シトロエン SMを彷彿させる「SM トリビュート」

DSの最新デザインコンセプト「SM トリビュート」がワールドプレミア「シトロエン SMのオマージュ」【動画】

DSオートモビルは、現在開催中の「シャンティイ・アーツ&エレガンス 2024」において、デザインコンセプト「SM トリビュート」を初公開した。
DSオートモビルは、現在開催中の「シャンティイ・アーツ&エレガンス 2024」において、デザインコンセプト「SM トリビュート」を初公開した。
ステランティス傘下ラグジュアリーブランド「DSオートモビル」は、1970年に発表された「SM」をオマージュしたコンセプトカー「SM トリビュート」を発表した。SM トリビュートは、9月12〜15日にフランスのシャンティイ城で開催される「シャンティイ・アート&エレガンス 2024」において公開される。

DS SM TRIBUTE

現代に蘇った「シトロエン SM」

シトロエン SMとDS SM トリビュート。
1970年に前衛的なスタイルを持って発表された「シトロエン SM」、その美しいデザインをオマージュしたデザインコンセプト「DS SM トリビュート」。

2020年春、DSオートモビルは「#SM2020」と銘打った一連のデザインスケッチを、ソーシャルネットワーク上に公開した。この時は、1970年に発表されたシトロエン SMへのオマージュをテーマに、DSデザイン・スタジオ・パリのデザイナーが社内でクリエイティブなコンペを行い、スケッチを完成させた。

それ以降も、DSデザイン・スタジオ・パリのデザインチームは、シトロエンの歴史的なモデル「DS」と「SM」をテーマにしたレガシープロジェクトを定期的に取り組んできた。今回、シャンティイ・アート&エレガンス 2024で公開された「SM トリビュート」について、DSオートモビルズのデザインディレクターを務めるティエリー・メトロズは次のようにコメントしている。

「私たちは、10年後に登場する未来のモデルに関する研究を進めるため、シトロエンの象徴的なモデルの遺伝子を現代へと蘇らせるプロジェクトを手掛けてきました。2020年以降、SMをテーマにいくつかのデザインを検討し、今回のシャンティイにおいて『SM トリビュート』を公開することになりました」

「多くの自動車ファンが、『#SM2020』のスケッチ公開後、いくつかの心強いメッセージを送ってくれました。シトロエンの伝統を象徴するモデルに多くの人が愛着を持っているということ。そして、オリジナルのデザインを損なってほしくないと考えていることが分かりました」

「DSとSMというアイコンを通して、私たちのレガシーを育てながら、さらに先に進む必要があります。前衛的なデザインへの強い結びつきを、そこから引き出したいのです」

メトロズの言葉通り、SM トリビュートは単なるSMへのオマージュではなく、DSオートモビルズの誕生、そしてシャンティイ・アート&エレガンスへの参加から10周年を記念したモデルとして製作されている。

先進的な技術と前衛的なスタイル

シトロエン SMのエクステリア。
オリジナルのシトロエン SMは、DSから引き継いだ油圧式サスペンション「ハイドロニューマチック」を搭載。可動式角型6灯型ヘッドライトなど、前衛的なエクステリアが採用された。

1970年代デビューを飾ったシトロエン SMは、当時の自動車技術の頂点を体現していた。ロベール・オプロンがデザインし、エアロダイナミクスを極めたスタイリングはエレガントかつ先進的。ボンネットにはパワフルな2.7リッター/2.9リッターV型6気筒エンジンが搭載され、卓越したオンロード性能を発揮した。

足まわりには、DSから受け継いだハイドロニューマチック・サスペンションを搭載。油圧式サスペンションによる快適性、高い空力レベルによってもたらされたパフォーマンス、可動式角型6灯型ヘッドライトなどの前衛的なエクステリアが融合したSMは、まさにシトロエンを代表する伝説的な1台となった。

SMはまた、細部まで拘り抜かれたインテリアも備えていた。上質なマテリアル、精緻な作り込み、計算された人間工学が、車内にひときわ洗練された雰囲気をもたらしていた。円形の計器類と特徴的なステアリングホイールを備えたダッシュボードは機能的でありながら、独自の美学を持つ。また、エアコンやパワーステアリングなど、当時としては充実の装備も備えている。

SMのデザイン要素を現代的に解釈

SMをオマージュしたデザインコンセプト、「DS SM トリビュート」のエクステリア。
ガラスで覆われたフロントグリルや、フロントからリヤに向かって絞られるフォルムなど、オリジナルのSMが持つデザイン要素が限定的に再解釈された。

オリジナルのSMが持つダイナミズムと軽快さは、SM トリビュートの細身でありながら筋肉質なシルエットに反映された。2台の直接的なつながりは、象徴的なフロントセクションと長いボンネットによるサイドセクションによって強く特徴づけられている。DSオートモビルズのヘッド・オブ・エクステリアデザインのフレデリック・スビルは、SMのデザインについて次のように説明を加えた。

「私たちは、プロトタイプや大統領専用車など、いくつかのSMを研究し、インスピレーションを得ました。それぞれに印象的な特徴があり、まるで道の上を飛んでいるような印象を与えてくれました。このデザインをベースに、私たちが持つ現代性を加えました」

SMにはアッパーグリルが存在せず、ヘッドライト・モジュールとナンバープレートがレイアウトされた、大きなガラス面がフロントセクションを占めている。50年の時を経て、このガラス面は3Dスクリーンとなり、センターに「DS」のブランドバッジを配置。オリジナルと同様に左右3つのモジュールで構成されたライトシグネチャー、船の舳先のように組み合わされた8つのダイヤモンドチップ、そして縦型デイタイム・ランニング・ライトで構成される。

ボディ全体のフォルムは、SMの特徴的なラインを踏襲し、フロントからリヤへと流れるエアフローに沿って細く絞られていく。リヤホイールには、SMと同様に取り外し可能なエアロダイナミクス・インサートを装着。エクステリアカラーは、1971年のパンフレットに掲載されたゴールドリーフカラーを再解釈し、ハンドメイドのパティーヌを施したサテンニスと、特別に調色したブラックが組み合わせられている。

全長が4940mm(+30mm)、全高が1340mm(+20mm)、全幅が1980mm(+140mm)と、オリジナルのSMとほぼ変わらないプロポーション。足元には22インチ軽量アロイホイールが奢られている。

アバンギャルドなインテリアを再現

SMをオマージュしたデザインコンセプト、「DS SM トリビュート」のデザインスケッチ。
発表当時、「未来のクルマ」と言われたSMの特徴的なインテリアをアイデアのベースに、コクピットにはプロジェクション式インフォーメーション・ディスプレイが組み込まれた。

インテリアは、ダッシュボードの特徴的な形状や、楕円形のメーター類など、1970年のデザイントレンドが再解釈された。SMが持つアバンギャルドな精神を損なうことなく、インフォメーション・ディスプレイはプロジェクション方式を採用。ステアバイワイヤ式ステアリングホイールに接続された、曲面型スクリーンコンソール が、光と音でパッセンジャーを包み込む。

シートとトリム類は、アイボリーのレザーとアルカンターラで構成。ダッシュボード前面の大型ディスプレイケースは、様々な情報をドライバーの好みに合わせて表示することができる。シートはSMを象徴する水平基調のクッションが採用された。

SM トリビュートを動画でチェック!

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ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…