目次
XVからクロストレックへ
■クロストレック
インプレッサをベースにしたクロスオーバーSUV。現行型XVのフルモデルチェンジに合わせて車名が世界共通のクロストレックに変更された。シリーズとしては通算4代目となる。
ドライブトレーンに変更はなく全体としてはキープコンセプトながら、エクステリアとインテリアを一新。
自慢のアイサイトは広角単眼カメラを追えて三眼とし、安全性能を高めている。
18インチタイヤや上質なインテリアを備えた上級グレードと17インチタイヤの標準グレードが設定されるようだが、日本でのグレード展開は価格も含めまだ発表されていない。
■XV
現行モデルはベースとなるインプレッサに続き2017年にデビュー。SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)はもちろんインプレッサと同様で、フォスレターに搭載されていた「X-MODE」がXVにも採用された。
デビュー時には用意されていなかったハイブリッドモデルは2018年にシステム名を「e-BOXER」と改め「Advance」グレードとして追加。
2020年にマイナーチェンジ、2021年に年次改良を施したものが現行モデルだが、すでに生産終了が発表されており販売店在庫のみとなっている。
エクステリアはフルモデルチェンジらしく大きく変化
■フロントビュー
ヘッドライトが小型化されるとともに大きくなったヘキサゴングリルは六角形であることがよりわかりやすいデザインになり、グリル内もハニカムモチーフになっている。その大型ヘキサゴングリルからボンネット、ヘッドライト、バンパーへと立体的に広がるフェイスデザインで頼もしさを表現する。
また、そのハニカムグリルに左右食い込むような凸部やバンパーの中心に向かうクラッディングは、「嵌合」=かしめたような立体的な造形で強固なイメージをデザインしたものだ。
XVではグリルやバンパー端にシルバーの加飾を用いていたが、クロストレックでは樹脂部分の面積が増えたことでアウトドアスタイルが強調されたデザインになったと言えるだろう。
■サイドビュー
シャープさを増したヘッドライトやテールランプのサイドへの回り込み、フロントバンパーやホイールアーチのクラッディングにボリューム感のある前後フェンダー、傾斜を増したリヤサイドウインドウなど、身軽で躍動的なイメージ。
リヤウインドウの傾斜角も大きくなり、前傾姿勢となったフォルムが機敏な走りを想起させる。
XVではドアの上下にあったプレスラインがクロストレックでは下のみになり、サイドビューがすっきりした印象だ。
ルーフレールの装着方法も、XVではボディ直付けだったが、クロストレックでは浮かせた形になったのも両車の異なる点である。
ルックスだけでなくホイールアーチのクラッディング後端にはエアアウトレットを設け、ホイールハウス内の空気を効率より排出することで空力性能も強化している。
■リヤビュー
コの字型のリヤコンビネーションランプはフォレスターやレヴォーグような形状に。これもフロントまわりと同じく「嵌合」の方法論でデザインされたものだ。
またXVではナンバープレート装着部とリヤゲートハンドルを合わせて構成したヘキサゴンは、クロストレックではナンバープレート装着部のみとなった。
ウエストラインより上のキャビンスペースが絞り込まれ、逆にリヤフェンダーが膨らんでいるため踏ん張り感のあるワイド&ローのフォルムとなっている。この印象にはコの字リヤコンビネーションランプも一役買っているように感じる。
XVでボディ同色だったバンパー下端がクロストレックでは樹脂になっており、フロント同様にアウトドアイメージを強調している。
■ホイール
クロストレックは18インチアルミホイールを上級グレードに装着するほか、標準グレードに17インチアルミホイールを用意。
18インチは切削加工が施されたシルバー/ブラックのツートーンというXVと同様の構成ながら、デザインは一新されておりXVよりやや落ち着いた雰囲気になっている。
タイヤサイズは18インチが225/55R18でファルケン・ジークスZE001A A/S(撮影車)、17インチが225/60-R17のヨコハマ・ジオランダーG91(撮影車)。XVのサイズは225/55R18。18インチ、17インチどちらもXVからサイズの変更はない。
縦型になったセンターディスプレイと新設計のフロントシート
■インストゥルメントパネル
大きく変わったのはセンターコンソール。特に、マルチファンクションディスプレはレヴォーグに続き縦型の11.6インチセンターインフォメーションディスプレイに統合された。画面はタッチパネルになっており、スマホやタブレット同様に操作可能でスマホとの連携も強化されている。エアコンとオーディオの物理スイッチはその左右に小さく配置される形になった。
シフトレバーまわりの配置も変更され、パーキングブレーキスイッチなどを運転席側に寄せ、ドリクホルダーを斜めに配置した非対称デザインになっているのが両車の大きな違いだ。
エアコンダクトも細くシャープになっており、エクステリアに通じるデザインと言えるだろう。
■メーター
水平指針の二眼メーターと中央にマルチインフォメーションディスプレイを配したレイアウトに大きな変更はなく、水温計がタコメーター内、燃料計がスピードメーター内のそれぞれ左下に常時表示されるようになっているのが異なっている。
■フロントシート
フロントシートはフレームを刷新。仙骨を抑えて骨盤を支える構造を採用したことにより、車体の揺れが頭部へ伝わることを防ぎ快適な乗り心地と疲労軽減を実現した。
合わせて、これまでブラケットを介して固定していたシートレールを直接車体に固定することで取り付け部の剛性を向上。シートの揺れを抑え、振動も収まりやすくなったことも乗り心地の良さにつながっている。
また、上級グレードではファブリック表皮を、標準グレードにはトリコット表皮を採用。いずれもステッチはシルバーとした。また、メーカーオプションとして本革シートの設定も予定されている。
上級グレードには電動シートが装着されていた。
■リヤシート
リヤシートはサイドシルプレートの形状を変更。山をモチーフにしたテクスチャーが滑り止めにもなり、荷物を載せる際や洗車時などルーフにアクセスするための安定した足場になる。
ラゲッジルームの使いやすさはそのままに
6:4分割可倒式のリヤシートも変更はなく、ラゲッジルームの容量はXVと同等を確保。ただし、リヤウインドウの傾斜角が強くなっているので天地方向の容量に違いがあるかもしれない。
また、クロストレックはリヤゲート下部のトリムに山をモチーフにしたテクスチャーを採用し、滑り止めや車体保護の効果に遊び心を追加している。
ドライブトレーンはキャリーオーバー
ドライブトレーンは2.0L DOHC直噴エンジン+モーターの「e-BOXER」とリニアトロニックという組み合わせのみ。基本的なドライブトレーンはXVからキャリーオーバーされるが、振動や騒音を低減する改良を施しているという。
また、1.6Lが無くなりFFが設定されることになった。
外観ではわからない部分ではあるが、レヴォーグやWRX S4に採用されている「フルインナーフレーム構造」を採用したほか、構造用接着剤の適用拡大、サスペンション取り付け部の剛性アップなど、SGPも大きく進化しているという。
主要諸元を比べてみると
車名 | クロストレック (プロトタイプ参考値) | XV (Advance) |
全長×全幅×全高(mm) | 4480×1800×1580 (ルーフレール、 シャークフィンアンテナ装着車) | 4485×1800×1575 |
室内長×室内幅×室内高(mm) | 1930×1505×1200 | 2085×1520×1200 |
ホイールベース(mm) | 2670 | 2670 |
最小回転半径(m) | 5.4 | 5.4 |
最低地上高(mm) | 200 | 200 |
車両重量(kg) | 1540〜1620 | 1560 |
エンジン | 水平対向2.0L DOHC直噴+モーター (e-BOXER) | 水平対向2.0L DOHC直噴+モーター (e-BOXER) |
トランスミッション | CVT(リニアトロニック) | CVT(リニアトロニック) |
駆動方式 | AWD/FF | AWD |
サスペンション (前/後) | ストラット式独立懸架/ ダブルウィッシュボーン式独立懸架 | ストラット式独立懸架/ ダブルウィッシュボーン式独立懸架 |
ブレーキ(前/後) | ベンチレーテッドディスク | ベンチレーテッドディスク |
タイヤサイズ・ホイール | 225/60R17(標準グレード) 225/55R18(上級グレード) | 225/55R18 |
アイサイト | 新世代アイサイト+広角単眼カメラ | アイサイト |