いすゞの“5つ星トラック”はダンプになっても伊達じゃない! トミカ × リアルカー オールカタログ / No.101 いすゞ ギガ ダンプカー

発売から50年以上、半世紀を超えて支持される国産ダイキャストミニカーのスタンダードである『トミカ』と、自動車メディアとして戦前からの長い歴史を持つ『モーターファン』とのコラボレーションでお届けするトミカと実車の連載オールカタログ。あの『トミカ』の実車はどんなクルマ?
No.101 いすゞ ギガ ダンプカー (荷台上下・希望小売価格550円・税込)

『トミカ』のNo.101は『いすゞ ギガ ダンプカー』です。ダンプカーとは、皆さんもご存じの通りトラックの一種で、荷台を油圧などを用いるシリンダー機構の伸縮動作によって傾け、積荷を一気に下ろすための装置を備えた車両です。ダンプとは「中身を一気に空にする」という意味の英語で、荷台を傾けて一気に積み荷を下ろす様子から名付けられています。なお、「ダンプカー」とは和製英語で、正しくは「ダンプトラック」と言います。また、「ディッパー」とか「ディッパートラック」などと呼ぶ国もあるようです。

いすゞ ギガ ダンプ完成車 高積載仕様(7A-S)(丸底デッキ形状/極東開発工業) 実車フロントビュー。
いすゞ ギガ ダンプ完成車 高積載仕様(7A-S)(丸底デッキ形状/極東開発工業)実車リヤビュー。

ダンプカーには様々な分け方がありますが、私たちがよく目にするのは、一般公道を走行する「普通ダンプトラック」です。これに対し、露天掘りや砕石場や鉱山、あるいはダムなどの大規模建設現場のような私有地内で用いられる「重ダンプトラック(ホウルカー)」があります。2023年1月現在、『トミカ』のNo.102にラインアップされている『日立建機 リジッドダンプトラック EH3500ACII』がこれにあたります。

また、積み荷の種類によって区別する分け方もあります。土砂や産業廃棄物などを運搬する、私たちがよく目にするダンプカーを「土砂ダンプ」と言い、土砂以外の軽量ゴミやペットボトルなどを運搬するものを「土砂禁ダンプ」、あるいは荷台の周囲のあおり(側壁)部分を高くしていることから「深(ふか)ダンプ」と呼びます。この「土砂禁ダンプ」は、日常生活では粗大ゴミや放置自転車の収集で目にすることがあります。

さらに、荷台の構造によっても分けることができます。これは10種類以上に分けられますが、私たちがよく目にする、後方へ荷台を傾ける方式のものを「リヤダンプ」と言い、後方だけでなく左右に傾けることも可能なものを「三転ダンプ」と言います。また、土砂を下ろす時に石や岩などの固い物が床板を削ってしまうことがあるため、荷台部分の床板を丈夫に強化したものを「強化ダンプ」と言います。

さて、『トミカ』の『No.101 いすゞ ギガ ダンプカー』は、いすゞの大型トラック『ギガ』のダンプカー仕様をモデル化しています。『ギガ』は810シリーズの後継車として1994年(トラクタ系は1995年)に登場し、現在の最新モデルは単車系――非トラクタ系車種のこと――が2015年、トラクタ系が2016年にデビューした2代目モデルになります。ちなみに『ギガ』という名前は「10億」を意味する英語――GIGA――から取られており、「10億」から転じた「巨大な」という意味合いをもって、いすゞの取り扱う最も大きな商品であることを示しているそうです。

セミラウンドインパネを採用、スイッチ類をメーター・インパネ周りに集約したり使用頻度に合わせて機能的に配置することで運転操作性を向上させている2代目モデルのコクピット。

現行2代目モデルは、労働力不足や運行コストの低減などの課題、環境や安全に対するニーズの高まりを受け、車両単独性能の追求から“運ぶ”システムへと進化させることを目標に、次世代トラックのあるべき姿を見据え、快適な運転環境の実現、省燃費の追求、トータルセーフティの追求、高積載の確保、情報通信による遠隔サポートといった5つの視点から、その性能を磨き上げています。外観は新空力骨格キャブにより、空気抵抗を低減させると同時に、昇降ステップやグリップ等を効率よく、かつ美しくレイアウトするなど、使い勝手と経済性能を両立。大型フロントグリルおよび大型インタークーラーにより冷却性能が向上させています。

タッチパネル搭載の7インチのディスプレイを搭載。バックカメラ映像表示のほか様々な操作/表示が簡単に出来る。

インテリアは運転操作性の向上として、セミラウンドインパネを採用。スイッチ類をメーター・インパネ周りに集約し、また使用頻度に合わせてゾーン分けして機能的に配置することで、運転時の操作性や識別性が向上させ、より効率的な操作を可能としています。また、ステアリングスイッチと4インチ液晶モニターのマルチインフォメーションディスプレイの採用で、安全で負担のない操作を可能にしています。

2025年度燃費基準対応にあわせてアップデートされた、6UZ1型ディーゼルエンジン。各部に徹底した見直しを実施、使用頻度の高い実用回転域での燃費性能を追求し、燃料コスト削減の最大化と最高の環境性能を追求している。

エンジンも大きく改良され、ターボチャージャーの仕様変更、インタークーラーとラジエーターの大型化、EGRクーラーの高効率化、サプライポンプの変更、新インジェクターの採用、超高圧コモンレールの採用により、低・中回転域のトルクアップが図られ、燃費が向上しています。また、進化した自動式変速トランスミッション『Smoother-Gx』により、スムーサーのシフトショックを低減し、より滑らかな発進を実現しています。さらにエンジンリターダを採用することで補助ブレーキの制動力も向上しています。

いすゞ自慢の自動マニュアルトランスミッション『スムーサーGx』。省燃費かつ最適駆動段の自動選択はもとより、不要な馬力の発生の抑制、走行惰性の有効活用など、最新技術でエコドライブをサポートする。

安全装置関係では、移動障害物に対する衝突回避支援機能がプリクラッシュブレーキに追加されたほか、障害物を検知する手段をミリ波レーダーとカメラを併用する二重検知にすることで、前方の検知精度を大幅に向上させています。

さらにデータ通信とインターネットを融合して車両データを遠隔で解析する仕組み、『MIMAMORI』が標準搭載されており、従来わからなかった車両の状態が、インターネットを介して遠く離れた場所からでも容易に確認することが可能となっています。

いすゞ 『ギガ』シリーズは高い走行性能だけでなく、先進の安全装置も充実している。

『トミカ』の『No.101 いすゞ ギガ ダンプカー』は、その造形から見て現行最新型の2代目モデルのダンプカー仕様、それもロングダンプを再現したものと思われます。また、荷台形状から見て、おそらく丸底デッキ形状の高積載仕様の強化ダンプカーでしょう。『No.101 いすゞ ギガ ダンプカー』は、実車の特徴をよく再現していると同時に、実際のダンプカー同様に荷台を上下できる機構も備えた、遊びがいのある1台になっています。

実は2023年1月現在、『トミカ』では『No.55 いすゞ ギガ フライドポテトカー』でもいすゞ『ギガ』がモデル化されています。ただし、こちらは初代モデルでなおかつトラクタ仕様という、まったく毛色の異なった車両になっていますので、2台を並べてみるのも楽しいでしょう。

■いすゞ ギガ ダンプ完成車 高積載仕様(7A-S)(丸底デッキ形状/極東開発工業)主要諸元(諸元は最新の実車のものです。『トミカ』のモデル車両と同一規格ではありません)

全長×全幅×全高(mm):7640×2490×3400

ホイールベース(mm):4535

トレッド(前/後・mm) :2060/1850

車両重量(kg):9930

エンジン:6UZ1-TCS型直列6気筒直接噴射式ディーゼル

排気量(cc):9839

最高出力: 279kW(380ps)/1800rpm

最大トルク:1814Nm(185kgm)/1200rpm

トランスミッション:12速AMT(自動マニュアルトランスミッション)

サスペンション(前/後):リーフリジッド

主ブレーキ(前後) :空気式リーディングトレーリング

タイヤ:(前後):285/85R 22.5 146/143J

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