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Alpine A110 E-ternite
開発はルカ・デ・メオCEOのひと言から
ルノーのルカ・デ・メオCEOは、2020年の就任直後に「アルピーヌに電動モデルを導入して、ブランドを永遠に残したい」と発言。これが、アルピーヌのローラン・ロッシCEOとエンジニアたちを奮い立たせ、わずか2年足らずでこのアイデアを現実化した上、美しいオープンスポーツ「A110 E-ternite」として公開した。
フランス語で永遠を意味する「Eternite」から名付けられたA110 E-terniteは、A110の誕生60周年モデルでもある。アルピーヌが紡いできた歴史と、フル電動化に向けた未来の架け橋となり、今後発売される電動モデルの走る実験室として活用される。
今回、A110の電動化に際し、アルピーヌはこのチャレンジにちょっとしたスパイスを加えるため、4つのイノベーションを開発の指針に掲げた。
第一に、コクピットにGoogle/Androidをベースにした、直感的で自然なオンライン接続を可能にするパーソナルタブレットを導入。すべてのアプリケーションをひとつのデバイスに集中させ、革新的なマルチメディアシステムを採用した。
第二に、8スピーカーにより究極のサウンド空間を実現した最新鋭のオーディオシステム搭載。第三にパフォーマンスとサステナビリティを両立させる、革新的なマテリアルの積極的な使用。最後に、電気自動車ならではの静粛性を実現する「トップオフ」技術が導入されている。無音での走行が可能な「A110 E-ternite」により、野外の自然音を楽しむことができるようになった。
メガーヌ E-Techから流用されたバッテリー
「A110 E-ternite」の開発に際しては、アルピーヌはルノー・グループのリソース活用を選択した。これを受けて、フル電動モデル「メガーヌ E-Tech」からバッテリーモジュールを流用。ただ、最適な重量配分と12基のバッテリーモジュールを搭載するためには、A110専用のバッテリーケーシングを設計し、内部構造に適合させる必要があったという。そのため、フロントに4基、リヤに8基のバッテリーモジュールを配置した。
メガーヌよりもパッケージに制限のあるA110に搭載するため、ルノーのバッテリーエンジニアは、これまでにない搭載方法でバッテリーモジュールを配置することを許可した。さらにバッテリーモジュールを追加したにもかかわらず、A110 E-terniteの総重量は、ガソリン仕様からわずか258kg増に抑えられている。
最高システム出力178kW(242ps)、最大トルク300Nm、0-100km/h加速は4.5秒。最大後続距離は450kmが確保された。電動化に対応可能なギヤボックスがグループ内に存在しなかったことから、市販仕様のゲトラグ製7速DCTに変えて、電動モデル専用開発された軽量コンパクトな2速DCTが導入されている。
電動化に合わせて開発された待望のオープン仕様
かねてからA110にはオープン仕様を望む声があり、電動化に合わせて待望のオープントップ化も行われた。アルピーヌのエンジニアは、量産仕様の剛性を損なうことなく、2枚のリサイクルカーボン製ルーフシェルを導入。シンプルかつ軽量でありながら、抜群の解放感を実現した。これらの取り外し機ルーフは、アルピーヌ社内で設計・製造されている。
今回、亜麻から作られた自然由来の新素材「フラックス」が、主要コンポーネントの一部に導入されている。カーボンファイバーと同等の強度を持つフラックスはフランス・ノルマンディー地方近郊のディエップにあるテレデラン(Terre de Lin)社が製造。ボンネット、ルーフ、リヤウィンドウ、グリル、シートシェル、リヤスカートなどの表皮に、この新マテリアルが使用された。