補助金対象のEVバイク、プロトから新登場!|モーターサイクルショー2024

モーターサイクル(バイク)用のアフターパーツを手がけるプロトは、「東京モーターサイクルショー2024」にて自社ブランド「PEVシリーズ」のEVスクーター(プロトタイプ)を出展した。
PEV600L PRO(撮影:磐城蟻光)

モーターサイクル用のアフターパーツを手がけるプロトは、「東京モーターサイクルショー2024」<2024年3月22日(金)〜24日(日):東京ビッグサイト(東京都江東区)>にて、自社ブランドのEVスクーター「PEVシリーズ」(発売予定)を出展した。

二輪にもEV(電動)バイクが見られるようになってきた。二輪の電動化が進んでいく中での新潮流が、新興メーカーの進出である。それまではアフターパーツの販売やカスタマイズを行っていた企業が、EVバイクを独自で輸入・販売を行うようになってきた。

プロトは2020年よりEVスクーターを販売

プロトは、バイク用カスタマイズパーツの開発・輸入・販売を手がける大手の一社だ。バイク用パーツ以外にも、四輪用のカスタマイズパーツの開発や、バイク自体の企画・輸入・販売も手掛けている。

2020年にEVバイクの取り扱いを開始した。「GOCCIA」(ゴッチア)というブランドの「GEV600」というモデルだ。定格出力0.6kW/最高出力1.3kWの原付一種スクーターで、19万6,900円(税込)というリーズナブルな価格となっている。

2024年中に新たに2機種を導入

発売予定として展示されていたのは「PEV1000L」と「PEV600L PRO」の2台(両車プロトタイプ)。「1000L」は一般使用向けのモデルで、「600L PRO」は配送などの事業社向けモデルとなっている。原付一種に加えて原付二種もラインアップし、2024年秋以降に発売だという。

後輪にインホイールモーターを装備し、電源はリチウムイオンバッテリーから供給。しかもバッテリーは着脱式で、シート下のスペースに嵌め込む仕様となっている。バッテリー自体は軽くはないが、自動車用12Vバッテリーのようなサイズ感なので持ち運びに苦労することはないはず。一般家庭の100Vの電源で充電が可能。バッテリーを外しても、バイクに装着したままでも充電できる。

ちなみにプロトは、この着脱式バッテリーから銀行のATMへ電力を供給する実証実験も行っているという。今後、このバッテリーの外部供給装置などが登場すれば、活用範囲が広がるはずだ。

車体自体はパイプフレームが基本骨格となっている。フレームを大きく覆うようなカウルはなく、シンプルな見た目が強調されている。構造が簡素なので、さまざまな用途に流用がしやすいだろう。

何より見た目が個性的だ。かつての「ホンダ・ズーマー」や「スズキ・チョイノリ」を彷彿とさせる洒落っ気がある。

電装系は、ライトはLEDを使用。メーターは大型の液晶ディスプレイとなっている。速度計はもちろん、バッテリー残量やトリップ機能も備わる。

画面には「MODE」という表示が見られる。パワーモードを備えているためだ。右グリップの親指付近にそのスイッチがあり、「エコ」と「パワー」を任意に選択できる。

安全性については、「PEV」シリーズは前後輪ともにディスクブレーキを装備していた。四輪のEVは回生ブレーキ機能があるのだが、「PEV」シリーズにはなく物理的な制動のみとなる。ただ、前後ディスクによる制動力は十分だろう。

車両価格は30万円以下か

展示車両はプロトタイプのため、価格は非公表だった。しかし発売中の「GEV600」は19万6,900円(税込)で販売されているのでそれをベースに予想すると、原付二種モデルでも30万円以内に収まるのではないだろうか。さらに現在、補助金の対象車となるよう手続きを進めているとのことだった。対象となれば大きな訴求ポイントとなる。

内燃エンジン車に比べて部品点数が少ないEVバイクは生産が容易なため、新規企業の参入もしやすい。電動キックボードタイプも含めて、大小様々な企業がEVバイクの輸入・販売を行うようになった。

しかし、バイク自体の走行性能・機能性・魅力・安全性を追求するとなれば、老舗が持つノウハウが必要だ。「PEV」シリーズは現在も開発中というが、バイク用のカスタムパーツを長年手掛け、車両のプロデュースも行ってきたプロトであれば、安全面も担保した上でバイクとして面白いモデルに仕上げてくれそうである。

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