新型アウディA8には、前後とも軽量なアルミ部品を多用した5リンク式サスペンションが与えられるとともに、操舵量に応じてギヤレシオが変わる「プログレッシブステアリング」、可変ダンパーを備えたアダプティブエアサスペンションが全車に標準装備された。
エアサスペンションの設定は「アウディドライブセレクト」によって「comfort」、「auto」、「dynamic」の3種類から選択可能。「auto」または「dynamic」モードで30秒以上走行し120km/h以上に達すると、車高が自動的に20mmダウンし空力特性が改善される。
さらに、フルアクティブ電気機械式サスペンション「アウディAIアクティブサスペンション」を、3L V6ガソリンエンジンおよび4L V8ガソリン/ディーゼルエンジン搭載車にオプション設定し、6L W12ガソリンエンジン搭載車に標準装備する。
「アウディAIアクティブサスペンション」搭載車の各輪には、48ボルトの主電源システムにより駆動されるモーターと、複数のギヤ、チタン製トーションバーを内蔵したロータリーチューブ、カップリングロッドを介してサスペンションに1,100Nmの力を加えるレバーなどが設置される。
そして、1秒間に18回送信されるフロントカメラからのデータを元に、道路の前方にある凹凸を検知し、事前にアクティブサスペンションを調整。車両がその凹凸に到達する前にアクチュエーターに適切なストローク幅を伝えて、積極的にサスペンションを制御する。
この制御プロセスに要する時間を千分の数秒にまで短縮することで、車体の揺れや振動、コーナリング中のロール、制動および加速時のピッチングを徹底して抑え込むことを可能にした。
なお、「アウディドライブセレクト」で「dynamic」モードを選択するとロール量が半減されてスポーツカーのようなハンドリングが楽しめ、「comfort」モードにすると荒れた路面でもスムーズな乗り心地が得られ、後席の乗員が仕事に集中できるようになるという。
そして、「アウディAIアクティブサスペンション」搭載車に「アウディプレセンス360°セーフティシステム」を組み合わせると、側面衝突を受けた際の衝撃を緩和し安全性を高める「アウディプレセンスサイド」が実装される。
車両四隅に装着される測定距離約75mのミッドレンジレーダーが側面衝突の可能性を検知し、各車載コンピューターと最大24個のセンサーを統合制御する「セントラルドライバーアシスタンスコントローラー(zFAS)」が、25km/以上での衝突が避けられないと車両が判断すると、サスペンションのアクチュエーターが稼働。
0.5秒以内に衝撃を受ける側のボディを最大80mmリフトアップして、サイドシルやフロアの構造体など強度の高い部位で衝突の衝撃を受けることにより、ボディを持ち上げない場合に対し乗員への衝撃を最大50%低減する。
さらに、四輪操舵システム「ダイナミックオールホイールステアリング」をオプション設定。このシステムを選択すると、走行速度に応じてギヤレシオを9.5~17:1の範囲で制御するダイナミックステアリング機構がフロントアクスルに、低速では最大5°まで逆位相に、中高速では最大2°まで同位相に後輪を操舵可能なスピンドルドライブと2つのトラックロッドがリヤアクスルに搭載される。
これにより、最小回転半径が非搭載車に対し約0.5m短縮され、標準仕様で5.7m、ロングホイールベース仕様の「A8 L」で5.9mとなり取り回しが改善。同時に限界走行時やスプリットミュー路でのスタビリティが高められる。
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