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Chevrolet Corvette Concept Car
5番目のグローバルデザイン拠点

英国バーミンガムから約20マイルのロイヤル・レミントン・スパに、ゼネラルモーターズ(GM)が新たなデザインスタジオ「UKデザインセンター」を開設した。新たな先進デザイン拠点「UKデザインセンター」を設けたことは、英国だけでなく欧州市場において、これまで以上にGMが関与を深めていくことの表れとも言える。今後、英国と欧州でキャデラックのフル電動モデルの販売規模を拡大。さらに、新型コルベットの欧州導入計画もあるという。
GMのグローバルデザインの重要な拠点となるUKデザインセンターは、ヨーロッパのカスタマーや文化的傾向に関する貴重なフィードバックをもたらすという。GMは他にもグローバルデザイン拠点として、米国デトロイトとロサンゼルス、中国の上海、韓国ソウルにデザインスタジオを設けている。
今回、UKデザインセンターのオープニングセレモニーには、「シボレー コルベット コンセプトカー」の初公開に加えて、デトロイトのGMCデザインチームが製作し、2025年後半に公開予定のGMC コンセプトカーも持ち込まれた。
UKデザインセンターには、ロータスやジャガーなど経験豊富な自動車デザイナー、ジュリアン・トムソンがトップに就任。2万4584平方フィートという広大な敷地を誇るロイヤル・レミントン・スパのスタジオには、30名以上のデザイナーとクリエイティブチームのメンバーが在籍し、デジタルデザインとクレイモデル制作の両方に対応する。
GMのグローバルデザイン担当副社長を務めるマイケル・シムコウは、今回のUKデザインセンター開設について次のように説明を加えた。
「私たちのアドバンスド・デザインチームの仕事は、生産車の開発だけに留まりません。グローバル・デザインネットワークのなかで、生産車やコンセプトカーのプログラムに協力することで、5年後、10年後、そして20年後のモビリティの姿を想像し、GMのイノベーションを推進することが彼らに与えられた使命となります」
英国チームが考えた未来の「コルベット」

これまで、GMでは「コルベット」のネームプレートが、デザインコンセプトやプロトタイプに活用されてきた歴史を持ってきたという。つまり、今回UKデザインセンターのオープンに合わせて製作された「コルベット コンセプトカー」も例外ではなく、市販化の予定こそないものの、英国のデザインチームは、完全な白紙から「コルベットのあり方」を再考するエクササイズとして取り組んだという。
「今回、コルベットのクリエイティブ・デザインスタディの一環として、それぞれのデザインスタジオに『ハイパーカーコンセプト』の製作を依頼しました。すべてのスタジオがコルベットの歴史的なDNAに敬意を表しつつ、それぞれが独自の創造的な解釈をもたらしています。それこそが、我々が先進的なデザインスタジオネットワークを構築しようとする意図だと言えるでしょう」と、シムコウ。
英国のデザインチームは、クリーンで筋肉質なフォルムをメインに、コルベットのアイコニックなデザインの伝統を未来的な美学のなかにさりげなく採り入れた。このデザインはデザイン面と機能面に関して、最新の航空機からもインスピレーションを得ている。
車両のアッパーパートとロワパートで異なる特徴を備えており、上半分はコルベットのクラシカルなデザイン要素を未来的な方法で表現。下半分は機能的なテクニカルデザインに重点を置いており、EV用のバッテリーテクノロジーを構造に組み込んだり、ウイングやスポイラーを必要とせずに効率的なエアフローを実現するようエアロダイナミクスが設計されている。
「今回、私たちは『アペックス・ビジョン( Apex Vision)』とというコンセプトを掲げました。アイコニックな1963年型シボレー コルベット スティングレイの『スプリットウィンドウ』を採り入れています」と、UKデザインセンターを率いるジュリアン・トムソンはコメントしている。