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LAMBORGHINI SC63
ランボルギーニが選択したのはLMDh
今年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで、ランボルギーニ初のプロトタイプレーシングカー、SC63が発表された。ル・マン24時間など欧州を軸に開催される世界耐久選手権(WEC)と、デイトナ24時間を皮切りに北米で開催されるIMSAに、2024年から参戦するLMDhマシンである。そのフロントデザインはかなり市販車を彷彿させるのでファンは喜ぶだろう。
重要なポイントはランボルギーニがLMDhを選択したということだ。今年のル・マン24時間で優勝したフェラーリ499PはLMHマシンと呼ばれるハイパーカーカテゴリーマシンだ。LMDhはハイパーカーと同列だが、シャシーやエンジン、パワートレインなどの自由度が低い。なぜLMDhマシンを選択するのか、それはIMSAへの参戦が可能だからだ。実際、ポルシェやキャデラック、来年から参戦するBMWやアルピーヌなどもLMDhを選択している。
8月初旬から走行テストを開始
その激戦のWECとIMSAに挑むランボルギーニSC63について、モータースポーツ部門のトップであるジョルジオ・サンナに現状と展望を聞いた。
「サーキットでの実走行テストの前に、クルマ全体の開発を行なっています。すでに風洞実験やシャシーダイナモにおける試験を実施し、AVLをパートナーとして、様々なテストに取り組んでいるところです」
すでに初期開発は終わり、8月初旬から走行テストを開始し、12月まで集中的に開発する予定だという。まずはホームサーキットであるバレルンガをはじめ、イモラ、バルセロナ、スパ・フランコルシャン、ポール・リカール、アトランタなどで走行テストを行い、最終的にIMSAの序盤にあるセブリングでテストするという。
新開発3.8リッターV8ツインターボを搭載
もうひとつ重要なのは、LMDhマシンがハイブリッドであるという点だ。モータースポーツ活動が市販車開発の一部なら、ハイパーカーカテゴリーへの参戦は、ハイブリッド技術に何らかの成果をもたらすだろう。
「SC63に搭載されるのは、スクアドラコルセがアウトテクニカモトーリとの共同で開発した3.8リッターV8ツインターボです。この新開発エンジンは、Vバンク外側にターボを取り付るけコールドVテクノロジーを採用しています。コールドVは重心高を下げ、整備性を上げるためです」
コールドVはパフォーマンスを重視して採用したもので、CO2排出量への配慮が求められる量産車への搭載は予定していないというが、ともあれ、これらの新しい挑戦がランボルギーニの魅力的な新型車開発にも役立つことが期待される。