語り合うのはこの2人!
ダートを目指せ太足スクーター。そのイメージだけでワクワクだ!

津田:遊ぼうぜ! って大声で叫んでいるようなバイクだよね。
──そんなカンジでしたね〜。大ヒット作のパッソルの発売から11年後にデビューしたビーウィズですが、それまでもっぱら通勤や買い物がメインユースだったスクーターという乗り物に「新しいなにか」をもたらしてくれましたから。
津田:ワイドな偏平ブロックパターンタイヤ、ロングストロークの前後サスペンションなど、スクーターにも遊び心があっていい、そんなメッセージがあふれていたよね。ホンダ、スズキは「ヤラれた」と思ったか、もしくは「これはオレらに作れない」と思わせることができたかも。
スクーターの可能性をデザインで広げたヤマハに万歳!

──デザインのヤマハの面目躍如! 記憶に残る1台です。
津田:なんだかいきなり、まとめみたいになっちゃってるな(笑)。ビーウィズ、オフロードで遊べるスクーターは間違いなくこれが最初だった。「そうか、この手があったか!」ってみんなビックリしたよ。オレだって欲しくなっちゃったもんね。
──エポックメイキングっていう、じつにベタなフレーズを我慢せずに言ってしまいます。これはザ・エポックメイキング!
津田:べつに我慢しなくてもいいよ。ワクワクしちゃったんだから、みんな。ヤマハって素晴らしいメーカーだよね。フロントカウルに装着されたデュアルライトにハートを射抜かれたもんなあ。ズキュン! ってね。
──あれれ、今日はなんだか妙に軽快でポジティブですね。なんかいいことありました? ステキな新作AVを手に入れちゃって、いますぐにでも自宅に帰りたいとか?(笑)
津田:えーと、アンタといっしょにしないでくれる?
じつは大失敗だった?ビーウィズの真実
──それまでのスクーターから打って変わって、具体的にどんなところが新しかったんですか?
津田:オフロードを走るために見劣りしない、〝ある程度〟の装備を充実させているところかな。走破性を上げるためにタイヤを大きくしなければいけないから、クランクケースも専用品を使って太いホイールが履けるように工夫されている。前後ブレーキもドラムとはいえ大径110㎜のものがおごられていたし。
──外装もオフテイストでした。
津田:丸目2灯のデュアルライト、見やすいデザインのスポーティなスピードメーター、センタースタンドがけを簡単にするグリップ(名前はスタックグリップ)、さらにアンダーガードと、マフラーにはプロテクターまで装着していた。ポリプロピレンのカウル類が日焼けしやすかったのはご愛嬌。
──オフ車的な装備はおおむねコンプリートしていますね。
津田:そこらへんは手抜かりないね。オフロードバイクがまだまだ巷で人気だったこともあって、ビーウィズも当然、自然に広く受け入れられるハズだった。
──だった?
津田:結果から言うと、商業的には大失敗だったらしい。
──え? 売れなかったんですか、ビーウィズ?
津田:日本のマーケットでのビーウィズ発売のインパクトは相当大きかったんだけど、販売に関しては、じつはそれほど芳しくなかったことが知られているんだ。ヤマハはホンダと1980年代前半から「HY戦争」と言われる激しい販売競争を繰り広げていた。互いのナマ傷がまだまだ癒えないところに……85年のプラザ合意による円高の波が押し寄せて、国内の二輪市場は縮小に転じてしまった。
──たしかに二輪メーカー各社は、世界での生産・供給体制の見直しに追われてしまうことになりましたものね。しかし、いつになくマジメなお話で!
津田:そんなとき、ヤマハの傘下に入って再建途上だったフランス・モトベカン社(MBK)に持ち込んだビーウィズの中古金型でもって現地で生産を再開させたら……ヨーロッパでまさかの大ヒット! その後もロングセラーとして売れ続けたんだ。捨てる神あれば拾う神ありってことなのかな。
──そんな経緯、知らなかったなあ……。
津田:それが契機でMBKは黒字転換したというのだから、ビーウィズ様様だよね。ここでもヤマハの先に行きすぎている伝説が(笑)。
──うーん、時代がヤマハに追いつけなかった!
津田:で、このバイクも当時ノリにノッていたGKデザインの作品だけど、いいよねえ。さすがの出来ばえ。ポップだけど安っぽくない。
──造語の車名・ビーウィズは「Be With」ってことなのかな。いっしょに遊ぼうよ、みたいな。
津田:カタログのなかに踊る「街を飛びだせ。遊びの天才、ビーウィズ」のコピーもそのままに、2台の目の前にひろがる広大なダートには夢があったな。撮影地は海外なんだろうな。メキシコとかスペインとか……。
──装着ナンバーに「CAL」って書いてあるからカリフォルニアかもしれませんね。

津田:オフロードっていいよね! っていうキモチをはじめて高らかに表明したスクーターがビーウィズだったとすれば……。
──ビーウィズの最大のライバルは、スクーターではなくオフ車そのものだったのかも。
津田:そうなんだよ! だからそれほど売れなかった。「いっそオフ車を買ったほうが……」と無意識に感じていたライダーがじつは多かったんじゃないかな。いやーミヤザキくん、連載開始以来はじめていいこと言ったね(笑)。
──ええ、言いましたね!
※こちらの記事はモトチャンプ2019年5月号に掲載されたものです。



![by Motor-Fan BIKES [モーターファンバイクス]](https://motor-fan.jp/wp-content/uploads/2025/04/mf-bikes-logo.png)