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シングル・ドゥカティを中心としたイタリアンバイクのミーティング
2025年5月18日(日)、GRUPPO R.S(グルッポR.S)主催の『イタリアン・クラシック・モーターサイクル・ミーティング(以下、ICMM)』が千葉市稲毛区で開催された。
これは創立36年の歴史を持つバイク愛好家グループのGRUPPO R.Sによるイタリアン・クラシックバイクを対象としたミーティングで、かつてはシングル・ドゥカティ・ミーティングと銘打って毎年ゴールデンウィークに開催されていたが、現在では車種を問わず、イタリア車の愛好家が集まってコミュニケーションを図る場へとリニューアルされている。

今回のICMMを含めてGRUPPO R.Sが主催するイベントは、泊まりがけのラリーイベントと年末のファミリークリスマスパーティーを除き、事前予約不要、参加費や年会費無料、見学自由というのが特徴となっており、バイクが好きな人なら誰でも気軽に参加できるように配慮されている。

前身のミーティングがシングル・ドゥカティを対象としていたことから台数的に多いのはイエローデスモやシルバーショットガンなどの250~450ccドゥカティ製の単気筒バイクとなるが、それ以外にもLツインのドゥカティやモト・グッツィ、MVアグスタ、モトビ、ベスパ、アプリリアなどのイタリアンバイクの姿も散見された。
希少なイタリアン・クラシックバイクが多数参加!
この日、筆者は愛車のモト・グッツィV11で集合場所の稲毛海浜公園駐輪場を訪れると、集合時間よりも30分くらい早く到着したにもかかわらず、すでに20台くらいのイタリアン・バイクが並んでいた。

その多くがシングル・ドゥカティだ。そもそも空冷単気筒SOHCエンジンを搭載したドゥカティの生産台数は少ない。カムシャフトをべベルドライブで作動させるデスモドロミックとノン・デスモを合わせても、1960年代後半~1970年代中頃にかけて生産されたシングル・ドゥカティの台数は、250が約4100台、350が約3650台、450が約3200台しか存在しないのだ。

一般的なドゥカティのミーティングに行っても参加車両のほとんどがL型ツインエンジン車であり、シングル・ドゥカティは見かける機会は少なく、これほどの台数が一堂に介する場はそうそうあるものではない。

また、それ以外にもモトビ175カトリアやアエルマッキ・アラヴェルデ、モト・グッツィV65ポリツィア(イタリア国家警察)仕様、イタルジェット・ヴェロチフェロなどの珍しいイタリアン・クラシックバイクも参加していた。

会場に並ぶのはクラシックバイクばかりではなく、2代目ドゥカティSSやドゥカティ996などのヤングタイマー、MVアグスタF4やモト・グッツィV7などの比較的新しいバイクも参加していた。時刻が10時を回り、さらに多くのバイクが続々と集まってくる。台数的に多いのはシングルドゥカティだが、900MHRや初代900SSなどの姿も見える。

GRUPPO R.S.のベテラン参加者にシングル・ドゥカティの魅力を聞く
じつのところ筆者はシングル・ドゥカティに乗ったこともなければ(Lツイン車は過去に400F3を所有していたが)、知識もほとんどなく詳しいことはわからない。そこでGRUPPO R.S.第1期幹事を務めたベテランの内藤伊力さんにシングル・ドゥカティについて教えを乞うことにした。

1947年生まれの内藤さんは、バイクは小学校4年生(!)からバイクに乗り始め、現在に至るまでわずかな空白期間を除いて乗り続けているとのこと。かつては仕事の関係でイタリアに行くことが多く、そこでイタリアンバイクの魅力を知ったとのこと。これまでにパリラなどの珍しいバイクを含めてさまざまなバイクを乗り継いできて、最終的にシングル・ドゥカティに行き着いたそうだ。そんな彼が「このバイクが一番面白い!」というのだ。

基本的にワイドケースのシングル・ドゥカティは車体や外装などは共通となるそうだが、エンジンは排気量によって乗り味はかなり異なるという。排気量を示した車体のステッカー以外の見分け方は、ストローク量の違いによるシリンダーブロックのフィンの数で、250は8枚、350は9枚、450は10枚になる。また、エンジン前方に刻印がある(ない個体もあるらしい)ので、それで見分けることもできるようだ。

その乗り味はそれぞれに個性があるという。
250はショートストロークエンジンということもあり、高回転を多用し、街乗りでは使いやすい反面、峠などでは非力さを感じることもあるという。
350は燃焼室がスクウェアな形状となることからフラットにトルクが得られ、排気量も250と450の中間となることからバランスに優れるようだ。
そして、450はロングストロークエンジンとなり、トルクが太くワインディングなどを楽しむのに適しているそうだ。また、鼓動感が強くシングルエンジンらしい魅力に溢れる反面、振動はシリーズでもっとも強いという。また、最大排気量モデルということもあり、フレームに補強が入っているのも特徴となる。

内藤さん曰く「シングル・ドゥカティにはイタリアン・バイクファンを虜にする魅力があります。1度乗れば誰でもそのことがわかるはずです。ただ、タマ数が少なく、近年では中古車価格が高騰しているので、未体験のライダーがなかなか乗るチャンスがないのが残念なことですが……」と語る。

内藤さんの言葉を受けてシングル・ドゥカティに興味を持った筆者は、取材後に某中古車サイトを検索してみたところ、販売されていたのは250マークIIIと350イエローデスモの2台だけだった。この手のビンテージバイクは専門店から購入するのが一般的なのかもしれないが、大手の中古車サイトに売り物がほとんどないところから考えても、入手の難しい希少なバイクであることは間違いないのだろう。

ちなみに車両本体価格は前者が380万円、後者が245万円だった。たしかに魅力的だし、熱烈なイタリアンバイクファンをして「最高!」と言わしめるシングル・ドゥカティに一度乗ってみたいと言う気持ちはあるが、ちょっと気軽には手を出せない金額ではある。
自由な雰囲気で参加者はみんなフレンドリーなGRUPPO R.Sのミーティング

この日、集合場所の稲毛海浜公園駐輪場に集まったバイクは約50台。プチツーリングの出発時間となる12時まで、集まった人たちはバイク談義に花を咲かせていた。ミーティングの参加者は中高年のベテランライダーが多いが、若いライダーの姿もちらほら見える。GRUPPO R.Sは極めて自由なバイク愛好家の集まりということもあり、会場の雰囲気は和やかで、筆者のように初めて訪れた人間に対しても、みなさん大変フレンドリーだった。

今回のICMMはシングル・ドゥカティを中心にしたイタリアン・バイクのミーティングだったが、GRUPPO R.Sでは他にも毎月最後の日曜日に行われる出発地や途中経由地、最終地などの時間を決めてのループ状のツーリングを行う「ラウンド・ツーリング」を開催している。こちらは事前申し込み、参加費などは一切必要なく、誰でも、どこからでも、どんな車両でも自由に参加できるとのこと。

また、事前申し込みと宿泊料などが必要になるが、年1回の1泊ツーリングの「SPRING RUN」や参加車両を125cc以下に限定した「U125 RALLY」、毎年夏に開催される4泊5日で行う一般道のみを使用するロングツーリングの「スーパーラウンドラリー」などを年に1度のペースで開催している。

興味のある人は、まずはGRUPPO R.Sの公式WEBサイトにアクセスしてみよう。ミーティングの参加は毎月開催されている「ラウンド・ツーリング」から始めると良いのかもしれない。今回の取材は大変楽しく、参加者のみなさんも良い方ばかりだったので、またGRUPPO R.S主催のミーティングに参加したいと考えている。
























