MAZDA3 e-SKYACTIV Xとホンダ・シビックVTECターボ 6MTで操れるスポーツハッチバック対決

ホンダ・シビック vs マツダMAZDA3 FB
マツダのMAZDA3 FBとホンダ・シビックは日本を代表するハッチバックモデルである。e-SKYACTIV XとVTECターボという優れたエンジンもさることながら、2モデルともに6速MTを設定しているというクルマ好きにとってなかなか見逃せないポイントもある。価格もほぼ同じこの2台。直接比較してみよう。

まずは価格比較から

MAZDA3は、1.5ℓ直4ガソリン、2.0ℓ直4ガソリン、1.8ℓ直4ディーゼルターボ、そして2.0ℓのe-SKYACTIV Xという多彩なエンジンラインアップを揃える。今回は、6MTで操る楽しいハッチモデルがテーマだから、e-SKYACTIV Xをチョイス。対するシビックは、まもなく進化したハイブリッドシステムを搭載したe:HEVモデルが登場するが、今回は1.5ℓ直4VTECターボモデルを取り上げる。

価格は
MAZDA3ファストバック X Lパッケージ(6MT)
車両価格:338万0463円

ホンダ・シビックEX(6MT)
車両価格:353万9800円

だ。フル装備でオプションで付け加えるものがないほど充実した装備のシビックの方が高価格だが、MAZDA3にメーカーオプションの12スピーカーBOSEサウンドシステム+スーパーUVカットガラス、CD/DVDプレーヤー+地上デジタルTVチューナーで21万3380円を足すと359万3843円になるので、価格はほぼ同じだ(シビックには標準で12スピーカーのBOSEが付いている)。

350~360万円というとなかなか高価と思う人もいるかもしれないが、バリューを考慮したらリーズナブルな価格だと思う。CセグHBの代表選手であるVWゴルフの価格は、1.5ℓ直4ターボ+48V MHEVのeTSIスタイルで383万8000円だ(純正ナビDiscover Proが付いたモデルは403万6000円)

価格は、MAZDA3とシビック、互角である。

ボディサイズ比較

MAZDA3とシビックは、ともにハッチバックモデルだが、Cセグハッチバックとしてはどちらも大柄だ。
CセグHBのデファクトスタンダードをVWゴルフに求めると、ボディサイズはこうなる。

VWゴルフ
全長×全幅×全高:4295mm×1790mm×1475mm ホイールベース:2620mm

MAZDA3ファストバック X Lパッケージ(6MT)
全長×全幅×全高:4460mm×1795mm×1440mm ホイールベース:2725mm

ホンダ・シビックEX(6MT)
全長×全幅×全高:4550mm×1800mm×1415mm ホイールベース:2735mm

VWゴルフ

全長×全幅×全高:4295mm×1790mm×1475mm ホイールベース:2620mm

MAZDA3ファストバック X Lパッケージ

全長×全幅×全高:4460mm×1795mm×1440mm ホイールベース:2725mm

ホンダ・シビックEX

全長×全幅×全高:4550mm×1800mm×1415mm ホイールベース:2735mm

MAZDA3もシビックもゴルフと比べると長くて低いのだ。とくにシビックはCセグハッチバックのなかでも全長がもっとも長いクルマである。

デザインについては、好みがあるので優劣をつけにくいが、ともに全長が長い分、伸びやかでスポーティなスタイルだ。

ただし、小回り性はMAZDA3のほうが高い。最小回転半径はMAZDA3の5.3m(クラス標準)なのに対してシビックは5.7m。狭い道でのUターンや駐車はMAZDA3のほうがしやすい。

後席の居住性は?

MAZDA3ファストバック X Lパッケージ

MAZDA3の後席は、穴蔵感が強い。
フロントシートの出来はいい。

ホンダ・シビックEX

MAZDA3に比べると穴蔵感は薄い。
シビックの運転席は、着座位置が低い。それをスポーティと感じるか。視界はいい。

後席の居住性はシビックに軍配が上がる。MAZDA3の後席は、穴蔵感が強く、暗くて閉鎖的。シビックが明るくて開放的、というわけではなく比較としてはシビックの後席の方が居心地がよさそうだ。ヘッドルームの余裕は両モデルともに、けしてルーミーとはいえないが、後席にふたりの大人が座ってロングドライブをするのに問題はない。

身長175cmの標準体型の男性が前後に座ったときの後席ニールーム。こちらはMAZDA3。
シビックの後席の膝周りは余裕がある。

エンジンは? e-SKYACTIV X vs VTECターボ

エンジンは、MAZDA3が2.0ℓのSKYACTIV-Xエンジン、シビックが1.5ℓのVTECターボだ。ともに直列4気筒DOHCの直噴エンジンである。

形式:直列4気筒DOHCスーパーチャージャー
 型式:HF-VPH(e-SKYACTIV X)
 排気量:1997cc
 ボア×ストローク:83.50mm×91.2mm
 圧縮比:15.0
 最高出力:190ps(140kW)/6000pm
 最大トルク:240Nm/4500rpm
 燃料供給:DI
 燃料:無鉛プレミアム
24Vマイルドハイブリッド
MK型交流同期モーター
6.5ps(4.8kW)/61Nm
 燃料タンク:51ℓ

 形式:直列4気筒DOHCターボ
 型式:L15C
 排気量:1496cc
 ボア×ストローク:73.0mm×89.4mm
 圧縮比:10.3
 最高出力:182ps(134kW)/6000pm
 最大トルク:240Nm/1700-4500rpm
 燃料供給:DI
 燃料:無鉛プレミアム
 燃料タンク:47ℓ

パワースペックは
MAZDA3 SKYACTIV-X
 最高出力:190ps(140kW)/6000pm
 最大トルク:240Nm/4500rpm

シビック VTECターボ
 最高出力:182ps(134kW)/6000pm
 最大トルク:240Nm/1700-4500rpm
で最大トルクは同一。ただし、MAZDA3は24Vマイルドハイブリッドシステムを搭載しているので、6.5ps(4.8kW)/61NmのBSG (ベルトドリブンスータータージェネーター)が付く。同じFF/6MTの比較でも
MAZDA3:1430kg
シビック:1340kg
でMAZDA3の方が重いのは、補機・センサー満載のe-SKYACTIV Xが重いから。

パワーウェイトレシオは
MAZDA3:7.526kg/ps
シビック:7.363kg/ps

で少しシビックの方がいい。

トルクウェイトレシオは
MAZDA3:5.958kg/Nm
シビック:5.583kg/Nm

となる。

両エンジンともにパワーを絞り出すタイプではなく、高効率・低エミッションの新世代エンジンだ。ともに最高出力を6000rpm回転でマークするが、エンジンのフィーリングは2モデルでまったく異なる。

MAZDA3のSKYACTIV-Xエンジンは、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの合わせ技的な独特の味わいがある。味が濃い、エンジンとの対話を楽しむ通好みのエンジンだ。対するシビックのVTECターボは、スカッと回って爽快な、ある意味わかりやすいターボエンジンだ。ほかのダウンサイジング過給エンジンと違って、噴け上がりも軽く気持ちがいい。
わかりやすいのはシビックだ。2モデルとも燃料は「プレミアム」であることに注意。

燃費性能は?

モード燃費は
MAZDA3 
 WLTCモード燃費:18.5km/ℓ

  市街地モード 14.7km/ℓ
  郊外モード 19.8km/ℓ
  高速道路モード 19.8km/ℓ
シビック
WLTCモード燃費:16.3km/ℓ

  市街地モード 12.2km/ℓ
  郊外モード 16.6km/ℓ
  高速道路モード 18.8km/ℓ
で、24Vマイルドハイブリッドシステムを搭載するMAZDA3の方がいい。これは実燃費でも変わらない。燃料タンク容量はMAZDA3が51ℓ、シビックが47ℓだから、脚が長いのはMAZDA3ということになる。

6MT 気持ちのいいのは、どちら?

MAZDA3の6MT
最終減速比:4.388
1速:3.272 2速:1.947 3速:1.379 4速:1.0905速:0.880 6速:0.645 後退:3.385
シビックの6MT
最終減速比:4.105
1速:3.642 2速:2.080 3速:1.361 4速:1.023 5速:0.829 6速:0.686 後退:3.673
MAZDA3はマツダ流にしたがってアクセルペダルがオルガン式。
シビックのペダル配置。アクセルペダルは吊り下げ式。

6速MTを設定している両モデル、価格は2ペダル(MAZDA3は6速AT、シビックはCVT)モデルと同じ。ハードウェア的にはAT/CVTの方が高価だが、台数の少ないMTを用意して販売することを考えると同価格で抑えてくれている、と考えた方がいい。ちなみに、シビックのMT比率は30%ほどだという。異例に高い比率だ。それも、シビックの6MTの操る楽しさゆえだろう。

両モデルともシフトレバーは短めでショートストロークでスコスコ決まる小気味いいシフトフィールを実現している。どちらも非常に楽しいシフト操作ができるMTで、積極的にMTを選ぶ価値がある。クラッチの重さも適当(重くない)で、久しぶりにMTに乗る人にとってもハードルはない。もちろん、ヒルホールド機構がついているから坂道発進も容易だ。

売れているのはどちら?

MAZDA3のラゲッジルーム
シビックのラゲッジルーム

最後に販売台数を見てみよう。
2021年の国内販売台数は
MAZDA3:16361台
シビック:8520台

で多彩なパワートレーン(セダンも含まれる)を持つMAZDA3の方が多い。
北米では
MAZDA3:37653台
シビック:263787台

でシビックの圧勝。北米でシビックがどれほど愛されているかがわかる。

350~360万円で、装備もパッケージングも走りも楽しいクルマが手に入る、しかもMTも選べるというのは、じつはとても素晴らしいことだ。走りに対する燃費という点でも、両モデルとも非常に優れたエンジンを搭載している。どちらを選んでも損はしない。しいて言えば、MAZDA3の方がよりパーソナルでシビックはもっとオープン。後席の使い勝手、ラゲッジの大きさなどを見ると、よりアクティブに走りを楽しみ人はシビック、知的でより深くクルマとの対話を楽しみたい人はMAZDA3、となるだろう。

どちらも本当に良いクルマです。

MAZDA3ファストバック X Lパッケージ(6MT)
  全長×全幅×全高:4460mm×1795mm×1440mm
  ホイールベース:2725mm
  車重:1430kg
  サスペンション:Fマクファーソンストラット式/Rトーションビーム式
  駆動方式:FF
  エンジン
  形式:直列4気筒DOHCスーパーチャージャー
  型式:HF-VPH(e-SKYACTIV X)
  排気量:1997cc
  ボア×ストローク:83.50mm×91.2mm
  圧縮比:15.0
  最高出力:190ps(140kW)/6000pm
  最大トルク:240Nm/4500rpm
  燃料供給:DI
  燃料:無鉛プレミアム
 24Vマイルドハイブリッド
 MK型交流同期モーター
 6.5ps(4.8kW)/61Nm
  燃料タンク:51ℓ
  トランスミッション:6速MT
  WLTCモード燃費:18.5km/ℓ
   市街地モード 14.7km/ℓ
   郊外モード 19.8km/ℓ
   高速道路モード 19.8km/ℓ
   車両価格:338万0463円
ホンダ・シビックEX(6MT)
  全長×全幅×全高:4550mm×1800mm×1415mm
  ホイールベース:2735mm
  車重:1340kg
  サスペンション:Fマクファーソンストラット式/Rマルチリンク式
  駆動方式:FF
  エンジン
  形式:直列4気筒DOHCターボ
  型式:L15C
  排気量:1496cc
  ボア×ストローク:73.0mm×89.4mm
  圧縮比:10.3
  最高出力:182ps(134kW)/6000pm
  最大トルク:240Nm/1700-4500rpm
  燃料供給:DI
  燃料:無鉛プレミアム
  燃料タンク:47ℓ
  トランスミッション:6速MT
  WLTCモード燃費:16.3km/ℓ
   市街地モード 12.2km/ℓ
   郊外モード 16.6km/ℓ
   高速道路モード 18.8km/ℓ
   車両価格:357万8300円

キーワードで検索する

著者プロフィール

MotorFan編集部 近影

MotorFan編集部