アウディのフラグシップ電動SUV「Q8 e-tron」がフェイスリフト

アウディのラグジュアリー電動SUV「Q8 e-tron/SQ8 e-tron」が改良され航続距離が最大600kmに

今回のフェイスリフトでは、アウディの電動ラインナップのフラッグシップとして、より電動化を意識したエクステリアが採用された。
今回のフェイスリフトでは、アウディの電動ラインナップのフラッグシップとして、より電動化を意識したエクステリアが採用された。
アウディは、ラインナップの頂点に立つ電動ラグジュアリークロスオーバー「Q8 e-tron」の改良新型を発表した。フロントセクションを中心にデザインを刷新し、エアロダイナミクスを改善。バッテリー容量の増大により、SUVモデルで582km、スポーツバックで600kmという最大後続距離(WLTPモード)を実現した。11月中旬からオーダーがスタートし、2023年2月末からヨーロッパ市場で販売。日本市場への導入時期は未定となっている。

Audi SQ8 Sportback e-tron / Q8 e-tron

エクステリアと効率性が大幅に進化

「アウディ Q8 e-tron」改良新型のエクステリア。
フロント/リヤセクションに新デザインが導入され、ひと目でアウディ製電動モデルを印象づける。Bピラーに配置された「Audi」ロゴと、モデル名エンブレムも新デザインとなった。

アウディは、ラインアップの電動化にむけたロードマップを掲げており、4年前に初のフルEV「e-tron」を導入。現在、EVのラインアップは8モデルから構成され、全世界で15万台が販売された。さらに2026年までに、20車種のEVが展開される予定だ。

今回、アウディの電動SUV/クロスオーバーのトップモデルに君臨する「e-tron」あらため「Q8 e-tron」がフェイスリフトを敢行。ひと目でアウディ製電動モデルと分かるよう、フロントセクションとリヤセクションに新デザインが導入された。2次元デザインのアウディ・フォーリングスにより、刷新されたコーポレートアイデンティティを表現。Bピラーに配置された「Audi」ロゴと、モデル名エンブレムも新デザインとなっている。

Q8 e-tronのディメンジョンは、全長4915mm、全幅1937mm、全高1633mm(SUV)/1619mm(スポーツバック)。ホイールベースは2928mmと、後席足元にも十分なスペースが確保された。ラゲッジスペースは569リットル(SUV)/528リットル(スポーツバック)と、十分な容量を備えている。また、エンジンが存在しないため、フロントにも「フランク」と呼ばれる、62リットルの追加ラゲッジスペースも用意された。

アウディAGの技術開発担当取締役オリバー・ホフマンは、Q8 e-tronの改良新型について次のように説明する。

「新型Q8 e-tronではデザインの変更に加えて、バッテリー容量と充電性能の両方が大幅に向上しました。これにより、エネルギー密度と充電容量の最適なバランスを実現し、効率を高めています。電気モーター、プログレッシブステアリング、シャシーコントロールシステムにも改良を加え、Q8 e-tronのすべてのモデルが、ドライビング性能を進化させています」

大幅に改善されたエアロダイナミクス

「アウディ SQ8 スポーツバック e-tron」改良新型の走行シーン。
スポイラー類の形状変更などにより、ボディ周辺のエアフローを改善。これにより、SUV/スポーツバックともに、Cd値が大幅に向上している。

今回のフェイスリフトにおいては、主にエアロダイナミクスの改善が図られた。これにより、空気抵抗係数(Cd値)はQ8 スポーツバック e-tronが0.26から0.24に、Q8 e-tronでは0.28から0.27に向上した。

アンダーボディに装着されたホイールスポイラーは、ホイール周辺のエアフローを整える効果が与えられた。これに合わせてフロントアクスル・スポイラーも拡大。Q8 スポーツバック e-tronには、リヤホイールスポイラーも装着された。フロントグリル周辺にはクーラーを自動的に閉じる電動シャッターに加えて、アウディで初めてセルフシーリングシステムを採用。このシステムはフロントセクションのエアフローをさらに最適化する。

Q8 e-tronには、オプションでデジタルマトリクスLEDヘッドライトの装着も可能。高速道路走行時に、オリエンテーションライトが車線内の車両位置をマーキングすることで、ドライバーは狭い車線でもセンターをキープして、安全に走行することができる。さらに、3つの新機能(強化された交通情報システム、方向指示付きレーンライト、郊外用オリエンテーションライト)が利用可能だ。

最高出力503PSを発揮するSQ8 e-tron

Q8 e-tronは、出力・トルクの異なる3つのドライブトレインをラインアップ。トップモデルのSQ8 e-tronは、500PSオーバーの最高出力を実現している。
Q8 e-tronは、出力・トルクの異なる3つのドライブトレインをラインナップ。トップモデルのSQ8 e-tronは、500PSオーバーの最高出力を実現している。

どちらのボディタイプを選択しても、電動4輪駆動システムを備えた、3つのドライブトレインから選択可能。ベースモデルの「Q8 50 e-tron/Q8 50 スポーツバック e-tron」は、2基のモーターを搭載し、ブーストモードで最高出力250kW(339PS)・最大トルク664Nmを発揮し、航続距離はそれぞれ最大491km(SUV)/最大505km(スポーツバック)。最高速度は電子リミッターで200km/hに制限されている。

「Q8 55 e-tron/Q8 55 スポーツバック e-tron」は、2基のモーターを搭載し、ブーストモードで最高出力300kW(407PS)・最大トルク664Nmを発揮。航続距離はそれぞれ最大582km(SUV)/最大600km(スポーツバック)が確保されている。

トップモデルの「SQ8 e-tron/SQ8 スポーツバック e-tron」は、3基のモーターを搭載。ブーストモードにおける最高出力は370kW(503PS)と最大トルクは973Nm、航続距離は最大494km(SUV)/最大513km(スポーツバック)となり、最高速度は210km/hに設定されている。

2種類のバッテリー容量で異なる航続距離

「アウディ SQ8 e-tron」改良新型のエクステリア。
ベースモデルのQ8 50 e-tronのバッテリー容量が89kWh、Q8 55 e-tron/SQ8 e-tronが106kWhという、2種類を展開する。

Q8 50 e-tronのバッテリーのエネルギー容量は89kWh(総容量95kWh)。Q8 55 e-tron/SQ8 e-tronは、エネルギー容量106kWh(総容量114kWh)と、より大容量のバッテリーを搭載する。

Q8 50 e-tronは、急速充電ステーションを使用した場合、最大150kW出力での充電が可能。Q8 55 e-tron/SQ8 e-tronは最大出力170kW充電にも対応する。この大容量バッテリーは理想的な条件下で、10%から80%までを約31分で充電可能となっており、これは最大420kmの航続距離に相当。AC充電ステーションやウォールボックスで充電する場合、最大11kW出力にまで対応している。

理想的な条件下では、Q8 50 e-tronは交流を使用して約9時間15分(22kW:約4時間45分)でフル充電することが可能。大容量バッテリーの充電時間は、出力11kWで約11時間30分、22kWで約6時間。搭載される「e-tronルートプランナー」は、ルート上の充電ポイントを検索する際、ドライバーをサポートする。

快適性とスポーツ性の絶妙なバランス

「アウディ Q8 スポーツバック e-tron」改良新型のエクステリア。
標準搭載されるエアサスペンションはチューニングが見直され、スポーツ走行時によりダイレクトな反応を獲得。同時に全体のバランスも確保されており、快適性も確保されている。

Q8 e-tronには、減衰力をコントロール可能なエアサスペンションを標準装備。このサスペンションは、走行状況に応じて、車高を76mmの範囲で変化させることができる。今回、コーナーにおけるダイナミクスを最適化するために、エアスプリングのチューニングが見直された。

「エレクトロニック・スタビリティコントロール(ESC)」の搭載により、特にタイトコーナーでの操縦性が向上した。また、プログレッシブステアリングの改良を受けて、さらに俊敏な走りを実現。ステアリングのギヤ比を変更し、繊細なステアリング操作でも優れたステアリングレスポンスを提供する。

スイッチ類に代わる2基の大型ディスプレイ

「アウディ Q8 e-tron」改良新型のインテリア。
コクピットには、10.1インチと8.6インチの高解像度大型ディスプレイから構成される「MMIタッチレスポンス・オペレーティングシステム」が搭載されている。

コクピットには「MMIタッチレスポンス・オペレーティングシステム」を採用。従来のスイッチ類に代わり、2基の高解像度大型ディスプレイ(上部10.1インチ、下部8.6インチ)が装備される。2基のタッチディスプレイによる操作に加えて、日常会話にも対応したボイスコントロールシステムを使用することで、様々な機能を操作することができる。

フルHD「アウディ・バーチャル・コクピット」も標準搭載。専用グラフィックは、充電状態から航続距離まで、EVに関連するすべての重要な情報を表示する。オプションでヘッドアップディスプレイを追加することも可能だ。ドイツ市場では「MMIナビゲーションプラス」を標準装備。高速データ通信規格のLTEアドバンストに対応し、パッセンジャーのモバイル機器を接続可能なWi-Fiホットスポット機能も備えている。

クライメートコントロールは「2ゾーン・オートマチック・エアコンディショナー」を標準装備。「4ゾーン・オートマチック・エアコンディショナー」や「エアクオリティパッケージ」も用意されている。3段階に調整可能なベンチレーションシートにより、外気温度が高い場合でも快適に座ることができる。これは標準装備されるパフォレーテッド・レザーシートでも利用可能だ。

意を決してアクセルペダルを深く踏み込むと、瞬間的な加速は気が遠くなりそうなほど強烈な2台。

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