ホンダがバッテリー交換ステーション「Honda Power Pack Exchanger e:」を販売開始。バッテリーシェアリングサービスが初稼働

Hondaは2022年10月25日、バッテリー交換ステーション「Honda Power Pack Exchanger e:(パワーパックエクスチェンジャーイー)の販売を開始したことを発表した。合わせて、バッテリーシェアリング事業を行なうGachaco社に納品された日本で1台目となる量産機が東京都庁前で初稼働している。

ホンダは、同社が関わるすべての製品のカーボンニュートラル化の実現を2050年に見据えている。この目標の達成に欠かせないモビリティの電動化にあたっては、「短い航続距離、長い充電時間、高いバッテリーコスト」という3つの課題を解決する必要がある。そこで、Hondaは交換式バッテリーを採用し、さらにそれをシェアリングすることによっ、これらの課題を解消、電動化の加速と再生可能エネルギーの活用拡大の加速化を図っている。

Honda Power Pack Exchanger e:は、交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:(モバイルパワーパックイー)」を複数同時に充電し、電動二輪車をはじめとするHonda Mobile Power Pack e:ユーザーのスムーズなバッテリー交換を可能にするバッテリー交換ステーションである。ユーザーは街の中のステーションで必要な時に充電済みバッテリーにアクセスすることができ、充電時間を待つことなく、効率よく電動モビリティを利用することができるようになる。

Honda Power Pack Exchanger e: は国内外での広く普及しやすいバッテリーインフラを目指し、街中になじみやすいデザインとしたほか、バッテリーシェアリングサービスの運用に必要な情報をクラウド上で一元管理するシステム「Honda Power Pack Cloud(パワーパッククラウド)」を採用している。開発にあたっては、バッテリーシェアリング事業者、電動モビリティユーザー両者の利便性、使いやすさのすべてが追求されている。

なお海外では、インドの現地法人Honda Power Pack Energy India Pvt. Ltd.(HEID)にて電動三輪タクシー(リキシャ)向けバッテリーシェアリングサービス事業が既に開始されており、Honda Power Pack Exchanger e:が運用されている。

「Honda Power Pack Exchanger e」製品概要

バッテリー交換はワンタッチかつスムーズに

  • スロットは、上段・下段でもバッテリーを入れやすい挿抜角度で設計。
  • バッテリーをスロットに差し込むだけで、自動で充電を開始。
  • バッテリー交換時は、本機上部のパネルにICカードをタッチすることでユーザー認証を実施。高いセキュリティを確保。
  • 登録されたユーザーIDに紐づく、利用モビリティの情報(搭載バッテリー数、直列・並列といった搭載条件など)から適切な充電済バッテリーを判断し、LED表示でユーザーに知らせることでスムーズな交換作業を促す。
バッテリー交換の様子(イメージ)
ICカードによるユーザー認証
LED表示による交換動作の誘導。左右方向からも見やすさを確保。
親機1台の両側に子機2台を接続した状態(後述)

使いやすさ、保守・管理のしやすさ

  • バッテリーシェアリングサービスの運用に必要な、バッテリーの充電状況・所在情報や、機体の状況などの情報は全てHonda Power Pack Cloudに集約され、一括管理される。
    – バッテリーユーザーは、ユーザー登録からステーション検索、交換、料金決済まで一括してシステムを通じて行えるほか、貸出バッテリー情報などをスマートフォンからリアルタイムに検索可能。スムーズなバッテリー交換に貢献する。
    – バッテリーシェアリング事業者は、機器の状態をクラウド上で一括管理することで、効率的な管理・運用ができる。
  • 日常的に行う保守・清掃作業はフロントから実施可能な構造を採用。
  • 熱負荷によるバッテリーの劣化を抑制するため、バッテリー冷却機能を搭載。

複数台の連結設置が可能

  • 親機(Control機)1台に対し、子機(Extension機)を複数台連結。より多くのバッテリーを同時に管理・運用でき、ユーザーや事業者のニーズに応じて柔軟に対応する。

停電時にもバッテリーの交換が可能

  • 停電などにより本機へ給電できない場合は、充電済みのHonda Mobile Power Pack e:の電気から給電を行ない、バッテリーの貸し出しを継続。

街中になじむデザイン

  • 街中のさまざまな場所に設置されることを考慮し、「パブリックスペースになじむデザイン」をメインコンセプトに、圧迫感を感じさせず連結時も一つの存在として見せる筐体デザインを採用。

キーワードで検索する

著者プロフィール

Motor Fan illustrated編集部 近影

Motor Fan illustrated編集部