試乗インプレッション:ボルボXC40 T5 R-DESIGN 1st Edition ボルボXC40は90/60の廉価版じゃない!新プラットフォーム、CMAの第一弾 快進撃はまだまだ続く
- 2018/04/08
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世良耕太
ボルボは世界中のユーザーが「スカンジナビアンデザイン」と聞いて思い浮かべるイメージを絶妙に、インテリア全体のムードや、インテリアを構成する個々のパーツに投影することに長けているようだ。北欧出身の著名な建築家がデザインした建築物よろしく、眺めていて飽きることがない。その空間に身を置くだけで、充足感に包まれる。
美術作品はそれを展示する器によって印象が大きく左右されるが、そのクルマを気に入るか気に入らないかに関しては、内外装が醸し出すセンスやクオリティが重要な役割を果たす。ボルボの他のモデルと同様、いつまでも眺めていたくなるスタイルや、身を置いておくたくなる室内は、XC40の最大の魅力だ。
格好はいいけど使いづらいではデザイナーのエゴ丸出しだが、XC40はそんなことはない。収納がたくさんある(容量を確保するため、ドアポケットからスピーカーを廃した)し、スマホの非接触充電は可能だし(あいにく対応機器を持っていない)、フラットなラゲッジルームは「く」の字形に立てると下に小さなバッグを置くのに適したスペースが出てくるし、袋を引っかけておけるフックが現れる。「生活感を出さずに使い勝手のいいインテリアを目指した」というが、まったくもってスマートだ。
このクラスのSUVの全幅は1840mmが最大勢力だが、XC40の全幅は1875mmある。機能上必要な35mmではなく、デザイン上必要な35mmだった。デザイナーは「20mm違うだけで印象は大きく変わる」と説明したという。「このクルマいいな」と思わせるためにも、1875mmの全幅は必要だったのだ。
譲れないポリシーは他にもある。「クロスオーバーにはしたくなかった」とボルボは説明する。XC40は「SUVなのだ」と。この点に関しては、SUVに見えることが重要なのではなく、機能も含めての話だ。SUVらしく、運転席で着座姿勢をとるとボンネットフードを見下ろすような視界が開ける。その効果か、車幅の割に取り回しに苦労することはなさそうだ(短い試乗では皆無だった)。
XC40を実際のサイズ以上にコンパクトに感じさせるのは、きびきびした動きである。試乗車はあっという間に売り切れたT5 Rデザイン1stエディション(価格559万円)だった。車重は1690kgで決して軽量級とは言えないけれども、185kW/350Nmを発生する2.0ℓ・直4直噴ターボエンジンは、8速AT(アイシン・エィ・ダブリュ製)のクレバーな制御もあいまって、ドライバーの意思に忠実に、反応良く、ダッシュする。ひと言で言って速い(そして、なかなかいい音がする)。元気に走る分だけ燃費はそこそこな印象(短時間乗った限りでは)だが、楽しい思いをした対価にふさわしいと感じられるレベルだ。電動パワーステアリングのアシストが強く、軽々とタイヤが向きを変える(手応えはしっかりある)のも、軽快感に結びついているようだ。
CMAはSPAと同じ動的質感と機能を低コストで実現するため、フロントサスペンションをダブルウィッシュボーン式からストラット式に変更している。コストを抑えたから安っぽくなった、では消費者にそっぽを向かれてしまう。残念ながら筆者は、サスペンション形式の違いを知らされずに乗って、その違いを指摘できるほど精度の高いセンサーを持ち合わせていない。箱根の山道をたっぷり走り回ったが、たっぷり走り回るまでもなく、XC40からは「いいクルマ」感が伝わってきた。
不快な振動や音は上手に遮断されて動きは終始落ち着いており、静かだ。どんな状況でも、「あぁ、自分はいま上質な空間に身をゆだねている」という充足感を味わうことができる。ボルボの快進撃はまだまだ続きそうだ。
ボルボXC40 T5 Rデザイン 1st Edition
全長×全幅×全高」4425×1875×1660mm
ホイールベース:2700mm
車重:1690kg
エンジン:2.0ℓ直列4気筒DOHCターボ
エンジン型式:B420
排気量:1968cc
ボア×ストローク:82.0×93.2mm
圧縮比:10.8
最高出力:252ps(185kW)/5500rpm
最大トルク:350Nm/1800-4800rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:電子制御式AWD
サスペンション:Fマクファーソンストラット・Rマルチリンク
タイヤ」235/50R19
JC08燃費:12.4km/ℓ
価格:559万円
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