ルネサスがxEV向けインバータに搭載するIGBTやSiC駆動用ゲートドライバICを開発。絶縁耐圧3.75kVrmsにより、1200V耐圧のパワーデバイスに対応

ルネサスが、xEV(電動車)のインバータに搭載するIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)やSiC(炭化ケイ素)MOSFETを駆動するためのゲートドライバIC「RAJ2930004AGM」を開発したことを発表した。新製品は本日よりサンプル出荷を開始し、量産は2024年第一四半期の予定。これら2023年1月25日(水)から東京ビッグサイトで開催されるカーエレクトロニクス技術展のルネサスブース(東5ホール、ブースNo.43-52)に出展される。

ゲートドライバICは、低電圧ドメインで動作するインバータ制御マイコンからの制御信号を受け、内蔵のアイソレータを介して、高電圧のパワー半導体を駆動する役割を担っている。新製品は、xEVバッテリの高電圧化に対応すべく、絶縁耐圧を従来品の2.5kVrmsから3.75kVrmsまで強化したことにより、1200V耐圧のパワーデバイスにも使用できるようになる。また、通信の安定性やノイズ耐性の指標となるCMTI(コモンモード過渡耐圧)は、150V/ns(ナノ秒)以上を実現したことにより、より高い電圧や、より高速なスイッチングが求められるインバータシステムにおいても、安定した通信性能を維持することができる。新製品は、ゲートドライバとしての基本機能を、小型のSOIC16パッケージに搭載したことにより、コスト効率の良いインバータシステムの実現が可能。

新製品は、ルネサス製IGBTとの組み合わせのほか、他社製IGBTやSiC製品と組み合わせても使用することができる。また、トラクションインバータだけでなく、オンボードチャージャやDC/DCコンバータ等のパワー半導体を駆動する他のアプリケーションにも幅広く使用することができる。ルネサスは、新製品とマイコンやIGBT、パワーマネジメントIC等を組み合わせたxEV インバータキットソリューションを開発してきており、新製品を組み込んだキットを2023年上期中にリリースする予定となっている。

新ゲートドライバIC「RAJ2930004AGM」の特長

  • 絶縁能力
    • 絶縁耐圧: 3.75kVrms
    • CMTI(コモンモード過渡耐圧): 150V/ns
  • ゲート駆動能力
    • 出力ピーク電流: 10A
  • 保護/故障検出機能
    • アクティブミラークランプ機能
    • ソフトターンオフ機能
    • 過電流保護機能(DESAT保護機能)
    • 低電圧誤動作防止機能(UVLO)
    • Fault フィードバック
  • 動作温度範囲 :-40~125℃(Tj:150℃max)

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