大同特殊鋼が、大型の金型造形に対応するダイス鋼系3Dプリンタ金属粉末を発売

大同特殊鋼は、3Dプリンタ用金属粉末DAP-AM シリーズ*1の第二弾として、ダイカスト金型やプラスチック射出成形金型に適したダイス鋼系3Dプリンタ用金属粉末LTXを開発し、9月から販売を開始する。

LTXは金型に広く用いられているSKD61(JIS鋼)をSLM方式*2の3Dプリンタの造形に適した組成に調整し、従来のダイス鋼系粉末では困難であった150mm角以上の造形を可能にした。LTXはSKD61を改良したダイス鋼であり、SKD61の鋼材で製造した金型と同等の金型性能が得られる他、特定化学物質のコバルトを含有していないのが特徴。また、一部の3Dプリンタメーカーで造形テストを実施済みで、良好な結果が得られている。

開発背景

アルミニウムダイカスト*3やプラスチック射出成形の金型には、一般的にSKD61の鋼材が使用されてきたが、SKD61の金属粉末はSLM方式の3Dプリンタで造形した場合、熱応力*4で割れが発生するため、金型の造形ができなかった。このため金型造形にはマルエージング鋼の粉末が用いられてきたが、マルエージング鋼の造形品はSKD61に比べて型寿命が短いことや、特定化学物質障害予防規則等で規定されたコバルトを含有しているなどの問題が残った。

このような問題を解決するため大同特殊鋼は2021年4月にDAP-AMシリーズの第一弾としてHTC*5を発売した。HTCは造形時の割れを抑制し、高性能な金型を3Dプリンタで造形できる、コバルトを含有しないダイス鋼系金属粉末である。HTCは主にダイカスト金型向けで実用化が進んでいるが、150mm角以上の造形では割れ発生のリスクが高くなる課題があった。一方で、150mm角を超える金型の造形ニーズが増加しており、大型品の造形が可能なダイス鋼系3Dプリンタ金属粉末の開発が求められていた。

LTXの特長

■150mm角を超える大型品でも造形可能

成分の調整により、HTCTM対比造形品に発生するひずみを80%以上低減1)。造形ひずみに起因した割れが抑制され150mm角を超える大型品の造形が可能。造形品の予熱温度を調整する以外に造形中の特別な処理は不要。

1)大同特殊鋼3Dプリンタを用い予熱温度200℃で15W×17H×150Lを造形後ベースプレートより切り離した造形品のひずみ量を比較した結果。

■SKD61と同じ性能

造形品はSKD61鋼材製の金型と同等の性能と製造性。3D造形による金型冷却のメリットをそのまま活用可能。

■コバルトフリー

特定化学物質のコバルトを含有しない。

LTXの位置づけ

製品概要

製品名:DAP-AMシリーズ LTX
特許:日本、米国、中国、韓国、欧州に出願済み

LTXを用いた模擬型造形例

用語説明

*1 DAPTM-AMシリーズ
大同特殊鋼がSLM方式の3Dプリンタ用に製造する金属粉末ラインナップのブランド名

*2 SLM方式
薄く敷き詰めた金属粉末を造形したい形状の部分のみ選択的にレーザーで溶融・凝固させることを繰り返し積み重ねることで目的とした形状を得る方法

*3 アルミダイカスト
溶けたアルミニウムを鋼でできた金型の中に高速・高圧で流し込むことにより製品を製造する技術。

*4 熱応力
金属のブロック内に温度差が発生すると(金属は加熱されると膨張するため)温度の高い部分だけが伸びようとするため発生する力。

*5 HTCTM
当社が2021年4月に発売開始した高熱伝導率3Dプリンタ用金属粉末。金型用途に適し、製造時間の短縮や型寿命改善効果が得られる高性能金型を造形できる。

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Motor Fan illustrated編集部