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操舵性と上質な乗り味は特筆 注目は今風な「クロスター」
ホンダ・フリードはかつてのキャッチコピーではないけれど、実に「ちょうどいい」。使い勝手、走りともに超優秀な日本にジャストなミニバンである。この二代目の開発責任者はオデッセイの開発に携わった人で、〝ミニバンの皮を被ったスポーティカー〞と言えるオデッセイの直進性フットワークの良さを贅沢過ぎる技術・機能によってフリードに注入。そう、フリードは上級ミニバンのエッセンスをもつ5ナンバーサイズのコンパクトミニバンなのだ。
エクステリア
車種構成は1.5lのガソリン車(WLTCモード燃費最良17.0km/l)、1.5lエンジン+モーターのHV(WLTCモード燃費最良20.8km/l)。それぞれ基本の3列シートと、フリードから3列目席を取り払った2列シートのフリードプラスが揃う。現行型はHVのリチウムイオンバッテリーを1列目下に配置することで3列目席〜ラゲッジ下の大きなスペースが確保でき、大人も快適な車中泊対応性や先代になかったフリードプラスの車椅子仕様を実現した。
乗降性
室内は広大だ。身長172cmのドライバー基準で2列目席頭上に210〜230mm、膝まわり空間は2列目席360mmものスライド機構によって最大360mmに達する(キャプテンシートの場合)。3列目席はライバルに比べ居住性でリードされるものの、子ども席や緊急席と考えれば不満はない。また、1―2列目席、2―3列目席のフラットアレンジも可能となり、アウトドアなどでの仮眠、就寝に威力を発揮してくれる。
インストルメントパネル
2019年のマイナーチェンジでは内外装をリフレッシュ。先進運支援機能のホンダセンシングを全車に標準装備し、クロスオーバー感あふれる「クロスター」を新設定(最低地上高は不変)。アウトドアブームの今、大注目のグレードとなる。
居住性
フリードの走行性能は、ガソリン、HVを問わず、フットワークや直進性、ステアリングの応答性の良さ、そして上質な乗り心地が際立つ。実はサーキット試乗の経験もあるのだが、安定感は終始鉄壁。タイトなカーブでも重心の高さを感じにくく、安定しきったロールで姿勢を保っままスイスイ曲がってくれるのだから安心かつ楽しい。
つまり山道でも走りを楽しめるコンパクトミニバンということだ。言い方を変えれば、あらゆる走りのシーンで運転がうまくなった!? と錯覚させるような走行性能の持ち主なのである。例えば、首都高速道路のカーブや山道で、うっかりいつもより高いスピードで進入したとしても安定感・安心感たっぷりにクリアできてしまうだろう。
うれしい装備
月間登録台数 6804台(21年11月~22年4月平均値) 現行型発表 16年9月(「Modulo X」マイナーチェンジ 20年5月) WLTCモード燃費 20.8km/l※「HYBRID」系のFF車
ラゲッジルーム
2列車のフリードプラスは大容量ハイトワゴンと呼べるキャラクターで、アウトドアなどでも大活躍してくれる使い勝手を備え、ホンダ純正アクセサリー(ラゲッジクッションマット。長さ180cm×幅123cm)によって車中泊にも対応。車内をベッド化した状態で、ラゲッジボード下に大空間ができ、荷物をたっぷり収納できるのだから便利過ぎる。
そんなフリードプラスの車重はフリードと同等ながらリヤ部分は約70kg重い。それでもフリードと変わらない乗り味、フットワークを示してくれる。フリードで残念なのは、ホンダセンシングがまだ一世代前のものということぐらいだろうか……。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.142「2022-2023 コンパクトカーのすべて」の再構成です。
http://motorfan-newmodel.com/integration/142