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曇らないカーブミラーを作るには──安藤眞の『テクノロジーのすべて』第26弾

  • 2019/05/26
  • Motor Fan illustrated編集部
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「人とくるまのテクノロジー展」で毎年実現を求めている素材になかなか出合えない。その素材をカーブミラーに適用したい。果たしてどのような特質を持ってほしいのか。
TEXT:安藤 眞(Ando Makoto)

 今年も「人とくるまのテクノロジー展」に出かけてきた。今年もいろいろと興味深いものが出展されていたが、セルロースナノファイバーやミドリムシ由来のディーゼル燃料など、天然素材を利用した新たな技術の提案が行われていたのが、僕の目を引いた。
 これらについては機会を改めたいが、僕は毎年、自分のアイデアが具現化される可能性のある素材が出ていないかと、見て回っている。残念ながら、今年も見つけることはできなかったのだが、その「素材」とは、断熱もしくは蓄熱能力があり、なおかつ表面が平滑で、金属蒸着によって鏡面が形成できる性質を併せ持つものだ。

 それを何に使うのかと言えば、「結露や凍結を抑制できるカーブミラー」である。カーブミラーとはそもそも、見通しが悪いから安全のために設置されるものだが、晩秋には結露し、冬になれば霜が付いて見えなくなっていることがしばしばある。その危険性については10年以上前から憂慮しており、なんとか「結露や凍結を抑制できるカーブミラー」ができないものかと考え続けてきた。

 カーブミラーが結露するのは、周囲の気温より鏡面の温度が下がってしまい、そこに触れた空気中の水蒸気が凝結するからだ。鏡面が氷点下ならば、霜になって凍結する(余談になるが、結露は静かに進むため、鏡面上で過冷却が起こり、0℃以下になっても結露が霜にならず、鏡面に振動を与えた瞬間に凍り付く、という現象を観察することができる)。
 ならば、ミラーの温度が外気温より低くならないようにすれば良いわけで、それには断熱か保温が考えられる。実際に長野県安曇野市にある横沢製作所では、鏡面の裏に水袋と断熱材を仕込んだ曇らないミラーを販売しているが、これをもっと簡単な構造でできないものか、と考えたのである。

横澤製作所のアルプスミラー構造図(FIGURE:横澤製作所)

 とりあえず目に付いたのが、発泡スチロール製の食品トレイ。ある寒い日の夕方、これをクルマのワイパーに挟んでおき、霜の降りた翌朝に見に行った。すると、フロントガラスが真っ白に凍結しているにも関わらず、トレイにはまったく霜が付いていなかった。このとき、コンセプトとしては間違っていないことを確信したのだった。
 後はこれに鏡面加工ができれば、と思い、金属蒸着メーカーを当たって見たのだが、鏡面にするには一桁ミクロンの平滑度が必要だということがわかり、挫折したまま今日に至っている。

 しかし近年は、クルマの軽量化要求から、ポリプロピレン樹脂を発泡化する「コアバック製法」などの技術が出てきており、何となく僕が求める素材が出てくる日が近づいているような気がしている。

 樹脂メーカーのみなさん、そんな素材、作れないものでしょうか? 需要は氷点下になる日本全土。しかもクルマのアウトサイドミラーにも使えるかも。首尾良く行けば、大きなビジネスにつながりますぜ、シャチョー。

コアバック製法の概念図。発泡性の樹脂を金型に充填した後に、金型の容積を拡大して樹脂を膨張発泡させる工法。 見かけ体積を増加させ、低密度でありながらも剛性のある成形品が得られる。(FIGURE:MAZDA)

くもらないカーブミラー:アルプスミラーを製作する横澤製作所

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