシデントに見舞われた不運な取材班。

モロッコ2026はトヨタ・ハイラックスが1-2-3フィニッシュ

総合優勝は、セス・クインテロ/アンドリュー・ショート組(#203 トヨタGRハイラックス)

世界ラリーレイド選手権(W2RC)第4戦「ラリー・OLA・エナジー・デュ・マロック」は10月3日、ザゴラ周辺で最終ステージ5を走り終え、5つのステージすべてを終えた。W2RCはパリ・ダカールラリーの流れをくむラリーレイドの世界選手権で、モロッコは例年、ダカールに向けた「前哨戦」としても知られる。今年は9月28日にアガディールをスタートし、約2700km、競技区間約1600kmを走破した。

総合2位はジョアン・フェレイラ/フィリペ・パルメイロ組(#240 トヨタGRサウスアフリカ、トップ差4分23秒)

総合優勝は、セス・クインテロ/アンドリュー・ショート組(#203 トヨタGRハイラックス)で、タイムは16時間34分05秒。ステージ4でトップに立ち、最終日も首位を守りきった。2位はジョアン・フェレイラ/フィリペ・パルメイロ組(#240 トヨタGRサウスアフリカ、トップ差4分23秒)、3位はヘンク・ラテガン/ブレット・カミングス組(#202 トヨタGRハイラックス、同4分42秒)。上位3台をトヨタのハイラックスが占める結果となった。

総合3位はヘンク・ラテガン/ブレット・カミングス組(#202 トヨタGRハイラックス、同4分42秒)

レースを終え、三浦昂選手がやりたいことは?

5日間をかけて、世界ラリーレイド選手権(W2RC)第4戦「ラリー・OLA・エナジー・デュ・マロック」競技区間(SS)約1600kmを含む総走行距離約2700kmの過酷なラリーを走破した。

三浦昂/アルマン・モンレオン組(#204 トヨタGRハイラックス)は、総合30位(ウルティメート・クラス22位)でラリーを終えた。トータルタイムは19時間41分01秒で、トップとの差は3時間06分56秒である。

昨年までTLC(チームランドクルーザー)から市販車クラスにランドクルーザーでダカールラリーに参戦していた三浦選手は、2026シーズンからトップカテゴリーのT1+に挑戦する、日本から唯一のドライバーだ。

序盤のステージ1は、終盤のパンクで順位を落としながらも18位。続くステージ2は14位と順位を上げた。ステージ3は、トップ10圏内を走っていた終盤にドライブシャフトのトラブルが発生。修復に2時間以上を要し、総合44位まで後退した。それでもステージ4は17位と追い上げ、最終ステージ5はトップと7分06秒差の11位。中盤から最終日にかけて、着実に立て直した。ステージ5の11位は、今大会の三浦組にとって、ステージ2に次ぐ好結果である。

三浦昂/アルマン・モンレオン組(#204 トヨタGRハイラックス)は、総合30位で完走した。

ゴール地点で、204号車からやりきった表情で降りてきた三浦選手に話しかけると、いつもの穏やかな声で語った。

「毎日、課題を持って走り、進歩を感じられる日々でしたので、その意味では満足しています。でも、まだまだ次にやることがあるので、早く次のレースに行きたいですね」

改めて今いちばんやりたいことを尋ねると、「次のレース」と即答した。喉が乾ききっているはずの三浦選手

コ・ドライバーのモンレオンも、三浦選手の成長に手応えを感じている。

「正直、本当にうれしいよ。アキラと一緒に進めてきたステップは素晴らしい。レースを重ねるごとにペースが上がり、お互いのことをよく理解できるようになった。進歩は大きいよ。ポルトガル、ルタ40(アルゼンチン)、そしてモロッコと、結果を見比べてもらえばわかる。レースごとに順位が良くなっている。今ではステージでトップ15を争えるし、ときにはトップ10に迫ることもある。アキラの進歩は本当に印象的で、もちろんダカールにも期待している」

#204「TOYOTA GAZOO RACING W2RC」のチームクルー

三浦選手の足元を支え続けてきたもの

三浦昂選手のトヨタ「GRハイラックスT1+」が履くのは、TOYO TIRESの『OPEN COUNTRY M/T-R』

山羊の骨でパンクし、砂地でのスタック脱出のため空気圧を落とさざるを得なかった我々が、あらためて思い知ったのは、ラリーレイドの舞台がいかに過酷かということと、タイヤの重要性だった。1600kmにおよぶ競技区間で、岩やガレ場、砂丘、深い轍が、容赦なくタイヤに襲いかかる。ステージ1の三浦組のように、たった1本のパンクで順位が入れ替わることもある。そんな環境下で三浦選手の足元は、TOYO TIRESが市販車クラスで参戦したランドクルーザー時代から支えてきたし、最高峰クラスT1+のハイラックスとなった今も変わらずに支えている。

チーム・ランドクルーザー・トヨタ車体 ヤシール・セイダン/ジャン・ミッシェル・ポラト組(#505 トヨタ・ランドクルーザーGR SPORT)

なお、三浦選手の古巣であるチーム・ランドクルーザー・トヨタ車体も、ヤシール・セイダン/ジャン・ミッシェル・ポラト組(#505 トヨタ・ランドクルーザーGR SPORT)がストック(市販車)クラス2位で完走し、最終ステージ5ではクラストップのタイムをマークした。三浦選手に寄り添い、ダカールでの12連覇を支えてきたTOYO TIRESは、TLCも変わらずバックアップしている。このモロッコラリーでも2名のエンジニアがおよそ3週間チームと寝食をともにし、現場の生の熱い声をタイヤ開発へと繋げているのがよくわかった。

次戦アブダビ、そしてダカールへ期待

トヨタ「GRハイラックスT1+」

W2RCは、11月にUAEで開催される第5戦アブダビ・デザート・チャレンジで最終戦を迎える。T1+クラスという新たな舞台で、一戦ごとに確実に進化を遂げている三浦選手が、最終戦、そしてT1+として初めてのチャレンジとなる年明けのダカールラリーで、どんな走りを見せてくれるのか。「早く次のレースに行きたい」と語った三浦選手の次なる一戦に、期待したい。

また、Team TOYO TIRESの公式Instagramでは、様々な情報を発信しているのでフォローしてみよう。
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Team TOYO TIRES 公式Instagram

日本のサラリーマンが最高峰のラリー世界選手権にチャレンジ! W2RCをトヨタ・ハイラックスで戦う三浦選手に注目

ダカールラリーを含むW2RCに全戦挑戦している唯一の日本人ドライバーがいる。トヨタ車体の社員である三浦昂選手だ。サラリーマンの立場を続けながら本業が完全な競技ドライバーとなった彼がダカールの前哨戦とも言われるモロッコに挑む。その戦いっぷりを見届けに、アフリカ大陸モロッコ南西部のアガディールへ飛び、サハラの入口にしてオアシスの町ザゴラへ向かった。 TEXT & PHOTO:小林和久(KOBAYASHI Kazuhisa)