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■2代目スーパーシビックのステーションワゴン登場
1980(昭和55)年1月22日、2代目シビックに「シビック・カントリー」が追加(発売は翌日)された。大ヒットした初代シビックのキープコンセプトで登場した2代目だが、シビック・カントリーは当時日本でも人気が盛り上がり始めたアウトドアブームに対応して登場した。

2代目はボディをひと回り大きくした“スーパーシビック”
1972年にデビューした初代シビックは、新開発のCVCCエンジンを搭載して当時世界一厳しい米国の排ガス規制(通称、マスキー法)を世界で初めてクリアして日米で大ヒットした。

1979年には、初めてのモデルチェンジで“スーパーシビック”と名乗った2代目に移行。基本的にはキープコンセプトだが、スーパーシビックは初代を超えるモデルという意味を込めたキャッチコピーである。

ひと回り大きくなったボディと厚みのあるバンパー、メッキ枠の中に配した丸目ヘッドライトなど、初代のイメージをキープしながらも、より上質感を漂わせるフォルムに変貌。インテリアについても、広いキャビンと使い勝手のよいスイッチ類など、意欲的な試みが図られた。
パワートレインは、最高出力68psを発揮する1.3L&85psの1.5L直4 SOHC CVCCの2種エンジンと、4速/5速MTおよびホンダマチックの組み合わせ。ボディが大型化したにもかかわらず、車重はほとんど増えていなかったので、俊敏な走りは2代目でも健在だった。
アウトドアブームに対応するためシビック・カントリー登場

1970代年後半には、クルマの普及ともにアウトドアを楽しむ人が増えてきた。日本の本格的なアウトドアブームは1990年代に入ってからだが、米国ではすでにRVブームが起こり、ステーションワゴンも人気を博していた。

これを察知して、日産自動車が1979年にステーションワゴン「サニー・カリフォルニア」を投入。ホンダもシビック・バンをベースにしたステーションワゴン「シビック・カントリー」を1980年1月のこの日に市場へ放った。
シビック・カントリーは、クラストップレベルの室内の広さを確保し、後席シートは4段階の角度調整が可能で、荷室フロアとフラットにできる可倒機構も組み込まれた。さらに、テールゲートには運転席のボタンでロックが解除できる電磁式オープナーを採用して利便性も高められた。

またアウトドアを楽しむクルマらしく、米国で定番となっている木目調サイドパネル、サイドプロテクションモール、大型カラードバンパーなどを装着。パワートレインは、最高出力80ps/最大トルク12.3kgmの1.5L直4 SOHCと5速MTおよびホンダマチックの組み合わせ、駆動方式はFFである。

車両価格は、95万円(5速MT)/97万円(ホンダマチックAT)。当時の大卒初任給は11.5万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約190万円/194万円に相当する。シビック・カントリーは大ヒットとはならなかったが、堅調な販売を記録した。
シビック・カントリーは1代限り、シビック・シャトルにバトンタッチ
1983年のモデルチェンジに伴い、シビック・カントリーはモデル廃止となり、後継車として3代目シビックから「シビック・シャトル」に後を任せた。

シビック・シャトルは、ハッチバックより全高が約100mm高く、ワゴン車より全長が約200mm短いショートノーズ、ビッグキャビンのセミトールワゴンである。カントリーから全長が短縮された一方で、全幅と全高が拡大、ホイールベースも130mm延長され、ステーションワゴンから大きく変貌したのだ。
その後、シビック・シャトルも一定の人気を確保しつつ、シビックの定番モデルとして1996年まで販売が続けられた。

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シビック・カントリーにも採用されているが、この頃のステーションワゴンには必ずと言っていいほど木目調サイドパネルが使われていた。自動車黎明期、米国のクルマには馬車製作のノウハウを生かしてボディの一部に加工の簡単な木材が使われており、特にステーションワゴンにはボディ後部を木製にしたものが多かった。そういったことから、木目調の装飾はステーションワゴンの象徴的な装飾になったのだ。
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