最高出力748PSのハイパーSUV「BMW XM レーベル 」に試乗

最高出力748PSが自慢のハイパーSUV「BMW XM レーベル 」の実力をチェック「なお最大トルクは1000Nm」

M専用車として昨年登場したスーパーSUV「BMW XM」のラインナップにおけるトップグレードとして追加された「XM Label」。
M専用車として昨年登場したスーパーSUV「BMW XM」のラインナップにおけるトップグレードとして追加された「XM Label」。
史上2モデル目となるM専用車として昨年登場したスーパーSUV「BMW XM」。そのXMのラインナップにおいて、頂点に立つ「XM Label」が追加になった。システム・アウトプット748PS/1000NmというハイパーSUVの実力を見ていこう。(GENROQ 2024年5月号より転載・再構成)

BMW XM Label

Mブルックリングレーメタリックは専用ボディカラー

史上2モデル目となるM専用車として昨年登場したスーパーSUV、BMW XM。 そのXMのラインナップにおいて、頂点に立つXM Labelが追加になった。 システム・アウトプット748PS/1000NmというハイパーSUVの実力を見ていこう。
システム・アウトプット748PS/1000NmというハイパーSUVが駆ける。

ホイールを含む全体がブラックかそれに近いダークカラーのハイパフォーマンスカーは珍しくないが、圧倒的な存在感のフロントマスク、巨大な車体と組み合わせられると威圧感がハンパない。なんというか午前中が似合わない。映画に出てくるなら、等身大のヒーローが乗る、ところどころ凹んだ型落ちのオペルあたりを複数台で無慈悲に追いかけ回す悪役のクルマといったところか……。

「XM」はノーマルが存在しないM専用のモデルであり、SUVでありながらサーキット走行も視野に入れたハイパフォーマンスのプラグインハイブリッドモデルだ。今回試乗した「レーベル」は簡単に言えば、そのハイスペックバージョン。他のMモデルでいうコンペティションだと考えればわかりやすい。

見た目は形状こそ変わらないが、ところどころ差別化が図られている。キドニーグリルやウインドウまわりのアクセントバンドがハイグロスブラックとなるほか、エンブレムが赤く縁どられる。そもそもボディカラー自体がMブルックリングレーメタリックという専用色だ。

気の抜けた格好では乗れない

ドアを開けた瞬間、目に飛び込んでくるのはインディビジュアルのエクステンドレザーメリノシートだ。ブラックを基調に、上部に鮮やかなフィオナレッドの差し色が入っていて美しい。問題は乗る者におしゃれな服装を要求してくること。気の抜けた格好で乗るのは気が引ける。

ボタンを押して始動させると重低音のウェルカムサウンドが聴こえる。グラミー賞やアカデミー賞を受賞した映画音楽の作曲家ハンス・ジマーによって生み出されたサウンドで、実際に気分が上がる。かつてのスポーツカーは始動とともにエンジンサウンドを轟かせてドライバーを高揚させたが、最新の電動ハイパフォーマンスカーはデジタルサウンドがその役割を担う。

ステアリングホイールに配置される各種スイッチは他のMハイパフォーマンスモデルに準じる。ATセレクターおよびその周辺のスイッチ類もしかり。Mに慣れた人であれば戸惑うことはないだろうが、なかなかの初見殺しでもある。ドライブモード選択はきめ細かい。駆動システム(モーターの特性)、回生(の強さ)、シャシー(足まわりの硬さ)、ステアリング(のアシスト量の強さなど)、ブレーキ、そしてxドライブ(4WDの前後トルク配分など)をそれぞれ調整できる。ステアリングの左右親指の位置にある赤いボタンによって2種類の好きなプリセットを一発で呼び出すことができる。

2.7tをものともしない加速

空いた早朝の都心を流すように走らせる。バッテリーの総電力量は29.5kWhとPHVとして最大級で、電力に余裕がある限り、一般道での通常の走行ではエンジンがかかることはない。街行く人にとっては映画をミュートで観ている感覚だっただろうか。

深くアクセルペダルと踏み込むと即座にエンジンに火が入り、モーター+エンジンのパワーが手に入る。通常のXMと異なるのはエンジンの部分で、XMのエンジン最高出力が360kW(489PS)なのに対し、レーベルでは同430kW(585PS)となる。

今回の試乗では、XMとレーベルの差ははっきりとは感じ取ることができなかった。通常のXMでもひと踏みすると車両重量2.7tをものともしない加速が手に入る。システムトータルの最高出力95‌PSの差は、そのままエンジンの同96‌PSの差からきているので、違いはエンジンを高回転まで回す領域での加速の伸びに現れるのだろう。公道では高速道路の合流(の後半)あたりでしか感じ取ることができないかもしれない(公式発言)。

一方レーベルの最大トルクはXMのそれに対し200Nmアップしている。これも元々800Nmというとんでもない大トルクを、モーターの特性によって発進と同時に発揮するので、それが1000Nmになったところではっきり違いを体感するのは難しい。走行中、車速や道路環境がどうあれ踏めばドカーンといくが。その「ドカーン」のフォントが大きいという感じ。とにかく高い負荷をかけられる場面、すなわちサーキットなどで思う存分走らせてみたい。そう思わせるのがレーベルだ。

Mハイパフォーマンスモデルの乗り味

史上2モデル目となるM専用車として昨年登場したスーパーSUV、BMW XM。 そのXMのラインナップにおいて、頂点に立つXM Labelが追加になった。 システム・アウトプット748PS/1000NmというハイパーSUVの実力を見ていこう。
史上2モデル目となるM専用車として昨年登場したスーパーSUV、BMW XM。 そのXMのラインナップにおいて、頂点に立つXM Labelが追加になった。 システム・アウトプット748PS/1000NmというハイパーSUVの実力を見ていこう。

装備される電子制御ダンパーとアクティブロールスタビライザーを備えたアダプティブMサスペンションプロフェッショナルは、快適に走行したいときには快適に、速く走行したいときには引き締まってスポーティに変化してくれる、しかも瞬時に変化してくれるのだが、超大径タイヤを装着していることもあって、大前提として常に硬めの乗り心地に終始する。硬いというかゴツゴツしている。轍の影響を非常に受けやすい。

こんななりだがサイズを活かしてユーティリティ性は高い。ただしラゲッジよりも後席の広さを優先させている。ただし快適性を最優先させる人にはオススメできない。当たり前と言えば当たり前か。Mハイパフォーマンスモデルなのだから。

搭載されているエンジン、モーター、バッテリー、最先端の快適&安全装備を考えると、2420万円というプライスが安く感じる。

REPORT/塩見 智(Satoshi SHIOMI)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
MAGAZINE/GENROQ 2024年 5月号

SPECIFICATIONS

BMW XM Label

ボディサイズ:全長5110 全幅2005 全高1755mm
ホイールベース:3105mm
車両重量:2730kg
エンジン:V型8気筒DOHCターボ
総排気量:4394cc
最高出力:430kW(686PS)/6000rpm
最大トルク:750Nm(76.5kgm)/1800-5400rpm
モーター:交流同期電動機
最高出力:145kW(197PS)/6000rpm
最大トルク:280Nm(28.6kgm)/1000-5000rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前275/35R23 後315/30R23
0-100km/h加速:4.3秒
車両本体価格:2420万円

【問い合わせ】
BMWカスタマー・インタラクション・センター
TEL 0120-269-437
https://www.bmw.co.jp/

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著者プロフィール

塩見 智 近影

塩見 智

1972年岡山県生まれ。1995年に山陽新聞社入社、2000年に『ベストカー』編集部へ。2004年に二玄社『NAVI』…