Kia PV5

運営は双日の100%子会社

左からKia PBVジャパン 田島靖也代表取締役社長、JAIA 入野泰一副理事長兼専務理事、駐日本国大韓民国大使館 鄭京彔(ジョンギョンロク)公使参事官、Kia 金相大(キム・サンデ)副社長、双日 畠山忠重自動車本部 自動車第二部部長。
左からKia PBVジャパン 田島靖也代表取締役社長、JAIA 入野泰一副理事長兼専務理事、駐日本国大韓民国大使館 鄭京彔(ジョンギョンロク)公使参事官、Kia 金相大(キム・サンデ)副社長、双日 畠山忠重自動車本部 自動車第二部部長。

5月13日、ヒョンデグループの韓国の自動車メーカー、Kia(キア)が日本市場への本格参入を発表した。ローンチイベントが開催されたのは国内ディーラー第1号店となる「Kia PBV東京西」で、EVバンシリーズ「PBV(Platform Beyond Vehicle)」の第1弾として、「PV5カーゴ」と「PV5パッセンジャー」の市販モデルを日本初公開した。日本市場は総合商社、双日の100%子会社であるKia PBVジャパンが担うという。

今回発表された商用の「PV5カーゴ」と乗用の「PV5パッセンジャー」。PV5カーゴはコンパクト仕様からロング、あるいはハイルーフ仕様まで用意された物流・配送向けの商用モデルで、PV5パッセンジャーは2〜3列で5〜7人乗りの一般ユースはもちろん送迎などのサービス用途も視野に入れた乗用モデルとなる。共にCセグメントに相当するという。

最高出力120kW(163PS)、最大トルク250Nmと動力性能は十分。ボディサイズはPV5パッセンジャーのロングレンジ(プラス)で全長4695mm、全幅1895mm、全高1925mm、ホイールベース2995mm。車重は2415kgとなる。バッテリー電力量71.2kWhで航続距離は521km(WLTC)を謳う。かつてマツダの技術提供を受け、マツダ車のOEMを製造していたKiaだが、現在はヒョンデグループで、PV5もヒョンデのプラットフォームを使用したフル電動バンとなる。

多様なカスタマイズに対応

PV5カーゴ
PV5カーゴ

PV5最大の特徴は、EV専用プラットフォームを活用した柔軟性にある。低床フラットフロア構造によって乗降性と積載性を高め、広く無駄のない室内空間を実現。さらに架装を前提とした設計によって、サードパーティによる多様なカスタマイズにも対応するという。夜間配送時や市街地での静かな運行などはもちろん、最大積載状態での走行距離においてギネス世界記録を達成した実績を持つなど、実用性の高さもアピールした。

発表会場には福祉車両仕様やキャンピング仕様なども展示され、単なる商用バンではなく、「移動するサービス空間」「移動する生活空間」としての可能性を強く印象づけた。価格はPV5カーゴが619万円から、PV5パッセンジャーが679万円からと、同じくフル電動3列ミニバンの「フォルクスワーゲン ID.Buzz」(888万9000円〜)と比べて、商用ベースなだけあってリーズナブルな設定となる。なお、型式認証は現在申請中で、正式な発売時期や仕様は認証取得後に案内される予定だという。

提案するのは新たなモビリティソリューション

発表会には、Kiaの金相大(キム・サンデ)副社長と、Kia PBVジャパンの田島靖也代表取締役社長が登壇。「PBV」を軸とした日本市場戦略や販売ネットワーク、サービス体制について説明した。日本国内のEV普及率が約3%に留まり、とくに商用EVバンの選択肢が限られている現状に言及し、Kiaが日本市場で担うのは単なるEV販売ではなく、物流やサービス業を中心としたB2B市場に対し、新たなモビリティソリューションを提案していくという考えを示した。

さらに災害時の電源供給、車中泊やアウトドア用途など、多様なユースケースも提示。B2Bを軸としながら、ライフスタイル市場への展開も視野に入れていることがうかがえた。

販売だけではなくエコシステム整備

PV5パッセンジャー
PV5パッセンジャー

販売にあたり、アフターセールスはもちろん、充電インフラ、ファイナンス、ネットワーク、コールセンターなどを含めた“エコシステム”が不可欠だとして「パートナーシップ経営」を掲げ、「車両単体では成立しない」という点を強調した。すでにコールセンターとサービスネットワークは4月から稼働を開始しており、充電サービスやオートローンについても、今後パートナー企業との提携内容を順次発表していく予定だという。販売・サービス拠点は、西東京、厚木、町田、名古屋、三重、岡山、福岡の全国7拠点からスタートし、アフターサービス体制の構築も急ぐ。

生産は韓国のEV専用工場で行い、日本国内ではPDI(出荷前検査)センターを通して品質確認を実施。最新設備による検査体制を導入し、製品の品質とサービスの品質の両面で信頼性を確保していくという。欧州や韓国で先行展開されるPBVだが、日本特有の物流環境や商習慣にどこまで適応できるのか注目したい。

PHOTO/GENROQ