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全天球カメラの楽しみ方
こんな製品を待ってました! と、僕が狂喜したのが本製品。ボールペンほどのサイズなのに、高精細な全天球動画撮影ができてしまう。いつも胸元に入れておき、気になる場所では即撮影しよう。そんな気になるアイテムがIQUIだ。僕が全天球カメラと出会ったのは、今を遡ること7年前。2013年にリコーが発表したTHETAだ。
これこそが「全天球カメラ」という偉大なジャンルを生み出した元祖だった。その仕組みは2つの円周魚眼レンズを使って2枚の写真を撮影し、それを画像処理することでその場から見えるすべての風景を収めるというもの。一度撮影しておけば、好きなシーンを好きな画角で取り出せるというコンセプトは画期的で、動画撮影も対応になった後継機種では、過去の記憶を追体験するような気分を味わえる。
僕の場合は愛車のロードスターでお気に入りの場所を走りながら、動画撮影で記録すること。観光地や郊外もいいが、渋谷のスクランブル交差点などを走り抜ける時も楽しい。全天球カメラの面白さを知るには、何よりも自分自身で味わうのが一番。https://theta360.com/ja/にアクセスすると、様々な作例が楽しめる。
この新しいトレンドは、その後、FacebookやYouTubeが対応し、世界中のメーカーが参入してきたことからも面白さがわかるだろう。なぜリコーの話をするのかって? それは全天球カメラを生み出したリコーの担当者自身がリコーをスピンアウトし、これまで弱点だった部分を克服すべくスタートアップとして立ち上がったのがベクノスだから。
その場の空気を切り取る
一方で全天球カメラの弱点は画質だった。全周魚眼レンズの広大な視野をひとつのイメージセンサーで捉えるため、高精細な映像を得にくい。リコーはTHETA Z1で大型センサーを用いた高級機を開発したが、今度は本体サイズを小さくできないという問題が起きてしまった。
でも、サイズが大きくなったのでは全天球カメラの良さが生きてこない。全天球カメラは、今のところスマートフォンには搭載できないから、どうしても別に1台を持ち歩かなきゃいけない。でも「もう1台を別に持ち歩くの?」と、ここでサイズが大きいとスマホだけでいいや、という気分になってしまう。
そこでベクノスが生み出したのが、4つのカメラを超スリム・ペン型に収めた画期的な全天球カメラ「IQUI」だ。静止画なら5760×2880画素、動画も4K解像度で撮影できる。 側面に3つ、天面にひとつという独創的なレンズ配置を139mm、60gのボディに収める。
僕の場合、ロードスターでの撮影の他、スキーでヘルメットの上に装着して滑ったりと、目的のある使い方をしてきた。でもIQUIほど小さければ身につけるように毎日持ち歩き、日々の体験そのものを「プリザーブ」していきたい。撮影した映像はクラウドにアップロードしておけば、いつでもブラウザから全天球の映像を楽しめる。4K動画の転送は流石に時間がかかるが、静止画ならばあっという間。スマートフォンとの接続も極めてスムーズ。
このサイズなら日常の中でも邪魔にならない。「スマホに加えてもう1台」候補に加えてみては?
REPORT/本田雅一(Masakazu HONDA)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
MAGAZINE/GENROQ 2021年 1月号
評価
多くのメーカーが参入する全天球カメラだがここまで小型で携帯性が高い製品は他にない。4K対応の全天球カメラとしては低価格。コンパクトなスタンドが付属している点も流石だ。
コストパフォーマンス:4
携帯性:5
使い勝手:3
デザイン:4
画質:4
【問い合わせ】
ベクノス株式会社
※ベクノス株式会社は2021年12月27日をもって360度カメラ「IQUI[イクイ]」の販売を終了。現在サポートに関して、株式会社リコーが引き継ぎ実施しているという。