『トミカ』の記念すべきNo.100は、JAFのロードサービスを支える機動力バツグンのジムニーだ!

今日も救援で東へ西へ! JAFロードサービスを支えるジムニーは路上の何でも屋さんなのです トミカ × リアルカー オールカタログ / No.100 スズキ ジムニー JAF ロードサービスカー

発売から50年以上、半世紀を超えて支持される国産ダイキャストミニカーのスタンダードである『トミカ』と、自動車メディアとして戦前からの長い歴史を持つ『モーターファン』とのコラボレーションでお届けするトミカと実車の連載オールカタログ。あの『トミカ』の実車はどんなクルマ?
No.100 スズキ ジムニー JAF ロードサービスカー (サスペンション可動・希望小売価格550円・税込)

2023年1月現在の『トミカ』の記念すべきNo.100は『スズキ ジムニー JAF ロードサービスカー』です。

「JAF」とは英語の「Japan Automobile Federation」の略称で、正式には「一般社団法人日本自動車連盟」と言い、自動車に関する様々な業務を取り扱うとともに、自動車ユーザーの助けになること――特に安心と安全を支えるサービスの提供――を目的とした団体です。また、国際自動車連盟(FIA)に加盟している日本で唯一の団体で、日本における四輪モータースポーツ統括団体として、日本で行なわれる様々なモータースポーツを公認――場所や状態、数量や単位、記録手段や方法などが、世界的に申し合いが行なわれて決められた正式な規則に従っていると認定すること――することも重要な活動です。

JAFのロードサービスカー。左上は4輪駆動タイプ。レッカー車が入れない悪路や雪道へ救援に入る。左下は普通車タイプのサービスカーと救援作業の模様。右上はご存じレッカー車、右下は作業中のレッカー車。「作業中」のプレートが掲げられている。(PHOTO:JAFニュースリリースより)

さて、JAFの大きな活動のひとつがロードサービスです。ロードサービスとは、バッテリー上がりやパンク、キーの閉じこみ、燃料切れ、事故や故障でのけん引・搬送作業など、自動車の運転につきものの急な故障やトラブルに備えたサポートです。JAFは会員制度をとっており、個人会員、家族会員、法人会員などの種別がありますが、会員は無料で主なJAFのロードサービスを受けることができます(部品代や15 km以上の牽引、特殊作業、有料道進入の際の交通費、有料駐車場の駐車場料金等の一部は有料)。非会員でもロードサービスを依頼できますが、その際には一般料金を支払わねばなりません。

スズキ JB74W型 ジムニーシエラ 実車フロントビュー(JC・キネティックイエロー/2022年モデル)(『トミカ』のモデル車両と同じ規格ではありません)
スズキ JB74W型 ジムニーシエラ 実車リヤビュー(JC・キネティックイエロー/2022年モデル)(『トミカ』のモデル車両と同じ規格ではありません)

このJAFのロードサービス業務に活躍するのが「ロードサービスカー」です。ロードサービスカーには用途に応じて様々なタイプの車両がありますが、最も代表的なのはJAFのロードサービスカー全体の6割を占め、事故車、落輪、転落などの引き上げ作業、また故障車の移動の救援などで幅広く活躍している、水色と白のJAFカラーに塗られたレッカータイプの車両です。

しかし、何でもかんでもレッカー車が出動するわけには行きません。たとえばバッテリー上がりやキーの閉じこみなど比較的軽い故障やトラブルの救援や、レッカー車が入れない狭い道路や地下駐車場などでは、路上故障応急器材一式を搭載したバンタイプの普通自動車や軽自動車、あるいはオートバイが駆け付けます。また、レッカー車が入れない悪路や雪道における落輪、スタックの救援作業では四輪駆動車が駆け付けます。『トミカ』の『No.100 スズキ ジムニー JAF ロードサービスカー』は、この比較的軽い救援作業に駆け付けるサービスカーをモデルに作られています。

スズキ JB64W型 ジムニー。『トミカ』で再現しているのはこちらの軽自動車版。JAFのロードサービスカーでは普通小型車版のジムニーシエラの採用例の方が多いようだ。

スズキのジムニーは、1970 年に軽自動車唯一の四輪駆動車として発売されて以来、悪路走破性とコンパクトな車体による取り回しの良さにより、様々な場所や用途で幅広く活躍してきました。現在最新のジムニーは2018年に発売されたJB64型で、これは初代から数えて4代目にあたります。『No.100 スズキ ジムニー JAF ロードサービスカー』として発売されている『トミカ』はこの4代目をモデルとしています。

ジムニーシエラ(JL・5MT)のインパネまわり。軽自動車のジムニー同様にシンプルにして使い勝手も良い質実剛健なデザイン。(『トミカ』のモデル車両と同じ規格ではありません)

4代目ジムニーはジムニーの伝統である頑丈なラダーフレーム構造、エンジンを縦置きに配したFRレイアウト、悪路走破性に優れる機械式副変速機付きパートタイム4WDシステム、一般的な乗用車の独立懸架式サスペンションに比べ、凹凸路で優れた接地性と大きな対地クリアランスが確保された3リンクリジッドアクスル式サスペンション、機能に徹した飾らない潔さを追求したデザインなどが継承されています。

ジムニーシエラ(JL・5MT)のインテリア。軽自動車のジムニーと同様なので、いささか狭いかも。(『トミカ』のモデル車両と同じ規格ではありません)

もちろんこれらの優れた特徴は継承されただけでなく、ラダーフレームにはX(エックス)メンバーと前後にクロスメンバーが加えられて、ねじり剛性が先代モデルより約1.5 倍向上、車体とラダーフレームをつなぐボディマウントゴムが新設計されて乗り心地が改善され、優れた操縦安定性が実現されています。

ジムニーシエラには、ジムニーと異なり1.5ℓのK15B型エンジンが搭載される。(『トミカ』のモデル車両と同じ規格ではありません)

また、機械式副変速機付きパートタイム4WDシステムは路面状況に合わせて2WDと4WDとを任意に切替えて走行できることはもちろん、4WDでは4H(高速)と4L(低速)のモードに切替えが可能で、4Lは、通常の約2 倍の駆動力を発揮し、急な登坂路や悪路の走破性を高めますが、4代目ではブレーキLSDトラクションコントロールを全車標準装備としたことで、4Lモード走行時、エンジントルクを落とすことなく、空転した車輪にだけブレーキをかけることでもう一方の車輪の駆動力を確保し、高い脱出性能を実現しています。さらにエンジンは専用チューニングが施されたR06A型ターボエンジンが採用され、動力性能を進化させるとともに、被水や雪、飛び石などへの対策が施されて信頼性が向上しています。

安全技術では、衝撃を効率よく吸収・分散する軽量衝撃吸収ボディ『TECT』、歩行者の頭部・脚部へのダメージを軽減する歩行者傷害軽減ボディをはじめとする、万が一の衝突被害を軽減する衝突安全技術が採用されていることに加え、スズキの予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」を搭載するなど装備が充実。経済産業省や国土交通省などが普及を推進する「セーフティ・サポートカー」の「サポカーSワイド」に該当しています。

さて、ジムニーには1977 年に発売された、エンジン排気量0.8ℓのジムニー8を原点とする、軽自動車のジムニーに小型車用エンジンを搭載したジムニーシエラという小型普通車版の兄弟車があります。実は現在、JAFのサービスカーとしては、軽自動車のジムニーよりも普通小型普通車版のジムニーシエラの方が採用数が多いようです。おそらく普通バンタイプのサービスカーと4WD車のサービスカーの両方の特徴をあわせ持った車両としてJAFでは期待しているのでしょう。

軽自動車のジムニー同様、高い悪路走破性とコンパクトな車体による取り回しの良さがジムニーシエラの魅力。(『トミカ』のモデル車両と同じ規格ではありません)

『トミカ』の『No.100 スズキ ジムニー JAF ロードサービスカー』はジムニーの特徴を上手くとらえており、また、JAF特有のマーキングも詳細に再現されています。実際にはサイズなど細かく異なる部分がありますが、前後のフェンダーを油性フェルトペンや模型用マーカーなどで黒く塗る(できればツヤ消し黒)と、手軽にジムニーシエラのような見た目になりますので、2台購入して1台はジムニーシエラ仕様にして楽しむのも面白いかもしれません。むしろJAFの現状の導入数から考えるとジムニーシエラとして楽しむのは大いに「アリ」でしょう。また2023年1月現在、『トミカ』の『No.14 スズキ ジムニー』がノーマル版の軽自動車なので、サービスカー版の本製品と並べて楽しむのも良いでしょう。

■スズキ ジムニーシエラ(JB74W型・JC・5MT) 主要諸元(『トミカ』モデル車と同一規格ではありません)

全長×全幅×全高(mm):3550×1645×1730

ホイールベース(mm):2250

トレッド(前/後・mm) :1395/1405

車両重量(kg):1080

エンジン形式:型 K15B型 直列4気筒DOHC吸気VVT

排気量(cc):1460

最高出力:75kW(102ps)/6000rpm

最大トルク:130Nm(13.3 kgm)/4000rpm

トランスミッション:5速MT

サスペンション(前/後):3リンクリジッド/トーションバー

ブレーキ(前/後) :ディスク/ドラム

タイヤ:(前後):195/80R15 96S

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