松葉杖でも車椅子でも! MotoGP日本グランプリを生でたっぷり楽しめたお話。|2022観戦レポート

2023年9月29日(金)・30日(土)・10月1日(日) の3日間、モビリティリゾートもてぎで開催されるMotoGP 日本グランプリ。
その開幕を前に、私の去年の観戦記をご紹介。日本グランプリの一ヶ月ほど前に、足を骨折し、せっかく買ったチケットが無駄になってしまうのか……。
いいえ、モビリティリゾートもてぎでは、松葉杖でも車椅子でも、大変な思いをすることなく、しっかりと楽しむことができました! というお話です。

2022年、戻ってきたMotoGP日本グランプリ。
それまでレースに興味がなかった私もMotoGPを放送で観るようになり、日本グランプリ開催時には現地で観戦したいと思ってきた。
チケットはどうしよう?完全に出遅れたのでキャンプエリアやグランド席は全滅。
ならば「KTM応援席(V6スタンド)」のチケットを取ろう!
だってKTM 125DUKEのオーナーだしね、と行きつけのKTMディーラーで購入(24,000円だったかな)。開催日をワクワクしながら待っていた。

まさかのケガをしまして…

あと1カ月だ!と楽しみにしていた8月下旬。
足を思いっきり怪我しました。えへ。
松葉づえがないと歩けず、不便極まりない。

左足首をケガ。パンパンに腫れているので靴下が履けず、雨なのでサンダルで。


9月半ばにあった知人のレースのピットクルーをこなすためとMotoGPのために、ダスキンさんから車いすをレンタル。移動はこれで多少は楽になるハズ。
ですが、モビリティリゾートもてぎには何度も行ってはいるものの、MotoGP観戦は初めてなので、勝手がまったく分かりません。

Vスタンドってそこなの!?

しかも現地に行ってからわかったのだけど、KTM応援席があるVスタンドって、今はレースでは使っていないオーバル部分に設置された席だったのですー!
(その他のメーカー応援席や中上選手応援席なども同様)

そしてVスタンドまで行くには
・グランドスタンドの階段を一番下まで降りる
・オーバル部分を少し歩いてVスタンドの階段を上る
が必要。
サーキットのスタンドって階段が急じゃないですか…。ここ、松葉づえで上り下りするのはけっこう、いやかなり大変です。遅いので後ろの人にも迷惑かかっちゃう。
かといってせっかく買ったチケットだし、自由席で見るにしても足場はよくないことが多いので転ぶ可能性もある。

よく調べてなくて、KTM応援席がいいよね、で購入した結果がこれ。
というか買ったときはケガはしていなかったから、そんなことを気にする必要もなかったんですけどね。

2022のKTM応援グッズ。もりだくさん!
場内には休めるベンチも数が少ないため(しかも雨)ケガをしていない右足も疲れたな…と思っていたら、KTMブースで展示のRC390をイスにしていいと!KTMにお世話になっていてよかった……!

インフォメーションへ。ダメ元で聞いてみることにした

土曜日の予選は雨だったのでポンチョをかぶって松葉づえで移動。グランドスタンドの一番後ろで立ち見していたのですが、もてぎはアップダウンがあるので移動は意外と疲れました。
しかし決勝の日曜日はいい天気になったので車いすで移動ができる。
一緒に観戦する仲間に押してもらうことになるけど、昨日よりもスムーズに動けます。
せっかくなら決勝は取ったチケットを活かしたい。いろいろ思考を巡らせてインフォメーションにお伺いしました。

ここはグランドスタンドの一番後ろ。Vスタンドは下の方に見えるところでして…。
車椅子で松葉杖を抱えて、さらにオレンジの帽子とシャツ。やたらに知り合いから発見される(笑)

窓口のお姉さんに「車いす席に振り替えってできませんか」と質問。

もしグランドスタンドにある車いす用観戦席に空きがあれば、そこに振り替えてもらえないか、という相談をしたのです。
ところが「交換はできません。新たに車椅子観戦席のチケットを購入していだだければ入場できるのですが」との返事。
やっぱり駄目ですよねー。
じゃあ頑張って松葉づえで行くか…とあきらめかけたところで、お姉さんから思いがけない提案を受けました。

「Vスタンドの近くにまで車でお送りするサービスがあるのですが、ご利用してみてはいかがですか?」

あたまに???が浮かびましたよね。
へ?車で?
え、どうやって?

周囲の誰も知らなかった、もてぎのサービス

どうやら車いすユーザーや体が不自由な方向けに、希望する場所まで車椅子ごと乗れる車で送迎するサービスがあるそうなのです。

それはスゴイ! 思わず満面の笑みで「お願いします!」と返事。
インフォメーションの方が手配をしてくれて、ちょっと待っていたら軽バンが到着。
後部の荷台に車いすのまま乗車することができる福祉車両車です。
同行者は一人まで助手席に同乗可能だそう。

ホンダ・N-BOXの福祉車両車です
車いすに乗ったまま乗車できるので、スタッフさんにすべてお任せ。

私は車いすに乗ったままでスロープを押し上げてもらい車内で固定。
作業もテキパキとしています。
乗車完了するとすぐにスタート。
場内をグルグルっと走ってあっという間にV6スタンドのすぐそばに到着。
そこで降ろしてもらってから車いすで移動して、観覧席の階段の下に車いすを置かせてもらい、えっちらおっちら松葉づえで指定席まで登って観戦ができました!

コースがこんなに近いんですよ!

諦めないでよかったー!!
よりコースに近いKTM観戦席で迫力のレースをバッチリ見ることができました!

レースが終わって帰りたくなったら車内に案内があった電話番号でお迎えを呼びます。
ちょうどレースが終わったあとで、同じような送迎を望む方がいれば待ち時間が発生し、かつ、来場者が車で動き出すため自分たちの移動にも時間がかかります(ました)。
どうやら送迎車専用の特別なルートはないようです。

でもグランドスタンドの長い階段を、松葉杖をつきながら自力で上り下りすることを考えたら、どれだけ助かったでしょう。
健常の足や腕も疲れてきますから、それだけ転ぶ可能性も出てきちゃいますしね。

本当、インフォメーションに相談してよかったです。

2023年の日本グランプリでもサービスはある

このサービスは2023年に開催のMotoGP日本グランプリでも提供されるとのこと。
またほかのレースで同様のサービスがあるかどうかはレースの規模などによっても異なるそうなので、事前に確認が必要です。
利用を希望する際には、あらかじめモビリティリゾートもてぎの代表番号に問い合わせをして、サービスの有無や送迎車の申し込み方法などを聞いてみてください。

せっかくのチケットを無駄にしたくない!
世界最高峰のレースを現地で観戦して応援したい!
突然のケガで一時は諦めかけましたけれど、諦めないでよかった!

今回のケースでの駐車場は?

歩行が不自由な状態で長い距離を歩くのは辛い。
モビリティリゾートもてぎの駐車場にも、数は限られていますが身障者用スペースは用意されています。
通常、身障者スペースに駐車できるのは、障碍者手帳を持っている方とその付き添いの方だと思います。
ではケガ人はどうしたら?
代表番号に電話をして問い合わせをして相談してみてください。送迎サービスとともにいい方法を教えてくれるかもしれません。

著者プロフィール

NANA-KO 近影

NANA-KO