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BMW 3.0 CSL Hommage
M社50周年の大本命としてデビュー
BMW M社が手がけた究極のパフォーマンス仕様を意味する「CSL」を冠したモデルとして、BMWは2022年に「M4 CSL」は1000台限定で導入。M4 CSLは1972年のオリジナル「E9 3.0 CSL」をオマージュしたモデルだったが、M社の50周年という節目を祝うには、少々物足りないという指摘もあった。
しかし、BMWとBMW M社は、よりエキサイティングな“本命”を用意。それが、2022年6月にフランク・ヴァン・ミールBMW M社CEOによって存在が明らかにされた「3.0 CSL オマージュ」だ。M4をベースに専用のボディパネルを採用。先に投入されたM4 CLSとは完全に異なる、オリジナルのエクステリアが与えられている。
カラーリングに込められたM社からのメッセージ
ニュルブルクリンクで目撃された3.0 CSL オマージュも、依然としてボディ全面にBMW M社の50年に及ぶ歴史が描かれた型破りなラッピングを纏っていた。一見すると、そのカラーリングは、まるで無秩序な落書きにも見えるが、これらのラッピングはBMWからのメッセージも込められている。
「insanely epic(型破りな大物)」「6MT FTW(FTW=For The Win:6速MTしか勝たん!)」「drift happens(ドリフト、起こすぜ)」「I like it rare(レアなの最高)」「too powerful(パワーあり過ぎ)」「are you bold enough(度胸座ってる?)」・・・と言った具合だ。
行間を読むならば、これらのメッセージは、マニュアルギアボックス、後輪駆動、そしてM4 CSLに搭載される最高出力550psの強大なパワーという、3.0 CSL オマージュに関する情報と一致。さらに「I like it rare」は50台のみの限定生産となることを指しており、「are you bold enough」はその専用デザインにちなんだものだと思われる。“型破りな大物”として、話題を呼ぶことは間違いないだろう。
取り外されたルーフマウントスポイラー
ニュルブルクリンクを走行していた3.0 CSL オマージュは、センターロック式ホイールを履き、その奥にはコントラストを効かせるように真っ赤なブレーキキャリパーが潜む。地面すれすれにまでローダウン化され、1970年代のバットモービルを思わせるような、BMW製モデルとしては相当にワイルドなリヤウイングが装着されている。
このリヤウイング形状は「E9 3.0 CSL」の大型リヤウイングを模しているが、1972年当時、BMWはE9 3.0 CSLを出荷する際、リアウイングをトランクに搭載していた。もちろん、3.0 CSL オマージュはリヤウイングが装着された状態でデリバリーされる。
カラフルなカモフラージュから覗くヘッドライトとテールライトのデザインもM4から一新されたが、注目すべきは新形状のキドニーグリルだ。一部で議論を呼んだM3/M4の超大型キドニーグリルとは、全く異なる形状が採用されている。また、以前テストされていたプロトタイプに装着されていた、ルーフマウント・スポイラーは取り外されていた。
M4の9倍という強気なプライスタグ
大きな話題を呼びそうな3.0 CSL オマージュだが、問題は噂されている75万ユーロ(約1億円)という価格だろう。限定50台のみ、オリジナルのボディを纏っているとはいえ、ベースとなるM4の9倍というプライスタグは、なかなかに強気だ。
それでも2022年後半の発表時には、50台のオーダーリストは瞬く間に埋まり、希少なコレクターズカーとなることは間違いなさそうだ。