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時計の針を逆回転させる~年齢のハンデを克服する工夫
ゼッケン62番は「62歳」を意味している。LOTUS CUP JAPANにおける最高齢だ。僕自身の目標は70歳までサーキットを走り続けると設定しているが、そのためには健康を維持しつつ、年齢のハンデを克服する必要がある。つまり「時計の針を逆回転」させるんだ。
Class 1に5台、Class 2に9台という計14台がエントリーしたシーズン第3戦は予選と決勝レースが9月5日に行われた。5日の10時25分から実施された15分間の予選はドライで、僕は2分10秒386で3位だった。10周による決勝レースは予選と同じようにコンディションはドライとなり、14時50分からスタートした。
久しぶりのスタンディングスタートはそこそこうまくいったが徐々に前から離され、後続に追い立てられるも少しずつ引き離し「一人旅」状態へ。だが6周目あたりから疲れてきて、ブレーキの前後バランスが崩れてきたこともあり、その対処にも手こずってペースを落としたところ、後続の浅井選手に抜かれてしまった。
それが刺激となって「これじゃいかん。老人になるな!」と覚醒し、走り方を変えてブレーキをロックさせないようにしたことでペースアップし、抜き返して3位でフィニッシュすることができた。
レースに臨んで心掛けたこと
他選手よりも走る時間が短くてもあせるな。常に昨日までの自分の影を追い越すつもりで走ること。レースに出ると一緒に走ることとなり、熟練のエントラントがどういうラインを通るのか、いろいろ参考になった。
レース中にブロックされたり、したりせず、ペースが速いクルマが来たら道を譲る。それがいまの僕にとって理想的なレース。今回の第3戦は、自分が求めているクリーンなレースだったね。
レースをエンジョイし、安全に走り、他のエントラントと接触しないようにするためには、昔と違って大きく安全マージンを残しながら走ることも大切だ。
現役だったのはもう20年以上も前の話なので、いま走ると身体の衰えを感じないわけにはいかない。昔は数十周はあたりまえ、10周のレースなんてのは短いと思ったけど、いまはわずか10周のレースでも後半に疲れてしまう。他の選手が2速で走っているコーナーを、体力温存のため3速を使っているくらいだ。
そういえば、振動によって高速コーナーの出口が2つに見えるとか、視線をずらすと目のピントが合うまでの反応スピードが遅くなっていることも実感する。そんなときは片目をつぶるとコーナーがひとつになるなど、いろいろ工夫やアイデアが湧いてくる。できなかったことが工夫してできるようになる。そうやって僕は時計を逆回転させている。
やりがいとしてモータースポーツの普及に貢献したい
僕がレースに出場して、安全に走行して、エンジョイして、といったようなことを実践して、それが刺激となってひとりでも多くの人がレースに参加し、モータースポーツの裾野を拡げられたらうれしい。一緒に走ってくれる人がいないとレースは成立しないし、楽しくないからね。
時計を逆回転させるにはもっと運動しないといけないけど、いま自宅をリフォーム中でそこにトレーニング機器は置きっぱなし。いま住んでいるマンションでは満足なトレーニングができない。その状況を改善することが近々の課題だなあ。
今回のレースも、もし後続の選手が僕を抜いてくれなかったら、僕は覚醒せずに6周が体力の限界と思い込んでしまっていたかもしれない。リザルトだけを優先するなら、ライバルは少人数の方が望ましいだろうけど、レースをエンジョイするならエントラントは大勢いた方がいい。
というわけで、LOTUS CUP JAPANで一緒に走る(ロータス カップに限らないけど)チーム員を常に募集している。今シーズンはあと1戦を残すのみだけど、モータースポーツに興味がある人がいたら、来年に向けて是非検討してほしいね!
REPORT/太田哲也(Tatsuya OTA)
PHOTO/エルシーアイ、GENROQ Web編集部
COOPERATION:エルシーアイ、ガレージシマヤ、ヨコハマタイヤ、アライヘルメット
【関連リンク】
・太田哲也 オフィシャルサイト「太田哲也の Go Go スポーツカー」
https://otacarlabo.jp/
・エルシーアイ 公式サイト
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