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ハートフォード・ミニエリート150……599,500円(消費税込み)
ホンダ・モンキー125(44万円)と比較する。タイヤサイズはどちらも前後12インチで、ホイールベースはミニエリート150の1161mmに対してモンキー125は1141mmと、車格はかなり近しいことが分かる。ちなみに公称シート高はミニエリート150の方が76mm低い。
原付二種より一回り以上トルクフルで、100km/h巡航も問題なし
工作機械のマシニングセンタなどを製造する台湾の協鴻工業が、1995年に設立した自社ブランドがハートフォードだ。もともとの優れた製造技術に加え、OEM生産を通じてバイク作りのノウハウを蓄積してきたメーカーだけに、信頼性は高いといっていいだろう。
輸入元のウイングフットが第一弾として販売するのが、前後12インチホイールを履くその名も「ミニエリート150」だ。車体寸法は原付二種のホンダ・モンキー125に限りなく近く、その小さなボディに15.2psを発生する150.1cc水冷シングルを搭載する。ちなみにモンキー125の最高出力は9.4psなので、パワーは何と約62%増しだ。
バランサーシャフトや6段ミッション、スリッパークラッチなどを採用する水冷SOHC4バルブ単気筒は、低回転域から意外なほど力強い。それもそのはず、モンキー125より6割以上パワフルとはいえ、およそ15.2psは125ccでも達成できない数字ではないからだ(ホンダのCB125RやスズキのGSX-R125などは最高出力が15psだ)。つまり、無理に高回転高出力を狙うのではなく、街乗りでの扱いやすさも考慮した結果がこのスペックなのだろう。
10,000rpm付近まで引っ張りつつポンポンとシフトアップしていくと、4速に入れるころには80km/hをオーバーする。トップ6速、100km/hでの回転数はおよそ7,000rpmで、エンジン的には高速道路の巡航も余裕ありといったところ。試乗車がまだ新しいということもあって、ローとセカンド間のシフト操作が硬く、また高回転域で手に微振動が伝わるとか、高速道路を巡航していると左の太ももに熱風を感じるなど、いくつか気になる点はある。だが、FIのセッティングは適切でレスポンスがよく、さらに耳へ届くメカノイズも少ないことから、完成度の高いエンジンと言っていいだろう。
前後12インチらしいクイックなハンドリング、前後ブレーキも優秀だ
ハンドリングは、12インチという小径ホイールと前後軸間距離の短さ、そして乾燥重量117kgという車体の軽さにより、軽快かつクイックに旋回するタイプだ。舵角の付き方はナチュラルであり、Uターンのような小回りから高速コーナーまで非常に扱いやすい。一方、高速道路では瞬間的に横風を食らうとフラつきやすいため、大型トラックなどが接近したときは要注意だ。また、リヤショックの動きがやや硬く、ハイスピードで大きなギャップを乗り越えたときにはお尻が跳ね上げられることも。早めに腰を浮かせて抜重するなど、乗り方でいなせば問題はない。
コーナリング中に意外と早くにステップ裏のバンクセンサーを擦ってしまうのもネガではあるが、それを恨めしく思うほどクイックな旋回性とパワフルなエンジンの組み合わせは楽しく、これがミニエリート150における最大の魅力だろう。なお、ブレーキは前後ともディスクで、このパワーと車重に対して十分以上の制動力を発揮。加えて、モンキー125はフロントのみABSを採用するのに対し、こちらは前後とも介入する2チャンネル式ABSなので、その点でも優れていると言えるだろう。
車両価格は60万円をわずかに下回る59万9500円。同じ排気量のスズキ・ジクサー150よりも20万円以上高く、さらに付け加えるとプラス1万1000円でホンダ・レブル250が買えてしまう値段だ。とはいえ、こうした小径ホイールのマニュアルトランスミッション車が好きな人にとっては、こうして他車と比べること自体が野暮な話だろう。このサイズ感で自動車専用道路も走れてしまうことがロマンであり、高速道路を走っている際に周囲のライダーやドライバーから向けられる奇異と羨望の眼差しは快感の一言だ。現在、取り扱いディーラーは全国に6店舗しかないが、その希少性も魅力の一つ。少しでも気になる方はショップへ足を運んでほしい。
ライディングポジション&足着き性(175cm/65kg)
乗車1Gでリヤショックはほとんど沈まないが、それでもシート高は700mmと低いので足着き性は優秀だ。車格は原付二種並みにコンパクトだが、ハンドルグリップの位置が高く、シートとステップの距離も近すぎないので、高身長のライダーが乗っても窮屈感はない。