NSK、産業機械用リニアガイドの高作動化技術を開発しNH型/NS型のオプションとして設定

日本精工(以下、NSK)は産業機械で使用される直動案内装置、NSKリニアガイドの高作動化技術を開発したことを発表した。本技術により検査装置、測定機などの動きがより滑らかになる。NSKは本技術をNSKリニアガイドNH型/NS型のオプションとして販売、本技術を適用した製品の売上として2026年に年間5億円を目指す。

開発の背景

リニアガイドは、摩擦が小さくなめらかな動きが大きな特長となっている。NSKリニアガイドNH/NS型は2014年に商品化され、この特長により半導体・液晶製造装置、自動車製造設備、搬送用ロボット、工作機械などの各種生産設備を中心に幅広い用途に採用されている。近年、装置の高度化や高精度化が加速していおり、その中でも、特に検査装置や測定機では装置をよりなめらかに動かす要求が多く、これを実現するためリニアガイドには、より一層の作動特性の向上が求められている。

本新製品の特長

ボール循環路を最適化し、弾性ボールを適切に挿入することで不規則に発生する「つまり」(局部摩擦変動)を抑え、なめらかな動きを実現したリニアガイドが開発された。本新製品は、検査装置や測定機などなめらかな動きを必要とする装置に最適であり、さらには、作動特性が悪くなりやすい垂直などの取付姿勢にもその効果を発揮する。

また、NH/NS型と完全寸法互換のため設計変更を行うことなく置き換えが可能とされている。

高作動メカニズム

リニアガイドのボール循環路には多くのボールが挿入されており、その経路内に曲線のリターン部が存在するためボール同士に「つまり」が発生することが作動特性を悪化させる要因の一つとされている。そこで、ボール循環路を最適化し、適切に弾性ボールを挿入することで、ボール同士の競り合い(ボール同士の接触による摩擦増加)を大幅に緩和することで、なめらかな動きが実現された(図1、図2参照)。

図1.高作動メカニズム説明図
図2.スライダ作動特性評価の結果

本製品の効果

高作動オプションを採用したリニアガイドは、「つまり」を解消し作動特性をさらに向上することで、送り速度ムラのない滑らかな動きにより装置の高精度化に貢献する。

対応範囲

  • NSKリニアガイド 一般汎用シリーズ NH/NS型の高作動オプションとして設定。
  • NH15、20、25、NS15、20、25、30の7サイズに対応。スライダ長さ、形状を含め全28形式に対応。
  • 潤滑ユニットNSK K1-Lをはじめ、ステンレス材、表面処理など豊富なオプションにも対応。

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