GMの名車紹介コラム『レトロ・ライド』第2回「GM XP 512E」

50年前に誕生したEVシティコミューター「GM XP 512E エクスペリメンタル」こそGM製EVの起源【動画】

GMの名車紹介コラム『レトロ・ライド』第2回は、50年以上前に登場したフル電動コミューター「GM XP 512E」。
GMの名車紹介コラム『レトロ・ライド』第2回は、50年以上前に登場したフル電動コミューター「GM XP 512E」。
ゼネラルモーターズ(GM)が、その長い歴史の中から注目すべき車両を取り上げるコラム『レトロ・ライド(Retro Rides)』。第2回目は、50年以上も前にGMが開発した小さな電気自動車「GM XP 512E エクスペリメンタル」を取り上げる。

1969 GM XP 512E

50年以上前に登場した電動シティコミュター

GMの名車紹介コラム『レトロ・ライド』第2回は、50年以上前に登場したフル電動コミューター「GM XP 512E」。
GMは実証実験車両として、1969年に電気モーターをリヤアクスルに搭載した電動シティコミューター「512 エレクトリック エクスペリメンタル(512E)」を開発した。

2025年第1四半期、ゼネラルモーターズは電気自動車(EV)の販売台数を前年同期比でほぼ倍増させた。今や市街地、ハイウェイなど至る所で見かけるようになったEVだが、その成功は一夜で成し遂げられた訳ではない。GMは実に半世紀以上にわたって、EVの開発・普及に取り組んできた。

1996年にデビューした「GM EV1」は、大手自動車メーカーが初めて量産したEVである。さらに「シボレー ボルト」は米国で初めて市販されたプラグインハイブリッド(PHV)として2010年に市場に投入された。しかし、もっと前にデビューし、はるかに無名で、そしてもっと小さなGM製EVがあるという。

正式名称は「512 エレクトリック エクスペリメンタル(以下、512E)」。512Eは1969年5月、GMの革新的車両展示会プログレス・オブ・パワー(Progress of Power) においてデビューを飾る。全長86.3インチ(約2192mm)、全幅56インチ(約1422mm)、ホイールベース52インチ(約1321mm)の小さな電動シティコミューターは、市販こそされなかったものの、一部に強烈なインパクトを与えることになった。

グラスファイバー製ボディにスチール製のフロアパンを備え、車重は1250ポンド(約137kg)。84Vの鉛バッテリーパックとDCモーターをリヤアクスルに搭載した512Eは、25mph(約40km/h)で最大58マイル(約93km)、最高速度30mph(約48km/h)で47マイル(約75km)の航続距離を持っていた。

取り外し可能なグラスキャノピー

グラスキャノピーは開けたまま走行できるほか、キャノピー自体を取り外すこともできた。
乗降は、グラスキャノピーを開け、横ヒンジのフロントドアを開閉して行う。キャノピーを開けたまま走行できるほか、それ自体を取り外すこともできた。

512Eは、現在一般的なレベル2充電器(240V)が登場するかなり前に開発されており、一般的な115Vの家庭用コンセントを使って充電。フル充電に約7時間を要したという。車載の12Vバッテリーは、ヒーター、ヘッドライト、テールライト、ウィンカー、ワイパー、ホーンなどの車載アクセサリーに電力を供給するために使われている。

インテリアは2名用のベンチシート、アクセルとブレーキ、ステアリングホイール、灰皿を装備。GMが発表したプレスリリースによると、512Eは、天気の良い日にはキャノピーを前面に上げられるよう設計されており、ユニークな“コンバーチブル”としてもドライブできたという。また、キャノピーは取り外して走行することも可能となっている。

「プログレス・オブ・パワー」では512 シティカー・コンセプトとして、フル電動仕様の512Eのほか、燃費のよい12PSの直列2気筒ガソリンエンジンを搭載したロードスター、オール電化またはハイブリッドモードで運転できるプラグインハイブリッドモデルが公開された。プラグインハイブリッド仕様は、燃料タンクとバッテリーを満タンにした状態であれば、わずか3ガロン(約11L)のガソリンで、最大150マイル(約240km)走行できたという。

「GM XP 512E エクスペリメンタル」を動画でチェック!

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ゲンロクWeb編集部

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