ちょっとした不注意が原因交通事故で全て失うことも

損 保太郎(以下 保太郎) こんにちは。私がこれまで対応したバイクの事故から、みんなが被害に遭いやすい形態と、どうしたら未然に防げるのか?私なりの事故回避のポイントをご案内します。
モン太 よろしくお願いします。いつもドキドキしながら乗ってるモン。行きたいところへ自由に行けるから乗ってるだけで楽しいモン。
保太郎 そうだよね。私もバイクに乗りだした時は同じような気持ちだったよ。幸い自分の周りでは大きな事故にあった知り合いは少なかったな。だけど、高校生の時に同級生がバイク事故で亡くなってしまったことがあって、同じバイク乗りとしてすごく悲しかったのを覚えているよ。
モン太 モーン!それは悲しい。乗るのが怖くなったんだモン。
保太郎 たしかにバイクが危ないってイメージは、事故をしたときに身体に重いダメージを受けてしまうというところから来るのかもしれないね。でもバイクが悪いわけではなく乗り手の問題なんだよね。バイクは被害事故に遭うことも多いんだけど、危険が潜んでいるポイントを知ってその対応策を備えることができればかなりのリスクを減らすことができるんだ。
モン太 へ~そうなんですね。長くバイクライフを楽しむためにも、ゼヒ知りたいモン。
保太郎 今回はバイク事故に多い3パターンの事故とその回避方法を紹介するね。

人物紹介

先生(右):損 保太郎

某損保サービスセンターに勤務。年間数百件
の事故対応をする。自身もバイク好きであることから事故に遭う不幸なライダーを減らしたいと心から願う。

生徒(左):モン太

バイク初心者で事故の経験はナシ。立ちゴケすらしたことはなく、事故については右も左わからない。趣味はバイクで釣りへ行くこと。

重症率NO.1【右直事故】 直進だからと優先意識は禁物!ドライバーの視点を理解する

保太郎 道路と道路が交わる交差点はもっとも事故が起きやすい場所。これは直進しているバイクと、対向車線の右折するクルマの衝突する事故形態なんだ。なにせ、対向方向から向かってくるクルマと衝突するわけだから、衝突時の相対速度が大きくなり、怪我の度合いも高くなる。
モン太 たしかに衝突地点にお互いが向かっていくから衝撃が大きくなるのは想像しやすいモン。だけどこれって、直進しているバイクが優先なんだから右折してくるクルマが悪いし、避けようがないんじゃない?
保太郎 たしかに直進車が優先ではあるんだけど。追突や信号無視をしたクルマと違って100:0の事故とはならないんだ。この事故形態の場合は一般的に右折四輪に85%、直進の二輪にも15%の責任割合が発生してしまう。ライダーからすると「何が悪いんだ!」という気持ちになるのもわかるんだけど……。
モン太 では一体何に気を付ければいいんだモン?
保太郎 右折待ちしているドライバーの目線で考えてみよう。人間の特性で、正面遠方から近づいてくる物体の速度は認識しにくいものなんだよね。横方向に通りすぎる物体の速度はわかりやすいんだけど。つまり対向車線の遠方から近づいてくるバイクの距離や速度を正確に認識するのは困難。クルマと比べて車格が小さいからさらに分かりにくいんだ。
モン太 たしかに正面から来るものの距離感は大きい小さいくらいしかわからないから掴みにくいモン。
保太郎 あと、被害に遭いやすいバイクはクルマの流れの先頭を走っていることが多く、速度が乗りやすいというのもあるしね。夜はさらに危ない。対向車線のバイクってほぼヘッドライトの光しか見えない。昼間よりさらに距離感が掴みにくい。というか、正確にそれを認知するのは不可能といってもいいくらいなんだ。後続のクルマのヘッドライトの光と重なってバイクがいること自体認識できない場合もあるんだよ。
モン太 ドライバーが距離感や速度感を見誤りやすいっていうのが原因なのか……。右折待ち車両がいるときは注意するモン!
保太郎 そういうこと。交差点だけじゃなく右折でお店に入ろうとする車とぶつかってしまうこともあるからそういう場所も気をつけてね!

直進でも油断NG!右折車はバイクの距離と速度を見誤りやすい。

遭遇率NO.1【単独事故】 自制心が事故回避の肝、いつも心にブレーキを!

モン太 コレ、この前危なかったやつだモン。カーブで十分減速をしたつもりだったんだけど、思ったより速度が出ていて、どんどん外側に膨らんでいって、道路端の電柱にぶかりそうになったモン。
保太郎 そうだね、モン太君みたいにバイクの操縦に慣れていないライダーが遭いやすい事故でもあるね。左カーブの場合は外側に膨らんで対向車と正面衝突というパターンもあるからね。実は最初にお話しした亡くなった同級生も単独事故だったんだ。見ていたわけじゃないんだけど、おそらく速度を出し過ぎていたのかな?と思う。ガードレールか何かにぶつかったようだ。僕が育ったのは田舎の方で免許取り立ての高校生が単独事故に遭って亡くなったという知らせが毎年あったよ。広くて周りに何もない速度の出やすい道が多いという環境的な要因も事故が多かった一因だろうね。
モン太 電柱やガードレールは今か今かとライダーを狙っているわけだモン。
保太郎 電柱やガードレールが向かってくるわけないでしょ(笑)。経験則でいうとやはり若いライダーが単独事故を起こしやすいかな。運転も慣れていないし若気の至りというのもあると思う。「目を閉じたままどこまで走れるか」とか、私にも思い当たる節はある(真似しないように)。余談だけど、電柱やガードレールって強固に固定されているから、バイクが当たったくらいじゃビクともしないんだ。これが何を意味するかっというと、衝突角度によってはぶつかった瞬間に速度がゼロになるってこと。つまり身体に与える衝撃力は尋常じゃない。
モン太 ボクも峠とかで颯爽と駆け抜けていくライダーを見ると真似したくなるモン。けれど、真似してミスって電柱に激突したらシャレにならない……。
保太郎 その通り。公道はサーキットじゃないし速い=偉いじゃない。先がわからない初めて通る道もある。レーシングライダーだって、初めて走るサーキットでいきなりアクセル全開で走るわけじゃないんだよ。サーキットではレーシングスピードで! 公道では法定速度で! 
モン太 わかったモン。はやる気持ちを抑えるのが単独事故を起こさないポイントってことモンね!

カーブは要減速!スピードの出し過ぎが転倒・衝突を招く。

モメやすさNO.1【巻き込み事故】 急いでいてもグッと我慢、NOすり抜けN
O巻き込み

保太郎 これは特に多い事故だね。実は巻き込みに遭うライダーと巻き込みに遭わないライダーに二分されるのも特徴。
モン太 その運命の分かれ道は?
保太郎 すり抜けをするかしないか。すり抜けをするライダーは常にこの事故に遭うリスクがある。逆にすり抜けしないライダーはほぼ無縁といった事故かな。
モン太 急いでいる時や渋滞時とかはすり抜けをするモン。
保太郎 すり抜け事故にあう直前って、ライダーがクルマの左後方で車のミラーの死角に入ってしまっていてドライバーがバイクを認識できない事があるのも一因かな。
モン太 たしかに、見えてないの!?って思う運転をされることがあるモン。この事故形態だったらバイクの方が悪くなっちゃうモンか?
保太郎 実はそうじゃないんだ。バイクはクルマに比べると交通弱者という点から、過失割合は低めに算定される傾向。しかし、それでもおおむね四輪に80%、バイクに20%程度の責任割合が課せられる。
モン太 ライダーからすると意外な数字だモン。
保太郎 道交法上では右左折方法がかなり重要視されるんだ。左折する場合は交差点手前30m程度を目安に道路の左端にあらかじめ寄っておかないといけないんだ。バイクがすり抜けられるスペースがあるってことは寄り方が十分ではないということ。この事故形態はバイクとクルマが同一方向に進んでいるから、お互いの速度差が大きくなく事故の規模はそう大きくはなりにくいんだけど、ひとつ問題があって……。
モン太 なんだモン?
保太郎 クルマのドライバーの中には被害意識が極端に大きくなってしまう人がいる。左折する時って徐行が基本になるので、「ゆっくり走っていたのにバイクに突っ込まれた!」ってなりやすい。逆にバイクは「いきなり進路をふさがれた!」って感じやすい。それぞれの主張が強硬だとなかなか示談が進まない。
すり抜けしないでもいいくらいの気持ちを持ってバイクに乗ってもらいたいけど。すり抜けしている時は交差点手前や、コンビニの入り口とかは特に気をつけてね。なかにはウインカーを出すと同時に左折してくるドライバーもいますから!

すり抜けは危険!クルマの死角に入り込むと見落とされる。

※ここでは一般的な自動車保険について解説しています。各社の約款や個別の事情により内容が異なる場合があります。

※この記事は月刊モトチャンプ2023年3月号を基に加筆修正をしています