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出力&トルクの向上と専用パーツで魅力アップ

日本発の本格スポーツカーきっての色濃いヘリテイジの持ち主がフェアレディZだ。ボディサイズやエンジン排気量などのスペックが大きく変わっても、1969年に誕生し世界でヒットを飛ばした初代モデルを強く彷彿とさせる姿が最新のモデルとして現代に存在するそのこと自体が、もはや奇跡にも値すると表現してもあながち言い過ぎではないだろう。
エクステリア




2008年に誕生した従来=Z34型を叩き台に、通常のマイナーチェンジのレベルを大幅に超えるリファインを敢行してRZ34型となったのが、22年夏に発売をされた現行のフェアレディZ。そのラインナップの中にあってここに紹介するのは、新色を設定するなどで23年8月に〝2024年モデル〞へと移行するのを機に設定された『NISMO』のグレードである。
乗降性

日産直系のモータースポーツ担当子会社NISMOが手掛けたこのモデルは、ベース仕様の405PS/475Nmというツインターボ付きの3ℓ V型6気筒エンジンが発する最高出力/最大トルクを、420PS/520Nmにまで向上させている。さらに、専用デザインのボディキットや専用チューニングが施されたサスペンション、鍛造ホイールを採用するほか、インテリアにも専用のレカロ製スポーツシートを用意。一見して、いかにもNISMOの作品らしいラインナップの中でも最もスパイスの効いた一台として用意された〝特別なZ〞に相応しい内容を秘めた存在であることを主張している。
インストルメントパネル

そんなホットなスペックに少々身構えてテストドライブをスタートすると、「意外なほどに扱いやすい」というのが第一印象。前述のようにエンジン出力が高められシフトスピードも短縮されるなどNISMOらしい手が加えられていて、当然スピード性能も向上していることは疑いなし。だが、そうしたリファインが施されていながらも街乗りシーンを拒絶するような神経質さは皆無。本格的なバケットデザインのレカロ製スポーツシートも実際に腰を降ろしてみれば思いのほか快適で、「体幹を安定させることで車両との一体感を向上させ、肩甲骨を面で支える構造で横G発生時の保持性も高める」というそのモデルの謳い文句がまさにそのまま実感を出来る仕上がりである。
居住性

高出力エンジンを搭載したFRレイアウトゆえのダイナミックな走りを基本としながら、専用の高剛性ブッシュを採用しステアリングの剛性やサスペンション横剛性を向上させるとともに、径を拡大した専用ダンパーやスプリングやスタビライザーの最適化が図られた上でリヤダンパーにはリバウンドスプリングも追加……、と念入りなチューニングが図られたサスペンションは、日常の街乗りにも抵抗の要らない乗り味を実現している。
うれしい装備





追加モデル発表 23年8月1日
月間販売台数 79台(24年6月~11月平均)
WLTCモード燃費 9.2km/ℓ

ラゲッジルーム


同じNISMOバージョンでも絶対的なスピード性能向上に特化したGT-Rのそれとは明らかに目指すところが異なり、色濃いヘリテイジの持ち主であるフェアレディZというモデルならではの特徴を、さらに引き立てる方向でのチューニングモデルであることを実感させてくれる仕上がりだ。

