日本精工:高負荷駆動用ボールねじ向け長寿命化技術を開発

日本精工(NSK)は、産業機械で使用される高負荷駆動用ボールねじを長寿命化する技術を開発した。

開発の背景

射出成形機やサーボプレス機などでは、省エネの観点より、駆動方式が油圧式からサーボモータとボールねじを使用した電動式へ切替わりが進んでいる。また、自動車のEV化では、車体軽量化のために樹脂部品の採用が拡大し、形状複雑化や大型化が進んでおり、電動射出成形機の生産性向上への対応が求められている。

電動射出成形機の生産性向上のため、送り速度の高速化による「ハイサイクル化」が進んでいる。このハイサイクル化に伴いボールねじの単位時間あたりの走行距離が伸びるため、ボールねじの長寿命化が望まれている。

この度、NSKは電動射出成形機やサーボプレス機などのボールねじの長寿命化ニーズに対応可能な長寿命化技術を開発した。2022年6月に受注開始を予定、以降グローバルに本技術を展開する。NSKは本技術を適用した製品の売上として、2024年に1.2億円を目指す。

開発品の特長

ボールねじへの荷重が大きくなると、ボール循環回路毎の荷重バランスは不均一になる(図2)。特定の回路に負荷がかかりボール荷重が高くなると、ボールねじの寿命低下に繋がる。そこで、NSK独自の高精度加工技術(専用加工機の開発)、解析技術(リアルデジタルツインの活用)、精密測定技術(加工データとの連動で測定精度向上)を融合し、各回路の荷重バランスを最適化して最大ボール荷重を下げることで、ボールねじの寿命を従来比最大2倍に延ばす技術が開発された(図3)。

① 従来比寿命最大2倍※
 ※ボールねじの諸元および使用条件により1.1倍~2倍程度
② ダウンサイジングが可能
③ 形状寸法は既存品と完全互換

本開発品により、産業機械の電動化と生産性向上に貢献する。さらに長寿命化とダウンサイジングによる省資源化に貢献する。

対応範囲
ねじ軸外径:φ100~φ200
型式:HTF-SRC型(順次対応型式を拡大)

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