目次
大出力急速充電器の少ない理由とは
現在の日本における急速充電器のほとんどは50kW以下だ。テスラは独自に120~250kWのスーパーチャージャー網を形成しているが、2022年6月現在まだ47ヵ所しかない上にテスラユーザー以外は使えない。ポルシェ/アウディも150kW級の整備を始めるとアナウンスしているが、まだ国内7ヵ所しかなく、これからの話だ。
今後大出力の充電器の設置は進むだろうか。日本で50kWを超える充電器の数が著しく少ないのにはわけがある。最近100kW級の充電器を設置したという事業者から聞いた話では、設置に約2500万円、受電契約(電気を使わなくても支払う必要がある)とメンテナンスに年間約250万円かかるという。それが50kW級であれば設置に500万円、受電契約は60万円で済むということだ。
利益を生み出す仕組みになっていない
このコストの違いは電力会社との受電契約の違いによって生じている。50kWまでは「低圧受電契約」となり、通常の100/200Vでの供給となるが、50kWを超えると「高圧受電契約」となって6600Vでの受電となり、それを100/200Vに変換するキュービクルという設備が必須となるのだ。またキュービクルには保安点検も必要だ。この違いが設置費用や運用コストで約5倍という大きな違いとなっているのである。
これだけコストがかかると、高出力の充電器を設置しても、利益を生むことは極めて難しいだろう。テスラやポルシェ/アウディのような高価格・高性能EVを販売しているメーカーがコスト度外視で設置する独自網以外の設置促進は難しいと思われる。
充電式バッテリーを備えることで、低圧受電契約で100kW以上の出力を可能にする充電器もあるが、充電された電力を放出してしまうと出力が著しく低下することになるため、確実に高出力が保証されない以上使い勝手は悪い。
エネルギー不足の日本には難しい課題
電力会社も電力が逼迫している現状では短時間に極めて大きな電力を消費する高出力充電器の設置には前向きではない。一般家庭で使う電力は夏場でも24時間で15kWh程度、150kW充電器が24時間稼働したら240軒分に相当する電力となるわけで、それが大量に設置されると電力供給にも影響を及ぼすだろう。EVの家庭での充電は深夜が主となるだろうから影響は限定的だが、急速充電は昼間の方が多くなると思われる点もネガティブ要因だ。
原子力発電所の再稼働が進ます、再エネ発電は不安定であり、日本の電力供給は綱渡りを続けている状態である。電力逼迫時にテスラからユーザーに「ピークタイムの充電は控えてください」というメッセージが届いたこともあるという。日本でのEV普及へのハードルは高いと言わざるを得ないだろう。
REPORT/山崎 明(Akira YAMAZAKI)
PHOTO/平野 陽(Akio HIRANO)
SPECIFICATIONS
トヨタ bZ4X z〈スバル ソルテラ〉
ボディサイズ:全長4690 全幅1860 全高1650mm
ホイールベース:2850mm
車両重量:1920kg
モーター:交流同期電動機×2
最高出力:前後80kW(109ps)
最大トルク:前後169Nm(17.2kgm)
総電力量:71.4kWh
トランスミッション:1速
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(リム幅):前後235/50R20(7.5J)
電気消費率:148Wh/km(WLTCモード)
車両本体価格(税込):650万円
※通常リースのため参考価格〈682万円〉
※ともにAWD、20インチ装着車
【問い合わせ】
トヨタ自動車お客様相談センター
TEL 0800-700-7700
SUBARUコール
TEL 0120-052215
【関連リンク】
トヨタ自動車 公式サイト