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永遠のファッションアイコン「MINI」
もしあなたが日常に何らかの退屈を感じていて、日々の生活に前向きな推進力を欲しているのだとしたら、MINI JCWはきっと大きなカンフル剤となるはずだ。
走り出した瞬間から感じ取れる剛性感。ステアした瞬間から反応するクイックなレスポンス。気持ちよいターボの加速。眠っていた五感が目を覚まして「さあ、行きますか!」と、再びやる気が湧いてくるはずである。
そんなMINIの最高峰モデルであるJCWが、コンベンショナルモデルたちの進化に合わせてこの度デザインを刷新した。走りの性能はそのままに、さらなるデイユースのアップデートを受けたので、まずはそこからみなさんにご報告しよう。
よりピュアで個性的に刷新されたデザイン
まず一番に目を惹くのは、JCWの名前と性能に相応しい、アピアランスのアップデートだ。ちなみに標準モデルは今回の刷新で、非常に斬新なイメージチェンジを行った。MINIといえばそのアイコンは丸いライトとフロントグリルだが、新型はそのグリルを大胆にも、カラードバンパーで分断した(バンパーをグリルでトリミングしたと言った方が適切だろうか)。それはどこから見てもMINIなのに、なんとも新しさを感じさせる、攻めたデザインだ。
対してMINI JCWは、このシングルフレームグリルをハニカムメッシュ化した。グリル中央はダミーメッシュだがバンパー下部は開口部を大きく取っており、積極的にフレッシュエアを導入するスタイルを採っている。さらにバンパー両脇にはガイドを伴うエアインテークを装備し、ブレーキの冷却性能をも追求。そしてバンパー下にはスポイラーを配し、空力効果と共に全体の印象をワンポイントでうまく引き締めている。
シリーズ屈指のスポーツマインドJCW
またリヤバンパーのデザインも、ディフューザーライクな樹脂カバーを付けることでその印象を変えてきた。形状を見る限りこのパーツに床下の空気を引き抜く効果はなさそうだが、空力性能は走行安定性にも大きく関わるので、ただダウンフォースが高ければ良いというものではない。それよりむしろ3ドアモデルでは特に厚ぼったくなるリヤビューの印象を、スポーティなものへと変更していることが評価できる。試乗車はメタリックレベル・グリーン・ソリッドだったが、これがペッパー・ホワイト・ソリッドや、チリ・レッド・ソリッドとの組み合わせであれば、そのコントラストもさらに際立ったことだろう。
さてそんなMINI JCWを、今回はオーソドックスな3ドアモデルとそのコンバーチブルという、極めて対照的な2台で走らせたわけだが、その印象は双方共に超個性的だった。
3ドアモデルは正に、「速いMINI」が欲しいユーザーに向けた最適解である。がっしりとしたシートに座り、重厚なドアを閉めた瞬間から始まる、独特な世界観。“しん”と静まりかえる室内、インパネの赤いトグルスイッチをカチッと下に押し込むと、2.0リッター直列4気筒ターボが“ブン!”と目覚める。
新世代のゴーカートフィーリングを披露
太めのステアリングホイールを握り、押し込むようにハンドルを切る。取り付け剛性の高いステアリングシャフトを通して、手のひらに路面の様子が雑味なく伝わってくる。アクセルを軽く踏み込むだけで、ボディがスッと進み出す。
アダプティブサスペンションを装着する試乗車の乗り心地は快適だった。低速では18インチタイヤをストレスなく転がし、路面の段差やうねりではサスペンションを素早く縮ませて、タイヤからの入力を減衰してくれる。
スポーツモードに入ってからも、このマナーの良さは基本的には変わらない。ダンパーは伸び側を主体としてその減衰力を強めるのだろう。バンピーな路面を走っても突き上げやピッチングを起こすことなく、コーナーではインリフトを抑えるイメージでターンしていく。
そこにはかつてのような、フロントの剛性感を前面に押し出す強引な感じはない。スキーのように“スッ、スッ”とストロークで路面をいなしながら、荷重移動で向きを変えていく新世代のゴーカートフィールである。
熟成極まった2.0リッター直4ターボ+8速AT
こうしたフットワークに対して、パワートレインもレスポンス良く応える。320Nmの最大トルクを受け止める8速ATは、低いギヤではそのターボパワーを一気にレブリミット付近まで押し上げる。トルコンながらもそのロック率は高く、アクセルを踏み込んだままシフトアップすると“ヴォッ”と低く点火カットサウンドを響かせ、次のギヤ、次のギヤへと加速を途切れさせないままつないでいく。
そして高いギヤに行くほどメカニカルサウンドとエキゾーストサウンドが美しくユニゾンし始め、なんとも言えない高揚感に包まれる。エンジンはパンチが効いてパワフルだけれど、シャシーがきちんとこれを上回る。だから走り込めば走り込むむほどに一体感が増し、その名の通りボディが小さく感じられてくる。これがカタログモデル最速のMINI、JCW 3ドアハッチの走りである。
唯一無二のオープンエアモータリング「コンバーチブル」
対してコンバーチブルはそのボディ形状から走りには正直目をつむろうと思っていたのだが、それは大きな間違いだった。
これだけルーフを大きく展開する形状であれば、そのボディ剛性は3ドアと比べて大幅に落ちているはずである。しかしその足まわりはコンバーチブルボディとの剛性バランスを見事に整えており、ステアしても不快な応答遅れがまったくない。もちろんコーナリングパフォーマンスだけを考えれば3ドアには及ばない。特有のクイックステア感もスポイルされてはいるのだが、むしろそのハンドリングがナチュラルなのである。
重厚なサウンドと車体が奏でるユニゾン
さらにコンバーチブルが素晴らしいのは、あの重厚なユニゾンが、ダイレクトに響いてくることだ。サウンドとクルマの動きが渾然一体となって、これぞドライビングプレジャーと呼ぶに相応しい走りが得られるのである。
もちろん飛ばしても痛快だが、ゆっくり走っていても抜群に楽しい。ワインディングロードはまるで緑の中を泳いでいるかのような気持ちよさで、このうえなく贅沢な気持ちになれる。
ひと息ついて天井のトグルスイッチを押せば、太い骨格がAピラーに自動で連結され、再び静寂が訪れる。路面からの微振動が収束し、小さなボリュームで流れていたラジオのサウンドが耳に届くようになると、穏やかな日常が戻ってきた気分になった。
MINI Connectedを全車標準装備
ひと通り試乗を終えると、今度はスマートフォンのアプリ「MINI APP」を介して「MINI Connected」を試してみた。その機能はまだできることが多くなく、具体的にはGPSによる自車位置の確認や、キーのオン/オフ、ライトの点灯、ファンの起動(エンジンは掛からないのでエアコンではない)を遠隔操作できる程度だ。しかしデジタルビギナーの自分にはその一挙手一投足がいちいち新鮮で、指令通りにその愛らしいLEDライトを点灯させたときなどは、なんだかMINI JCWが呼んでいるような気持ちになって、ちょっと嬉しくなった。
そしてスマホで検索した行き先をいくつか送信し、ナビにストックしておける機能は便利だと感じた。いざ出発する際は、ナビをいちいち操作することなく8.8インチのセンターモニターから行き先を選んでタッチするだけだ。
しかし今後こうした機能がどんどん拡張し、たとえば自動運転化も進んでまったく自らが運転することなく目的地までたどり着けるようになったとしても、MINI JCWの魅力はそのステアリングを握ることにある、と筆者は強く感じた。それほどこの2台は、走らせることそのものが楽しいのだ。
むしろデジタル化が進めば進むほど、そうしたひとときが際立つようになってくるのではないか? そんな風に思えた、気持ちの良い試乗だった。記事をご覧になってMINI JCWが気になった方は、試乗して是非その目、その手で確かめてほしい。
<新型MINI JCW 試乗依頼>
<MINI APP 詳細>
REPORT/山田弘樹(Kouki YAMADA)
PHOTO/森山良雄(Yoshio MORIYAMA)
【車両本体価格(税込)】
THE NEW MINI JCW:482万円~
THE NEW MINI JCW Convertible:538万円~
【SPECIFICATIONS】
THE NEW MINI JCW
ボディサイズ:全長3880 全幅1725 全高1430mm
ホイールベース:2495mm
車両重量:1290kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1998cc
最高出力:170kW(231ps)/5200rpm
最大トルク:320Nm/1450-4800rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:FWD
サスペンション:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後205/45R18
THE NEW MINI JCW Convertible
ボディサイズ:全長3880 全幅1725 全高1415mm
ホイールベース:2495mm
車両重量:1400kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1998cc
最高出力:170kW(231ps)/5200rpm
最大トルク:320Nm/1450-4800rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:FWD
サスペンション:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後205/45R18
【問い合わせ】
MINI カスタマー・インタラクション・センター
TEL 0120-3298-14
【関連リンク】
・MINI JCW 公式サイト
https://www.mini.jp