ケータハムが電動コンセプト「EV セブン」を公開

ケータハムが電動コンセプト「EV セブン」で実用化に向けた検証「7月のグッドウッドで一般公開」

将来のフル電動モデル発売に向けて、様々な検証・テストを行うべく、ケータハムが電動コンセプト「EV セブン」を発表した。
EV セブンは今年のグッドウッドでの一般公開が決定。さらに、ケータハムは完全に新規設計されたフル電動プロジェクトも進めている。
英国を拠点とするケータハムは、将来のフル電動セブンの投入に向けた技術実証車「EV セブン」を発表した。EV セブンは既存のセブン用アーキテクチャーを活用し、最先端のバッテリー技術を組み合わせた軽量フル電動コンセプトとなる。

Caterham EV SEVEN

スウィンドン・パワートレインと共同開発

EV セブンは、長年のパートナーである「スウィンドン・パワートレイン」と共同開発した「E Axle」が搭載されている。
EV セブンは、長年のパートナーである「スウィンドン・パワートレイン」と共同開発した「E Axle」が搭載された。

ケータハムが「EV セブン」を開発した。ライトウェイト電動スポーツカーの実現可能性を検証するためだ。EV セブンを使って様々なテストや検証を行うことで、ガソリン車と同様にドライバーへとフォーカスした、バッテリー駆動電気自動車(BEV)の市場投入を目指している。

EV セブンは、公道用/モータースポーツ用の先進的かつ頑強な電動パワートレインを手掛ける「スウィンドン・パワートレイン(Swindon Powertain)」と共同開発された。今回、大型セブン・シャシーをベースに、スウィンドン・パワートレイン社による専用の「E Axle」を搭載し、液浸冷却式バッテリーパックを組み合わせている。

バッテリー液浸冷却は、ケータハムのテクニカルパートナーである「モチュール(MOTUL)」が供給する誘電性流体を使用。バッテリーセルに直接接触させることで、最適な熱管理による充電速度の向上とバッテリー寿命の延長を実現する。この最新技術はバッテリー駆動電気自動車に導入されることが少なく、これまでは膨大な熱量を発生するスーパーコンピューターなどの冷却に使われることが一般的だった。

ケータハムらしいEVを投入するために

将来のフル電動モデル発売に向けて、様々な検証・テストを行うべく、ケータハムが電動コンセプト「EV セブン」を発表した。
今回、将来のフル電動モデル投入に向けて、ケータハムは内燃機関モデルと同様に軽量でドライバー中心、そして日常域でもサーキットでも使えるEVを目指し、「EV セブン」を製作した。

ケータハムのボブ・レイシュリーCEOは、EV セブンの開発目的について、以下のように説明する。

「私たちが将来生産するEVは、ケータハムのDNAである軽量で『Fun-to-drive』、そしてドライバー中心の軽量スポーツカーでなければなりません。今回のプロジェクトの主な目的は、従来のセブンに比べて、パッセンジャー1名分の重量差しかないEVを開発することでした。ケータハムが車重1tに達したセブンを発売することは決してありませんし、むしろやりたくありませんからね」

「EV セブンは、公道でもサーキットでも、普通に使えるクルマでなければなりません。サーキットでは20分-15分-20分という、サーキット走行のサイクルが繰り返し可能なことを目指しています。つまり、20分間サーキットを走行し、15分間で十分なエネルギーを充電、さらに20分間走行できる能力を意味します」

「日曜日の朝のドライブを楽しむことができるEV セブンの実現は、現在のバッテリー技術でも十分可能です。ただ、課題はエネルギー消費量が大幅に増加するサーキットでの使用です。現時点で、サーキット走行時に求められる急速な充放電に対応するために、バッテリー液浸冷却が最適なソリューションのひとつだと考えています」

わずか70kgの重量増で電動化も進行

将来のフル電動モデル発売に向けて、様々な検証・テストを行うべく、ケータハムが電動コンセプト「EV セブン」を発表した。
EV セブンは内燃機関モデルと比較して、わずか70kgの重量増に留められたEV セブン。最高出力243PSと、十分なパワーも確保されている。

EV セブンは、ベースとなる市販のセブンから、わずか70kgの重量増(総重量700kg弱)に留められた。51kWhの液浸冷却式バッテリーは、エンジンルームとトランスミッショントンネルに収納され、最大152kWのDC急速充電に対応。実用可能な容量は約40kWhとなり、サーキットでの過酷な使用や急速充電にも劣化することなく、安全に使用することができる。

今回、スウィンドン・パワートレインが展開する「HPDE」シリーズをベースにした、専用の「E Axle」を採用。最高出力243PS、最大トルク250Nmを発揮し、0-60mph加速はおよそ4.0秒を想定している。EV セブンの電動パワートレインは、セブン 485/セブン 480の性能特性に対応するよう設計されており、内燃機関モデルと変わらないドライバビリティを楽しむことが可能だという。

「現段階では、EV セブンをこのままの形で生産する計画はありません。このプロジェクトは、電動パワートレインが、お客様の個々の使用ケースに対して、どの程度有効なのかを確認するためのテストベッドとなります。私たちは次世代バッテリー技術が実用化され、将来の適切なタイミングで、BEVを市場に投入するつもりです。だからこそ、今がこのコンセプトを試す時タイミングなのです」と、レイシュリーは付け加えた。

EV セブンとは別の電動プロジェクトも計画

将来のフル電動モデル発売に向けて、様々な検証・テストを行うべく、ケータハムが電動コンセプト「EV セブン」を発表した。
EV セブンは今年のグッドウッドでの一般公開が決定。さらに、ケータハムは完全に新規設計されたフル電動プロジェクトも進めている。

スウィンドン・パワートレインのマネージング・ディレクターを務めるラファエル・カイレは、EV セブンについて次のようにコメントした。

「1990年代初期にJPE(ジョナサン・パーマー・エボリューション)エディションのセブンに搭載されたボクスホール製エンジンを開発して以来、ケータハムとのパートナーシップは30年以上続いています。そしてこのエキサイティングなプロジェクトを通じて、今後もパートナーシップを継続できることにワクワクしています」

「車体の軽量化や充電スピードの目標は、間違いなく野心的なものでした。今回、最先端の液浸冷却式バッテリー技術と専用パワートレインを使用することで、独自のコアバリューを維持した、フル電動セブンを開発することができたのです」

EV セブンは、2023年7月に英国で開催される「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で一般公開される。ケータハムは、EV セブンとは別にフル電動スポーツカーコンセプトも開発しており、こちらも2023年中に発表される予定だ。このプロジェクトのデザインは、ケータハムのチーフデザイナーに就任したアンソニー・ジャナレリが主導。今後数ヵ月内に、さらなる詳細を公表するという。

SPECIFICATIONS

ケータハム EV セブン

全長:3350mm
全幅:1685mm
全高:1115mm
モーター:スウィンドン社「HPDE E Axle」
トランスミッション: シングルスピード、専用レシオ2ステージリダクション
ファイナルドライブ:リミテッド・スリップ・デファレンシャル
バッテリー:51kWh(40kWh実用可能)
充電:最大152Kw DC急速充電
最高出力:243PS
最大トルク:250Nm
重量:700kg未満
サスペンション:ビルシュタイン製アジャスタブル(420カップより)
ブレーキ:4ピストンキャリパー付ベンチレーテッドディスク
ステアリング:ラック&ピニオン
0-60mph加速:4.0秒(見込み)
最高速度:209km/h(見込み)

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