スズキ・スバル・ダイハツ・トヨタ・日産・ホンダ・マツダ・三菱……国内8社による共同プロジェクト『爆創クラブ』が東京ゲームショウ2023で発表!

2023年9月21日(金)、幕張メッセ(千葉県)にて開催された「東京ゲームショウ2023」のクラスターブースにて、メタバース空間で楽しめる新たなカーゲーム【爆走クラブ 制作発表会】が行われた。

メタバース空間『cluster』ってナニ?

バーチャルショールームやオンライン商談など、自動車業界においてもメタバース空間の利用が進みつつある。そのような時代に、国内自動車メーカー8社(スズキ、SUBARU、ダイハツ、トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、三菱)と国内最大級のメタバースプラットフォーム『cluster』を運営するクラスターによる共同プロジェクトで開発された新たなカーゲーム『爆創クラブ』が発表された。

『爆創クラブ』制作発表会で壇上に上がるクラスター株式会社CEO加藤直人氏。

『cluster』はイベント累計動員数2000万人を誇る国内最大級のメタバースプラットフォームで、年間200社以上がさまざまなビジネスシーンで利用している。ちなみに、2023年1月に開催された「東京オートサロン2023」の『GR/レクサスバーチャルガレージ』はこのclusterを使用したものだ。

民間企業はもちろん地方自治体や官公庁も利用している。
まちづくりが楽しめる近鉄不動産の「バーチャルあべのハルカス」。
セブン&アイのバーチャルライブハウス「セブンマイルプログラム Virtual World」。
大阪府のバーチャル大阪では、阪神タイガース優勝時のバーチャル道頓堀へのダイブが話題になった。

メタバース×乗り物×ものづくり

カーゲームはレースゲームが一般的だが『爆創クラブ』はそのタイトルに「創」とあるとおり、作ることがメインになっている。自分の好きなクルマを選び、メタバース空間を疾走しながら空間に散らばるアイテムを拾い集めてクルマをカスタムしていくというものだ。

用意されるクルマは8社23車種。ラインナップには各社の考え方が反映されていて面白い。
■登場車種リスト
スズキ:エブリイ、キャリイ、スーパーキャリイ
スバル:WRX S4、クロストレック、アウトバック
ダイハツ:コペンGR SPORT、キャンバス、ミゼット
トヨタ:GRスープラ、プリウス、RAV4
日産:フェアレディZ、サクラ、エクストレイル
マツダ:ロードスター、3、CX-60
三菱:アウトランダー、デリカミニ、トライトン
ホンダ:シビックTYPE-R、N-ONE RS 

しかも、そのアイテムはこれまた一般的なクルマのチューニングやドレスアップとは全く違ったものになっており、スペックの変化などは特に無くクルマに詳しくなくても気軽に楽しめるようになっている。

東京ゲームショウ2023限定『爆創クラブ』に用意されたアイテムは80種類。クルマと全く関係ないアイテムが多数。

東京ゲームショウ2023会場限定『爆創クラブ』を遊んでみた

東京ゲームショウ2023のクラスターブースでは、会場限定の『爆創クラブ』が試遊できた。クルマを選び制限時間内でフィールドを自由に走り回り落ちているアイテムを拾う。アイテムを拾うたびにクルマがそのアイテムでカスタムされていくのだ。

クルマの選択画面。
乗り込んで発進。アクセル/ブレーキ、ハンドルのみなので操作は至極簡単。
ステージを走り回る。ローポリゴンながらなかなかの疾走感が味わえる。

ディフォルメを効かせたローポリゴンなグラフィックではあるが、なかなかの疾走感が味わえる。プラットフォームはスマートフォンはもちろん、PC、VR機器にも対応。会場ではVRを試すことができたのだが、VRゴーグルだと疾走感はより高まり、激しいアップダウンでは乗り物酔い……実際はVR酔いではあるが……を起こしそうなほどだった。

制限時間内にひたすら“爆”走してアイテムを集め、クルマを“創”る。コックピット内のセンターモニターに、現在のクルマの姿が表示されている。

カッコよく!とか、速く!といったことを気にせず、とにかく適当に走ってアイテムを拾っていくのは実に気楽。とはいえ、ゲームだし何か得点的なものがないかのかといえば……

2323年の未来。宇宙空間で生活する人類は、人が住まなくなった地球に遊びにゆき、地球に残る残留物を集めてクルマを改造し自己表現にする遊び“デブリカスタム”が流行しつつあった……。

というストーリーがあり、集めたアイテム=残留物の重量が得点的な意味合いを持つ。実はこれはカーボンニュートラルを裏テーマにしているからだそうだ。
ちなみに、集めたアイテムによりクルマに愛称が自動的に付けられるという遊び心も。

『爆創クラブ』は今の所は東京ゲームショウ2023の会場限定で遊べるが、会場で遊んだクルマはカスタムコードを保存して持ち越すことができるほか、会場配布のカードを使ってスマホでのAR表示も可能。
また、爆走はできないが、クルマを好みにカスタムできる『爆創クラブ 組み立て倉庫』や、カスタムしたクルマを展示してユーザー同士で共有できる『爆創クラブ 展示エリア』が展開されている。

東京ゲームショウ2023 のクラスターブースではVRゴーグルを使った試遊ができた。PCもMacとWindowsに対応。
スマートフォンでも手軽に楽しめる。もちろん、iOS、Andoroid用対応となっている。

ヤリスのチーフデザイナーが語る開発秘話

この『爆創クラブ』プロジェクトの自動車メーカー側のメインとなったのはトヨタ。同社で長くインテリアデザインを手掛け、現行ヤリスのチーフデザイナーを務めたビジョンデザイン部部長・中嶋孝之氏が壇上に上がった。

壇上に立つ株式会社トヨタ、ビジョンデザイン部部長・中嶋孝之氏。

ビジョンデザイン部はクルマのデザインにとどまらず、特にマルチメディアやアプリケーションなどさまざまなモビリティを扱う部署。そして、メタバースとモビリティでどのような化学反応を起こせるか、オートサロンでのバーチャルガレージに続いてクラスターと共同でゲームという形で提案することになった。

クルマというものはリアルでは価格も高く、走るにしてもカスタムするにしても制約が多い。しかし、メタバースであればその制約を解き放った楽しみ方ができるというのが大きなメリット。そのメリットを最大限楽しめるコンテンツとして作られたのが『爆創クラブ』なのだ。

3Dデータの元データはメーカーの垣根を超えて提供された。

今回はトヨタの枠にとどまらず、自動車メーカー8社が共同し、普段は門外不出の3Dデータが『爆創クラブ』のために提供された。しかし、3Dデータはゲーム用にローポリゴン化、デフォルメ化するにあたって、各社のこだわりを反映したデフォルメするなど見た目以上に手間がかけられている。

クラスターCEOの加藤直人氏と中嶋孝之氏のトークショーも。

『cluster』内の空間としては『爆創クラブ』はかなり広めな空間を用意されているとのことで、思い切り爆走を楽しむことができるだろう。
基本プレイは無料(『cluster』のアカウントとアプリケーションが必要)ということもあり、正式サービスが待ち遠しい。車種やアイテム、ステージなど、さらなる展開にも期待したくなるコンテンツだ。

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