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トヨタ紡織は、世界25の国と地域に91の拠点を構え、トヨタやLEXUSブランドなどに内装材などを提供。売上の約75%をシート事業が占める。さまざまなタイプの自動車用シートを用意し、航空機シートなども手掛ける。今回のジャパンモビリティショーでは、新しい発想のコンセプトモデルなどを展示。さっそく注目のアイテムをピックアップして紹介していこう。
クルマの挙動に合わせて自在に変形するシート
世界初披露となった「VODY2.0」。パッセンジャーの体形や姿勢、移動中の動きに合わせ、シートが最適な形状に変化する。実際、その動きを体験してみると、例えば、加速時はシートバックが上体をしっかり支えるように変化してくれ、ブレーキング時は座面の前方部分で太ももを固定するように形状と硬さが変わる。また、左にステアリングを切れば、Gに対して体の右側をサポートする動きを見せた。実際にクルマに搭載する際は、コストや構成部品などの関係で構造をシンプルにする必要があるようだが、シートは絶えず体と接する部分だけに、今後の進化から目が離せないアイテムだ。
短時間でレイアウト変更が可能な空間コンセプト
また、取材日に多くの来場者を集めていたのが、MaaSシェアライド空間コンセプトの「MX221」。MaaS(Mobility as a Service)は、地域の生活者や観光客が移動手段として利用することを目的にする。多様なユーザーのニーズに合わせて、シートモジュールやシート構成部品の脱着・交換が可能。短い時間で空間レイアウトの変更ができ、シェアライドなど次世代の交通手段に最適なものとなりそうだ。また、そのアップグレードアイテムとして、今回、最上級仕様の展示もあった。「MX Prime」と呼ぶもので、短時間で快適な仮眠に誘導するシステムを搭載する。ゆったりと揺れるような心地よさが味わえた。
より進化した温度調整シートはEVに好適
「サーマルコンフォートシート」は、ユーザーの身体に直接触れる部分で温度をコントロール。これまでのシートヒーターや空調シートの発展版と考えられるが、大きな進化でEVの快適性をぐっと引き上げてくれそうな予感のするアイテムだ。バッテリーの電力を節約するため、EVの空調は控え目にしてしまうが、それを万全な仕組みで補ってくれる。夏はシートの温度を下げ、冬は温度を上げるわけだが、肩周りの形状を変化させることで体に接する面積を拡大して、より高い効果をもたらす。そして、首の後方からは冷風や温風を送り、短時間で快適さを確保する。
移動空間の新しい価値を創造し、インテリアスペースクリエイターになることを標榜するトヨタ紡織。そのビジョンのとおり新しいアプローチで、次世代モビリティの発展に欠かせない進化や革新を室内空間に提供してくれそうだ。今回のジャパンモビリティショーで、自動車の室内の未来を体感するため、同社のブースに足を運んでみてはいかがだろう。西展示棟4階(西3・4ホール)にある。