オープンカントリーの最新作「R/Tトレイル」でオンとオフを走った!ラギッドテレーンって何だ!?

SUVの本領はオフロードにあり。そして悪路での走りを支えるのはSUV用タイヤであることは言うまでもない。そんな、オフ指向の強いユーザーであれば、オフロードの得意なタイヤに履き替えるカスタマイズは、必須メニューであることも理解しているだろう。そうしたSUVのタイヤ選びにおいて、抜群の知名度を誇っているのが「オプカン」の愛称で知られる、トーヨータイヤの「オープンカントリー」シリーズだ。そんな「オプカン」のニューフェイス「オープンカントリーR/Tトレイル」はプレミアムSUVにマッチするハイレベルなオールラウンダーだった。

REPORT:山本晋也(YAMAMOTO Shinya) PHOTO:井上 誠(INOUE Makoto)/TOYO TIRES


オプカンが生み出したカテゴリー「ラギッドテレーン」に新作が登場

TOYO TIRE(トーヨータイヤ)のSUV向けタイヤ「オープンカントリー」シリーズは『オプカン』の愛称で知られる人気タイヤ。一口にオプカンといっても種類はさまざまで、オフロードに特化したM/T(マッドテレーン)、舗装路からオフロードまでバランスさせたA/T(オールテレーン)、舗装路を重視したH/T(ハイウェイテレーン)といったラインナップを用意している。しかしながら、オプカンの特徴といえるのはオフロードテイストを強めたオールラウンダーとして「R/T(ラギッドテレーン)」カテゴリーを用意していること。なにしろR/Tはオプカンが元祖なのだ。

オプカンのラギッドテレーンの新モデルが「オープンカントリーR/T TRAIL(アールティートレイル)」だ。
R/Tタイヤに期待するアグレッシブなトレッドデザインはまったく新しいもの。繊細かつ大胆な形状になっている。

ところで、”トレイル”というネーミングに日本的な感覚ではハードコアな印象を受けるかもしれないが、そうではない。商品企画本部 消費財商品企画部長の永井邦彦氏によると『オープンカントリーのメインマーケットでもある北米では、トレイルという言葉には気軽な林道走行というイメージがあります』ということだ。肩肘はらずにSUVの走りを楽しんでほしいという作り手からのメッセージが込められた名前ともいえそうだ。

TOYO TIRE商品企画本部 消費財商品企画部長の永井邦彦さん。

の理由は「オープンカントリーR/Tトレイル」のサイズ展開を見れば、理解できる。発売予定の7サイズは265/75R16から265/50R20までとタイヤ外径が800mm前後の大きなモデルに限られている。つまり、ターゲットはレクサスLXやランクルなどのプレミアムかつクロカン性能の高いSUVというわけだ。

「オープンカントリーR/T」の後継ではなく、上位バージョンとして追加されたのが「オープンカントリーR/Tトレイル」だと理解すべきだ。そのため、R/Tトレイルに設定されるサイズは、オープンカントリーR/Tから整理される予定ということだ。

SUVカスタムとして定番となっている「オープンカントリーR/T」。ホワイトレターのロゴも人気の秘密。
「オープンカントリーR/Tトレイル」に設定されるのは以下の7サイズ。LT 265/75R16 123/120Q LT 265/70R16 121/118Q LT 265/70R17 123/120Q LT 285/70R17 126/123Q LT 275/70R18 125/122Q LT 275/55R20 120/117Q LT 265/50R20 115/112Q
オープンカントリー・シリーズが勢ぞろい。中央にあるのが「オープンカントリーR/Tトレイル」となる。

オンロードでは静粛性に優れた上品な乗り心地

では、プレミアムなクロカンSUVに向けて開発された「オープンカントリーR/Tトレイル」の走り味はどのように変わったのだろうか。今回、トーヨータイヤの協力により、同一車種での比較試乗をすることができた。走行したのは、いわゆるカントリーロードの舗装路だ。

ランドクルーザー250にオプカンを履かせて舗装路の比較を行った。

最初に「オープンカントリーR/T」を試したが、さすがの人気タイヤらしく、なにもネガを感じない。ラギッドなトレッドパターンながら路面タッチはマイルドであるし、オフロードタイヤ特有のパターンノイズも気にならない。十分に満足できるレベルにあることが確認できた。

「オープンカントリーR/Tトレイル」は、静かで剛性感のあるタイヤという印象。

そこから「オープンカントリーR/Tトレイル」に乗り換えると驚いた。最初のひと転がり目にはエッジの効いたブロックが生み出すしっかり感はあるのだが、そこからは舗装路用タイヤのようなしっとり感になっていく。ロードノイズもオープンカントリーR/Tとは周波数帯が異なり、より耳に届かない感触なのも好印象だ。重量級かつプレミアムなクロカンSUVに求められる性能をバランスよく実現したタイヤといえる。

アグレッシブなデザインながら快適性も高いレベルで実現している。

オフロードで感じる「安心と信頼」

今回は「さなげアドベンチャーフィールド」のオフロードコースにおいて「オープンカントリーR/Tトレイル」の悪路走破性能についても確認することができた。

ここでの第一印象を手短にまとめれば「安心と信頼」。雨上がりで滑りやすい路面においても重量級SUVがスリップしてしまうことはなく、タイヤ1本分の幅でコントロールすることが可能。最大傾斜30度のダウンヒルでブレーキをかけて停車しても滑り落ちたり、姿勢を乱してしまったりといった恐怖感はまったくない。

荒れた路面やタイトなコーナーをあまりにもあっけなく走り抜けることができたのには心底驚かされた。

”トレイル”という響きからの通り、日常のオンロード(舗装路)ではストレスがなく、その上で気軽にオフロード走行を楽しめるオールマイティさを持っていることが確認できた。

オフロード走行も2周目となれば自信をもって走れるようになった。

過酷なモータースポーツの現場でポテンシャルの高さを証明

量産車を改造したオフロードレース車が履く「オープンカントリーR/Tトレイル」は市販そのものという。

「オープンカントリーR/Tトレイル」のレベルが高いのは当然といえる。なにしろ1000マイル(約1600km)を一気に走り切るという伝統のオフロードレース「SCORE BAJA1000」に参戦したJAOSレクサスLX600は、市販品の「オープンカントリーR/Tトレイル」を掃き、なおかつ競技中にタイヤを交換することなくクラス優勝を果たしたというのだ。

「SCORE BAJA1000」にJAOSレクサスLX600で参戦した能戸知徳選手の走りを体感。

その走りを助手席で体感する機会にも恵まれたが、市販車を改造したとは思えないほど激しい走り(ジャンプする瞬間もあったほど!)を難なく受け止めていた。これだけのポテンシャルがあるのだから、ノーマルの市販車でオフロード走行を楽しむレベルであれば余裕綽々かつ、絶大な信頼感を覚えるのも当然なのである。

2025年3月にLT 265/75R16 123/120Qサイズを日本に投入、その他のサイズについては7月までに順次発売するという「オープンカントリーR/Tトレイル」、重量級&プレミアムなSUVオーナーにとって注目のタイヤといえそうだ。

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著者プロフィール

山本 晋也 近影

山本 晋也

1969年生まれ。編集者を経て、過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰することをモットーに自動車コ…