猛暑の炎天下では車内は灼熱地獄! きっちり暑さ対策をして快適な車内を実現しよう

夏場はクルマにとってもドライバーにとっても過酷な季節。とりわけ、炎天下で駐車していると、短時間でも車内はサウナのようにムンムン熱気に覆われていて、とても乗り込む気にはなれない。本稿では、このような状況を少しでも軽減・予防するために、乗車後すぐに行うべき暑さ対策のほか、車内を少しでも涼しくするためのグッズなどを紹介しよう。
EPORT&PHOTO 小原裕一郎(OHARA Yuichiro)

炎天下で4時間駐車しているとダッシュボードは80℃近くまで上昇する

JAF(日本自動車連盟)では、クルマにまつわるさまざまなテストを行っているが、真夏に駐車条件の異なるクルマを5台用意し、12時から4時間駐車した際の車内温度についてデータを公表している。

このテストでは5台のミニバンを用意し、サンシェード、窓開け、エアコンなどの暑さ対策の有無に加え、ボディカラーによる違いも条件に入れて、気温35℃の日に4時間駐車した際の車内各部の温度を測定。結果は下表のとおりで、何も暑さ対策をしていないクルマ(黒色)のダッシュボードの最高温度は79℃にもなり、不用意に触るとヤケドするほどの高温になっていることがわかる。

【テストの条件】日時:2012年8月22日~23日(12時~18時)、場所:埼玉県戸田市、気温:35℃にて実施 <参考:JAF>
炎天下で車内にスマホなどの電子機器を置いたまま駐車してしまうと、熱暴走を起こてしばらく使えなくなったり、故障することがあるので、防犯上の観点からも置き去りにしないよう注意したい。

車内温度を素早く下げたいときは窓開けが効果的

表1のとおり、真夏の炎天下で長時間駐車した際の車内温度は、平均で50℃以上となっていて、ダッシュボードに至っては80℃近くまで上昇する。このような高温下では、いくらエアコンを全開にしてもすぐに温度は下がらないので、たまたま体調が悪かったりすると熱中症になる可能性もある。

このような高温状態をできるだけ早く解消するには、ちょっとアナログと感じてしまうかもしれないが、下記のような対策を行うのが効果的だ。

●エアコンを外気導入にして全開にする

炎天下で駐車したクルマに乗り込んだときは、まず多くの方は、エンジンをかけてエアコンを最低温度に設定して全開にしているだろう。こうしておけば、いずれは涼しくなって快適に運転することができる。ただ、この際に気を付けておきたいのが、内気循環/外気導入のモード切り替え。車内が高温になっている場合は、内気循環では冷却効率が下がるので、必ず外気導入にモードを切り替えておこう。

最近は内気循環/外気導入のモードが自動的に切り替わるタイプもあるが、急速に温度を下げたい場合は必ず外気導入になっていることを確認しよう <出典:pixabay>

●窓ガラスやサンルーフを開けて熱気を車外へ逃がす

エアコンは、冷気を放出することで車内の温度を下げているが、一方で車内に溜まった熱気を外へ放出するのも効果的。これは極めてアナログな方法だが、すべての窓ガラスを全開にするか、可能ならばドアごと開けておくことで、熱気を効率よく車外へ放出することができる。

また、サンルーフ付きのクルマならば、オープンしておくことで、さらに時短になるはず。もちろん、これはエアコンの運転と並行して行うのが前提条件だが、この状態でしばらく走行するのが、もっとも効果的な冷却方法といえる。

サンルーフ付きのクルマは、オープンすることで熱気の出口がひとつ増えるので、開けておくと効果的だ。

●ヘッドレストファンは意外と役立つアイテム

エアコンも窓ガラスも全開にして車内の熱気を追い出そうとしても、すぐには冷えてこないので、しばらくの間は暑さを我慢しなければならない。わずか数分間のことだが、できることなら、この間も何らかの手段で体を冷やしたいと思うはず。そんなニーズにピッタリなのが、ヘッドレストファンだ。

暑い時は、顔や首元を集中的に冷やすと、かなり涼しさを感じるので、最近は街中でもハンディファンを持っている人をたくさん見かけるようになった。ヘッドレストファンは、これと同じ原理だが、フレキシブルアームの先端に取り付けられた2つのファンで、顔や首元へ直接な風をあてることができるので、実際に使ってみると想像以上に涼しさを実感できる。

また、ヘッドレストファンの中にはフレキシブルアームを360度回転できる商品もあり、このタイプならば前席だけでなく、後席でも使用可能。後席に子供やペットを乗せているときは、熱中症対策の強い味方となるはずだ。

ヘッドレストファンは、2つのフレキシブルアームの先端に取り付けられたファンにより、顔や首元を集中的に冷やすことが可能だ。
360度回転可能なヘッドレストファンならば、エアコンの風が届きにくい後席にも涼しい風を送ることができる。後席に子供やペットを乗せるときは大変便利だ。

車内の温度上昇を抑える暑さ対策グッズ4選+α

夏場に駐車するときは、なるべく直射日光の当たらない場所を選ぶのがセオリーなので、みなさんも屋内の駐車場や日陰などを探して停めているだろう。

とはいえ、多くの駐車場は炎天下にさらされているので、そのような場所へ駐車するときは暑さに対する予防策が必要になる。ここでは、車内の温度上昇を抑えるグッズをいくつか紹介しよう。

●サンシェード

サンシェードは暑さ対策の定番とえるグッズなので、すでに愛用している方も多いはず。駐車するたびに取り付け、取り外しをしなければならないので、少し面倒だが、JAFのテストデータによると車内の平均温度で約5℃、ダッシュボードでは約30℃も差が出るので、使う価値は十分にある。ダッシュボードやシートの日焼け防止にも効果があるので、夏場の必携グッズといえるだろう。

●断熱ハンドルカバー

クルマは四方八方に窓ガラスがあるので、直射日光はフロントガラスだけではなく、さまざまな方向から入ってくる。炎天下に駐車したクルマのステアリングが、触れないほど高温になってしまうのは、これが原因。こうなると、急いでいてもすぐに発進することができないので厄介だ。

このような状況を未然に防止してくれるのが耐熱ハンドルカバー。取り付けはステアリングに被せるだけなので、サンシェードを取り付けるのが面倒なときは、耐熱ハンドルカバーだけでも取り付けておけば安心だ。

ステアリングを直射日光の高熱から守ってくれる断熱ハンドルカバー。これも車内に常備しておきたいグッズのひとつだ。

●断熱フィルム

最近のクルマは、断熱や防犯対策を兼ねて遮光ガラスが標準装備されていることが多いが、法令上、フロントガラス、運転席、助手席にはスモークタイプの遮光ガラスを使用することができない。しかし、最近は透明の断熱フィルムが市販されているので、これを専門業者などで施工してもらうと、ある程度の断熱効果がある。

断熱フィルムの中には、赤外線(IR)や紫外線(UV)をカットするタイプがあるが、車内の温度上昇を防ぎたいならば、熱エネルギーの高いIRカットフィルムがオススメ。ちなみに、UVカットフィルムは日焼け防止のほか、疲れ目の軽減の効果もある。

●遮光カーテン

フロントガラスのサンシェードや断熱ハンドルカバーだけならまだしも、駐車するたびに、すべての窓ガラスにサンシェードを取り付けるのは至難の業だ。ところが、最近の大型ミニバンの中には、オプションで電動カーテンが用意されていることもあるので、これならばワンタッチで開閉ができて大変便利。車中泊の際にも活躍してくれるはずだ。

ただし、フロントガラス、運転席、助手席には電動カーテンを設置できないので、別途サンシェードを用意しておく必要がある。

アルファードに純正オプションとして設定されている後席用パワーサンシェード。窓ガラスの数が多く、面積も広いミニバンには装着しておく価値はあるだろう。

●冷却スプレー

車内の温度上昇を抑制するグッズではないが、冷却スプレーを使えば、車内全体やシートに噴きかけるだけで車内の温度を急激に下げることができる。

ただし、冷却スプレーの中にはガスが入っているので、高温になった車内に放置していると破裂の可能性がある。同様にライターやガス缶、バッテリーが搭載されているスマホやモバイルバッテリーなども破裂、破損、引火の可能性があるので、夏場に限らずクルマには放置しない方が安全だ。

とはいえ、冷却スプレーはとても便利なグッズ。もし車内に常備しておきたいならば、スプレー缶タイプではなく、ミストタイプの冷却スプレーがオススメ。このタイプはシートや衣服に触接吹きかけることができるうえ、除菌や消臭効果もあるので、一石二鳥だ。

(左)スプレー缶タイプの冷却スプレー。(右)ミストタイプの冷却スプレー。車内に常備しておくならば、破裂の危険性がないミストタイプがオススメだ。 <出典:白元アース>

今回は、炎天下で駐車した際に問題となる車内の暑さ対策について紹介したが、車内の温度が高いまま運転すると注意力が散漫になって事故を起こしたり、熱中症を起こすリスクも高まるので、何らかの対策は必須。本格的な夏場へ向け、車内の暑さ対策をしっかり行って、快適で安全な運転を心がけよう。

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著者プロフィール

小原 裕一郎 近影

小原 裕一郎

メディアプランナー&ライター。メディア業界でテレビ視聴率調査、マーケティング(リアル&デジタル)、…