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Aston Martin Vanquish Volante
「ヴァンキッシュ」登場60年記念モデル

2024年9月に発表された3代目「ヴァンキッシュ」のオープン仕様として開発された「ヴァンキッシュ ヴォランテ」は、ヴォランテ登場60周年モデルであり、アストンマーティン史上最速・最強のオープントップ生産車両として開発されたと謳う。
最高出力835PS、最大トルク1000Nmを発揮する、アストンマーティン製5.2リッターV型12気筒ツインターボエンジンを搭載。オープン化による重量増は最小限に抑えられており、0-100km/h加速は3.4秒、最高速は344km/hに達するという。クーペ同様、現在販売されている市販モデルのなかで最速・最強のフロントエンジン搭載モデルとなる。
アストンマーティンのエイドリアン・ホールマークCEOは、ヴァンキッシュ ヴォランテについて次のようにコメントした。
「60年にわたり“ヴォランテ”は、エレガントでスポーティなオープントップスポーツの代名詞となってきました。ヴァンキッシュ ヴォランテは、その美しいエクステリアと最強のV12エンジンによって、市販されている全てのフロントエンジンモデルよりも高いパワーを発揮します。ヴァンキッシュ ヴォランテのパフォーマンスが示すように、私たちは未来に目を向けながら、伝統を受け継いでいきます」
835PSを発揮する5.2リッターV型12気筒ツインターボ

ヴァンキッシュ ヴォランテは、ヴォランテ クーペに続き、新開発5.2リッターV型12気筒ツインターボエンジンを搭載する。このV12エンジンは、2000年にデビューした「DB7 ヴァンテージ」を起源に持つ。以来25年、アストンマーティンを象徴するV12エンジンのパワーは426PSから835PSへとほぼ倍増し、最大トルクも543Nmから1000Nmに向上しした。
ヴァンキッシュに搭載されるV12の最新スペックは、わずか2500rpmで最大トルクを発生。これは先代エンジンが必要とした回転数のちょうど半分となる。性能が大幅に向上しているにもかかわらず、ヴァンキッシュ ヴォランテの総重量は95kgの増加に抑えられており、パワーウェイトレシオは1トンあたり313PSから416PSに向上した。
リヤアクスル内に配置されたZF製8速ATにより、最適な重量配分が実現。クーペと同様「E-diff」が組み込まれており、フル開放から135ミリ秒で完全ロックが可能となっている。最新のエレクトロニック・スタビリティ・プログラム(ESP)と組み合わせることで、低中速域からハイウェイ、ドリフトまであらゆる運転パターンに対して適切なトラクションを得ることが可能になったという。
クーペと変わらぬパフォーマンスを実現

サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン、リヤがマルチリンク。ビルシュタイン製DTXダンパーは各ドライブモードに合わせたホイールコントロールを行う。ヴァンキッシュ ヴォランテにはオープン化による重量配分の変化を考慮し、専用のサスペンションチューニングが施された。
強大なパワーを支えるカーボンセラミック・ブレーキシステムを標準装備し、フラッグシップにふさわしい制動力を発揮。重量は従来の鉄製ディスクより27kgも軽く、ディスク寿命と耐フェード性が大幅に向上した。
今回、クーペとコンバーチブルのヴォランテを同時開発。接合アルミニウム構造を導入したことで強化されたアンダーボディの剛性レベル、従来のフラッグシップコンバーチブルと比較し、横方向の剛性レベルが75%もアップを果たしたと謳う。しかも、重量増加を最小限に抑えながら、最大限のねじり剛性を維持しているという。
アストンマーティンのビークルパフォーマンス担当ディレクターのサイモン・ニュートンは、ヴァンキッシュ ヴォランテについて次のように説明を加えた。
「ヴァンキッシュ ヴォランテが、クーペと同じクラストップレベルのパフォーマンスを発揮できるようにするため、当初からクーペとヴォランテを同時開発しています。これにより、ボディ構造の最適化とシャシーチューニングを組み合わせることで、ルーフを展開することによる妥協を排し、クーペと変わらないダイナミックなパフォーマンスとキャラクターを維持することができました」
14秒で開閉可能なKフォールドルーフ

軽量構造「Kフォールドルーフ」は14秒でクローズドから状態からルーフを収納し、オープンからクローズドへも16秒で行うことが可能。センターコンソールに配置されたエレガントなメタルスイッチにより、50km/hまでの移動中でもルーフの開閉を行うことができる。また、ルーフの開閉は半径2メートル以内でキーフォブからの遠隔操作に対応する。
ファブリックルーフながらも、ヴァンキッシュ クーペと変わらない断熱レベルを確保したという。遮音性を高めたファブリックルーフは、シームレスに流れるボディのラインを妨げることなく、シート後方のトノー下部に収納される。収納時のルーフ高はわずか260mmに抑えられた。
エグゼクティブ・バイス・プレジデント兼チーフクリエイティブオフィサーのマレク・ライヒマンは、ヴァンキッシュ ヴォランテのデザインについてコメントした。
「今回、アストンマーティンのコアにあるDNAを維持することが課題となりました。優れたプロポーションとドラマティックをフォルムを実現するため、クーペと同時にヴォランテを作り上げることが極めて重要でした。Kフォールドルーフ・システムにより、エレガントなパッケージングに一切の妥協はありません」
あえて物理スイッチが残されたコクピット

コクピットは最新のタッチスクリーンテクノロジーを導入。10.25インチ・TFTフルデジタルメーターを配置し、水平基調のインスツルメントパネルのセンター部には10.25インチ・ピュアブラック・タッチスクリーンが組み合わせられた。アストンマーティンの伝統として、デジタル化を進めながら、操作系に物理的スイッチも残されている。
シャシー、ESP、エキゾースト、パークディスタンスコントロールなどのプッシュスイッチが並んで配置され、ドライバーが道路から目を離すことなく、様々なコントロール系を操作することができる。ヴァンキッシュ ヴォランテ専用としてルーフ開閉スイッチと、「ADAS」コントロールに直接アクセスするための新たなショートカットボタンも追加された。
オーディオ・パートナーのBowers & Wilkins製オーディオを標準装備。サウンドシステムはコクピットにシームレスに統合され、ヴァンキッシュ ヴォランテのために専門的にチューニングされた15スピーカーシステムは、ドライバーとパッセンジャーに魅惑的なリスニング体験を提供する。
ヴァンキッシュ ヴォランテは2シーターのみの設定。「+2」リヤシートは用意されず、シート後方は荷物を置くスペースとなる。アクセサリーとして用意されたサドルレザー製ラゲッジセット専用の収納エリアとなる。