IHI:火力発電用ボイラ向けバーナのアンモニア専焼に成功、燃焼時に排出される大気汚染物質を抑制

IHIはこのたび、相生工場(兵庫県相生市)内の小型燃焼試験設備にて、大気汚染物質である窒素酸化物(NOx)を抑制した状態でのアンモニア専焼に成功した。これにより、火力発電用ボイラにおけるアンモニア専焼技術の実用化が大きく前進する。

 現在、気候変動などの社会課題の解決を目指す「持続可能な開発目標(SDGs)」の取組みが世界各国で推進されており、エネルギー分野では、発電時にCO2を発生させない水素の利用拡大が期待されている。一方で、その普及に向けては、運搬・貯蔵のコストが課題であり、様々な研究開発が行われている。

 その中でも、アンモニア(NH₃)は、水素含有量の高さ、液化・運搬・貯蔵の容易さ、また、化学原料として既に流通しており、輸送インフラが既に整っていることなどから、低炭素社会の早期実現を可能にする新たなエネルギー源として注目されている。他方、アンモニアは多量の窒素分を含んでいるため、燃焼する際にはNOxの排出濃度が上昇する懸念があるほか、難燃性であるため、安定燃焼が課題となる。

 本技術では、バーナの構造やアンモニアの供給方法を工夫することで、石炭専焼時と同程度にNOxの排出濃度を抑制すると同時に、有毒な未燃アンモニアの発生を抑制するアンモニア専焼に成功した。今後は、バーナ構造の改善やボイラ性能に与える影響の評価を実施し、2025年の専焼バーナの実証試験を目指す。

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