アウトドア仕立てのデザインと装備が魅力「ダイハツ・タント ファンクロス」【最新軽自動車 車種別解説 DAIHATSU TANTO FUNCROSS】

スーパーハイトワゴンでSUVスタイルで、かつ低価格という三拍子揃った「ダイハツ・タント ファンクロス」。ベースの仕様はタントとほぼ変わりはないが、バンパーやドアガーニッシュなどでアウトドアを楽しむ雰囲気は十分。好みが分かれる機能はオプションにするなど、数多いライバル車の中でも低価格のモデルも用意している。
REPORT:工藤貴宏(本文)/山本晋也(写真解説) PHOTO:平野 陽 MODEL:菅原樹里亜

外遊びにうれしい機能が満載 価格は同ジャンルで最安値

タントの派生モデルで、クロスオーバーSUVスタイルのファンクロス。言ってしまえば、つくりに関しては他社と同様の仕立てだ。つまりスズキ・スペーシアギアやホンダN-BOX JOY、そして三菱デリカミニなどと同様である。背が高くてスライドドアを組み合わせたスーパーハイトワゴンをベースに、無塗装の樹脂パーツを組み合わせてSUVらしいスタイルを演出。室内は撥水シートなどで機能性を高めてアウトドアとの親和性を高めている。

エクステリア

ボディパネルはタントシリーズ共通だが、専用のバンパーデザイン、ルーフレール、ドアガーニッシュなどによりSUVテイストを演出。ターボは15インチ、自然吸気エンジン車は14インチを標準装備する。最小回転半径は4.7m。

デリカミニ(の4WD車)と違って専用サスペンションによるリフトアップなどベース車両に対するメカニズムの変更はない。でも、それはデリカミニが異例なだけ。走りに関して変更がないファンクロス方式が世間の常識と言っていいだろう。そんなファンクロスだが、バイヤーズガイド視点で見るとライバルに対して大きなアドバンテージが存在。それは車両価格が安いことである。例えばこのジャンルの先駆者であるスペーシアギアの最も安価な仕様は195万2500円でN-BOXJOYは184万4700円、デリカミニは183万7000円となっている。しかし、ファンクロスは177万6500円から。唯一の、170万円台スタートなのだ。

乗降性

そう聞くと、そのぶん装備が簡素化されているのではと勘繰りたくなる。しかし明確に省かれているのはアイドリングストップ機能のみ。ライバルたちは標準装備するが、ファンクロスでは「非装着車」を用意することで価格を抑えたのだ(本来の理由はいち時期の半導体不足によりアイドリングストップ機能の生産に影響が出たためである)。ちなみにアイドリングストップ機能を備えると180万9500円になる。

インストルメントパネル

エアコン吹き出し口に配されたオレンジ加飾が、ファンクロスのSUVらしさをアピール。デジタル表示+液晶ディスプレイの大型メーターは、見やすいが不要なスペースも多い。

アイドリングストップ機能は作動を嫌う人も多い上に、バッテリー交換時の費用が高いこともあり、昨今は非装着の新車も増加中。そんな事情を知れば「むしろ、ないことを歓迎」という人も少なくないだろう。価格の理由がそこにあるので、当然ながら快適装備がライバルよりも劣っているということはない。左右とも電動スライドドアを標準装備するし、助手席側は前後ドアを同時に開くと柱が消えるアイデアも盛り込まれている。また、昨今は運転席と助手席にシートヒーターを組み込むのは珍しくないが、ライバルたちが座面だけを温めるタイプとしているのに対し、ファンクロスは座面だけでなく背中まで温まるのがうれしい。

居住性

もちろん室内は広く、後席の膝まわりスペースはゆったり。パッケージングは実に秀逸だ。一方でライバルに対して気になる部分は後席が低く畳めないこと。自転車を積む際などには影響を感じてしまう。ただ「そもそも後席は畳まない」という人ならまったく気にする必要はないと言える。

うれしい装備

スライドドアのシェードやシートバックテーブルなどが後席乗員の快適性を高める。テーブルの溝はタブレットなどを立てるための工夫。
月間販売台数    2047台(24年7月~12月平均値)
現行型発表     22年10月
WLTCモード燃費   21.9 ㎞/ℓ※自然吸気のFF車

ラゲッジルーム

走りは至って平和。これといった特徴はないが、かつてのハイトワゴンに比べると背の高さに起因する不安定感はしっかりと抑えられ、峠道などでも安定して走れる。ただし、車両重量自体はそれなりに重いので、山道を日常的に走る人や高速道路を使って移動する人にはエンジンのパワーに余裕があるターボエンジンがおススメだ。

本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.1662025 最新軽自動車のすべて」の再構成です。

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