新型「ポルシェ マカン」に導入されたアクティブ・エアロダイナミクス

フル電動「ポルシェ マカン」に採用された革新的な空力デバイス「大幅な航続距離の延長を実現」

自動展開するリヤスポイラーなど、EV専用モデルへと生まれ変わった新型マカンには、革新的なアクティブ・エアロダイナミクスが導入されている。
自動展開するリヤスポイラーなど、EV専用モデルへと生まれ変わった新型マカンには、革新的なアクティブ・エアロダイナミクスが導入されている。
2024年1月、ポルシェはフル電動パワートレインを搭載する2代目「マカン」をワールドプレミアした。ICE搭載モデルを廃止し、EV専用モデルとなったマカンは、コネクティビティ、航続距離、ドライビングダイナミクスなど、あらゆる指標においてセグメントのベンチマークとなる存在だ。中でもアクティブ・エアロダイナミクスは、マカンを語る上で外せないファクターだと言えるだろう。

Porsche Macan

そのフォルムには“意味”がある

自動展開するリヤスポイラーなど、EV専用モデルへと生まれ変わった新型マカンには、革新的なアクティブ・エアロダイナミクスが導入されている。
マカン採用されたクーペのような流線型のフォルムや、911を思わせるリヤセクションは、エアロダイナミクスを徹底的に通級する中で生み出された。

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自動展開するリヤスポイラーなど、EV専用モデルへと生まれ変わった新型マカンには、革新的なアクティブ・エアロダイナミクスが導入されている。

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ポルシェを名乗る以上は、EVと言えども、ドライビングの楽しさを追求する必要があった。マカンも強大なパワーだけでなく、ポルシェらしいドライブフィールを実現している。

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マカン採用されたクーペのような流線型のフォルムや、911を思わせるリヤセクションは、エアロダイナミクスを徹底的に通級する中で生み出された。

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アクティブ・エアロダイナミクスの採用に加えて、フラットボトムの導入や、空力に特化したホイールとタイヤの採用により、新型マカンはポルシェSUV史上最高の空気抵抗係数、Cd値0.25を実現した。

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BEVへと生まれ変わった「ポルシェ マカン」のコクピット。

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自動展開するリヤスポイラーなど、EV専用モデルへと生まれ変わった新型マカンには、革新的なアクティブ・エアロダイナミクスが導入されている。

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自動展開するリヤスポイラーなど、EV専用モデルへと生まれ変わった新型マカンには、革新的なアクティブ・エアロダイナミクスが導入されている。

アウディと共同開発されたEV専用アーキテクチャー「プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック(PPE)」をベースに開発された最初のモデルとしてデビューを飾った新型「ポルシェ マカン」。PPEはアウディとの開発シナジーの恩恵を受けるだけでなく、ポルシェが独自に掲げる技術的ターゲットや経営目標を実現するための高い柔軟性も備えている。ポルシェの屋台骨を支えてきたミドルサイズSUVの電動化は、2030年までに新車の80%以上をフル電動化しようとしているポルシェにとって、非常に大きな意味を持っている。

新型マカンのクーペのようなルーフライン、ポルシェらしいフォルムを持つ印象的なリヤセクションは、911のタイトなフライラインを思わせるものだ。しかし、新型マカンで採用されたエクステリアは、ただポルシェのアイコンへのオマージュではない。リヤスポイラーを含むこの形状は、フル電動SUVに革命を起こすレベルの新基軸なのである。

デザイン部門「スタイルポルシェ」と同じ建物内にあるヴァイザッハの風洞施設は、新型マカンのエクステリアに“意味”を与えることなった。ポルシェAGにおいて空力スペシャリストを務めるトーマス・ヴィーガンドは、マカンに導入されたアクティブ・エアロダイナミクスについて次のように説明した。

「自動的に展開するリヤスポイラー、フロントエアインテークのアクティブ冷却フラップ、アンダーボディのフレキシブルカバーなど、マカンに採用されたアクティブ・エアロダイナミクス・エレメントは、すべて航続距離に大きく貢献しています」

ポルシェSUV史上最高のCd値0.25

自動展開するリヤスポイラーなど、EV専用モデルへと生まれ変わった新型マカンには、革新的なアクティブ・エアロダイナミクスが導入されている。
アクティブ・エアロダイナミクスの採用に加えて、フラットボトムの導入や、空力に特化したホイールとタイヤの採用により、新型マカンはポルシェSUV史上最高の空気抵抗係数、Cd値0.25を実現した。

ヴィーガンドによる、マカンのエアロダイナミクスに関する説明を続けよう。

「フロントで目につくのは、中央のエアインテークです。冷却フラップは開閉可能となっており、温度調節ができるように設計しました。完全に開くと、充電中のバッテリーを冷却し、バッテリーを保護して寿命を延ばす効果があります」

「一方、走行中はフラップを閉じることで空気抵抗を減らし、航続距離を伸ばすことが可能になります。車両の温度センサーが冷気を求めると、この可変フラップは再び展開します。こうすることで、バッテリーとエンジンの最適な冷却、車内の空調、そしてあらゆる走行状況におけるブレーキ性能を確保することができるのです」

空気抵抗は航続距離に直接影響し、空気抵抗が10%減少すれば、航続距離は21kmも増加する。そのため、アンダーボディにもアクティブコンポーネント「フレキシブルカバー」が採用された。新型マカンはレーシングカーのようにアンダーボディがフラットボトム化されており、リヤホイール周囲でさえもクローズド化されている。

さらに流線型かつ、大部分がクローズド化されたホイールや、エアロダイナミクスに最適化されたタイヤと組み合わせられることで、より大きな空力的恩恵を受けることになった。例えば、田舎道をクルージングするとき、マカンは自動的に理想的なエアロダイナミクスのセットアップを行う。リヤスポイラーはエコポジションに展開され、可変フラップは閉じ、車高は低く保たれる。これらの様々なアイデアによって、マカンはCd値0.25という、ポルシェSUV史上最高の空気抵抗係数を実現した。

ポルシェに求められるドライブの楽しさ

自動展開するリヤスポイラーなど、EV専用モデルへと生まれ変わった新型マカンには、革新的なアクティブ・エアロダイナミクスが導入されている。
ポルシェを名乗る以上は、EVと言えども、ドライビングの楽しさを追求する必要があった。マカンも強大なパワーだけでなく、ポルシェらしいドライブフィールを実現している。

航続距離を大きく伸ばした最新のアクティブ・エアロダイナミクス、コクピットに導入された画期的なオペレーティングコンセプト、新型EV専用アーキテクチャーに搭載されたモーターとバッテリー。そして、新型マカンは、ポルシェを名乗る以上、最終的にドライビングの楽しさを追求する必要があった。

「そうでなければ、マカンはポルシェではありませんからね」と、ドライビングダイナミクス担当マネージャーとして、マカンを含むSUVシリーズとパナメーラの責任者を務めるモーリス・ヴァン・デ・ウェールドは指摘する。彼のチームは、最高出力639PS、最大トルク1130Nmという驚異的なパフォーマンスを誇る新型マカンに、リヤ重視のキャラクターを与えた。

 「私たちの開発目標は、走行安定性とトラクションを最大化し、これまでにない俊敏性と快適性を確保することでした」と、ヴァン・デ・ウェールド。正確な全輪駆動制御、わずかだがリヤに重点を置いた重量バランス、専用設計されたショックアブソーバーなどが、新型マカンにポルシェらしいドラビングプレジャーをもたらしている。

シンガポールで華々しく開催された、新型ポルシェ マカンのワールドプレミアイベント。

EVとして生まれ変わった新型「ポルシェ マカン」が登場「最高出力639PS」「最大航続距離は613kmを確保」【動画】

ポルシェAGは、フル電動化された新型「マカン」を発表した。最高出力470kW(639PS)の電動パワートレインを搭載した2代目マカンは、あらゆる路面でのパフォーマンスを発揮し、日常における高水準の使いやすさを実現。270kWの高性能急速充電に対応し、最大航続距離は613kmが確保されている。日本国内における新型マカンの予約受注開始日、価格、仕様などは、決まり次第、発表される予定だ。

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ゲンロクWeb編集部 近影

ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…